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アラサーからアラフォーは「75歳まで現役」視野に

70歳リタイア時代の働き方(4)

写真はイメージ=PIXTA

先週は70歳現役社会への対応について、アラフィフあるいはそれ以上の年齢の読者を対象に考えてみました。今週は年代を少し下げてアラサーからアラフォーのリタイアを考えてみたいと思います。

70歳リタイア時代は完成形じゃない

今ほど、老後のための備えを意識する現役世代が増えたことはありません。

団塊世代、あるいはそれより早くリタイアした世代が若いうちから老後のことをしっかり考えていたわけではありません。本当のところをいえば、引退してみて公的年金の額が確定し、定年退職時にもらえるお金をかき集めてみたら、まあなんとかやりくりできた、という人が多数派だったりします(家計が苦しい人は倹約生活で老後を過ごす選択をせざるをえない)。退職金の額だって退職直前に知る人がほとんどです。

私たちは若い時期から自分の老後のことも考え始める初めての世代なのかもしれません。しかし「老後に2000万円」「70歳リタイア」という固定的なイメージを考えればOKというわけではありません。

あなたがアラサー、アラフォーの場合、引退を考える頃には70歳現役社会への移行が完了しているのは確実ですし、さらに次の段階へ進んでいる可能性もあります。つまり「75歳リタイアの時代」です。

老後に必要な額も上方修正を迫られる可能性のほうが高いでしょう。物価が40年後2倍になったら、額面としての必要額は4000万円になります。「2倍?」と思うかもしれませんが、1000円の値段のシャツも4%の値上げを40年繰り返すと4800円になってしまうのです。

かつてはそれくらいのインフレが続くことはおかしくありませんでした。預金金利はインフレ時には上昇するものの、物価上昇を補うくらいにとどまるでしょう。

若い世代が考えなければならないのは、リタイアプランの「上方修正」になります。

リタイアまでの時間をどう過ごすか 真剣に考えてみよう

さて、アラフィフあるいはそれ以上の世代と、アラサー、アラフォーが大きく違うところは2つ紹介しましたが、変動要因はそれだけではありません。

ビジネスキャリアの伸びしろはどこまで広がるか、結婚をするかおひとりさまライフを選ぶか、子どもが生まれるか、何人、何歳のころ生まれるか、家は買うか、買うならどのくらいの予算でいつ買うか、金利はどのくらいになるかなどなど、人生の変動要素は山ほどあります。そして未確定です。

年収400万円台のアラサーの会社員が、数十年かけて今の年収を2倍以上にできるかそうでないかは、老後資産形成の余裕にも直結します。退職金も仕事の貢献度が高かった人ほど多くもらえます。

日々の仕事が、自分の老後の経済的豊かさに通じていることを自覚してみるといいでしょう。

そして、「早く老後に備える」を実行に移してみてください。せっかく老後資産形成に関する問題意識が高まっているわけですから、何かアクションを起こすことが大切です。

私たちは大抵の場合、先送りしてしまいます。例えば個人型確定拠出年金(iDeCo)に月2.3万円積み立てできることを知っていても、口座開設の書類を出さない限り1円もたまりませんし、税制優遇も1円も獲得できません。

税制上のメリットや、リスク資産の収益率も大切ですが、一番大切なのは「最初の手続きの有無」です。それこそこのコラムを読み終えたらすぐにでも、iDeCoやつみたてNISA(少額投資非課税制度)の口座開設書類を取り寄せてみてください。

70歳超のリタイア時代に公的年金をどう考えるか

ところで、公的年金制度は将来どうなるでしょうか。全体としての収支をバランスさせる仕組みがあるので、破綻を気にする必要はあまりありません。ただし、自分がもらえる給付水準を意識することは有意義です。

給付水準の引き下げに対抗できるとしたら受給開始年齢を遅らせることです(繰り下げ受給)。現行制度では1年遅らせるたび、8.4%増額され、増額された年金額が生涯ずっと続きます。2022年4月からは最大75歳まで遅らせることができるので、働いて稼ぐことができる間は受給を遅らせることで、老後の経済的基盤を充実させることができます。

そして、そもそもの年金水準を引き上げるチャンスも残されています。それは、これからリタイアまでしっかり働き、保険料を納めることです。

例えば私は独立してしばらく国民年金のみに加入していましたが、厚生年金保険料を納めていなかった約10年間の分、将来の厚生年金額が大きく下がることが確定しています。これはもったいなかったなと思います(当時はそんな余裕もなかったのですが)。

厚生年金の対象となる働き方(基本的には正社員)で長く働くこと、しっかり稼いでたくさん保険料を納めることは将来の年金額増にもつながります。キャリア形成の中で、そうした老後への影響も意識してみるといいでしょう。

引退年齢は「遅め」に考え準備

アラサーからアラフォーはひとまず「75歳」を引退年齢として意識するといいでしょう。

そして、75歳まで働くことを意識する以上は「働かされる」という感覚は捨てて、自分が「働きたい」と思える仕事を見つけたいものです。アラサー、アラフォーの時間は自分の好きな仕事をみつけ、仕事の内容に見合う報酬を得る自分を模索する大切な時間です。

ぜひ、稼ぐことと仕事の中身ににこだわってみてください。その積み重ねが、ひいては老後の経済的安定にもつながっていくのです。

結果として70歳あるいはそれより早く引退できるなら、そうすればいいのです。

◇  ◇  ◇

FP山崎のLife is MONEY」は毎週月曜日に掲載します。

山崎俊輔(やまさき・しゅんすけ)
フィナンシャル・ウィズダム代表。AFP、消費生活アドバイザー。1972年生まれ。中央大学法学部卒。企業年金研究所、FP総研を経て独立。退職金・企業年金制度と投資教育が専門。著書に「読んだら必ず『もっと早く教えてくれよ』と叫ぶお金の増やし方」(日経BP)、「大人になったら知っておきたいマネーハック大全」(フォレスト出版)など。http://financialwisdom.jp

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