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年末こそ考えたい 自分のお金で人を幸せにできる喜び

「幸せ」の賢い買い方(3)

あなたの寄付が誰かを幸せにできれば、あなたのクリスマスもほっこりとあたたかいものになるかもしれない(写真はイメージ=PIXTA)

今月は「幸せの賢い買い方」というテーマを取り上げています。消費を通じて得られる幸せ、いろいろな「つながり」から得られるプライスレスの幸せなど考えたところで、「他人の幸せを買う」という発想を今週は示してみます。

それは「寄付」です。

年末最後にやってみたい「幸せの買い方」

今年は大変な年でした。年収が減少し貯蓄を続けられなくなったり、貯蓄を取り崩さざるを得なかったりした人もいるでしょう。悲しいことに職を失ったという人もいます。

年末のいま、もし今年という苦しい時期を大過なくやりくりすることができた人たちに、ぜひ考えていただきたいのは「寄付」です。

もちろん、あなた自身の家計が苦しいときは、自分自身の経済的安定を優先してください。しかし、ほんのちょっとでも余裕があるなら、コイン(小銭)ではなく「お札」の単位で考える寄付をしてみてほしいのです。

寄付はちょっと特殊な「幸せの買い方」です。あなたが少しのお金を誰かに寄付することで、誰かの笑顔が生まれます。その笑顔にあなたが喜びを感じられれば、それはあなたの幸せにつながります。一度やってみると、こういう幸福感もあるか、と思うはずです。

「はやぶさ2」の部品、難民への食料配給は寄付

先日、見事に地球に帰ってきた探査機「はやぶさ2」ですが、実はその部品の一部は寄付でまかなわれています。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の取り組みに賛同した人たちが行った寄付がはやぶさ2のどの部品になったか、JAXAのウェブサイトで紹介されています。

一時期、開発資金を危ぶまれたこともありましたが、私たちの寄付はこうした「夢」を追うような取り組みを支援することができます。

世界各地で飢えに苦しむ難民のニュースを見て心を痛めることもあります。今年ノーベル平和賞を受賞した世界食糧計画(WFP)は寄付によって得られたお金を使って世界中の難民支援や給食の提供を行っています。給食があることで、貧困の環境にあっても親が学校に通わせてくれ、子が教育を受ける機会が与えられることもWFPの取り組みのひとつです。

私たちは直接、難民に食事を届けることはできませんが、こうした団体に寄付をすることで、世界のどこかに笑顔をつくる手助けができます。

国内でもシングルマザーやDV(ドメスティックバイオレンス)被害者、貧困状態にある家庭を支援するような取り組みがたくさんあり、多くの団体は支援を求めています。

年末調整の還付金から12月に寄付を

あなたの中に何か応援するテーマがあって、寄付金控除の対象となる団体があれば(認定NPOなど一定の基準がある)、ぜひ寄付を検討してみてください。

年末に寄付を勧める理由は、会社員であれば「年末調整の還付金」というちょっとした臨時収入があることと、「2020年分の所得税の確定申告」が年明けに始まるため、還付がすぐ受けられることです。

一定の基準を満たした団体への寄付は寄付金控除の対象となり、その一部が還付されます。還付金は減税額に相当しますので、言い換えればその額は国に寄付を肩代わりしてもらった、ということです。

手続きするには確定申告が必要ですが、寄付金控除や医療費控除など還付のみの申告であれば、1月からできます。国税庁の確定申告サイトにアクセスし、必要事項を入力するだけで自動的に計算された確定申告書を作成することができます。すぐお金の一部が戻る感じになり負担感も薄まります。

「寄付をしたくてもお金がない」という問題には、年末調整の還付金が応えてくれます。数千円から数万円がボーナスや給与とは別に振り込まれたら、それを寄付の軍資金にすればこちらも負担感が低く、まとまったお金を出すことができます。あなたの家計が借金状態でないなら(そういう人は寄付を無理にする必要はありませんので)、年末調整が終わったら寄付をしてみてはどうでしょうか。

このコラムが掲載されるとクリスマスもまもなくです。例年、クリスマスの時期は駅前で募金活動なども行われますが、今年は新型コロナの影響で募金活動も自粛傾向のようです。

クリスマスと新年をひとりでも多くの人に気持ちよく迎えてもらうために、あなたの数千円あるいは数万円が役立つと考えてみたら、ちょっと心がほっこりします。家族や友人とプレゼントを交換しながら気持ちよくクリスマスを迎えることに加えて、遠くの誰かの幸せにもちょっとだけお金を使ってみてはいかがでしょうか。

「ふるさと納税」は寄付か?

ところで、「実質2000円の負担でできるふるさと納税も同じ寄付ですよね?」という質問がよくありますので最後に少しだけ整理をしておきます。ふるさと納税は確かに寄付金控除の枠で税制上は整理されます。

しかし、実際にあなたがお金を負担しているわけではなく、住んでいる地域への住民税を他の地方自治体につけかえるのが基本的な考え方です。そして住所地の地方自治体はその分、税収減となり苦労をしています。総務省によれば、東京都内は2020年度分の住民税が859億円も減少しているそうです。

本来、寄付はリターンを求めません。しかしふるさと納税では返礼品を目当てにしている人が多いのが現実です。しかも返礼品の購入費用や広告宣伝費にかかるコストが大きく、ふるさと納税のお金は地方自治体にはそれほど残らないという指摘もあります。

私は、ここまで述べた寄付とふるさと納税は同列には考えていません。自分の子どもがまだ保育園や学校に通っており、地方自治体には財源が必要であることを思うと住民税を他の地域につけかえすることにはためらいを覚えます。

しかし法律上は認められている合法的な制度ですし、お得であることは間違いありません(私はやりませんが)。リターンを求めない寄付とふるさと納税は、ちょっと切り離して利用してみてください。

◇  ◇  ◇

FP山崎のLife is MONEY」は毎週月曜日に掲載します。

山崎俊輔(やまさき・しゅんすけ)
フィナンシャル・ウィズダム代表。AFP、消費生活アドバイザー。1972年生まれ。中央大学法学部卒。企業年金研究所、FP総研を経て独立。退職金・企業年金制度と投資教育が専門。著書に「読んだら必ず『もっと早く教えてくれよ』と叫ぶお金の増やし方」(日経BP)、「大人になったら知っておきたいマネーハック大全」(フォレスト出版)など。http://financialwisdom.jp

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