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投信運用、円安で「為替ヘッジなし」が有利に

投信観測所

海外資産で運用する投資信託は、為替変動の影響をヘッジ(回避)するかどうかでリターンに差が出ることがある。いまの円安局面では「為替ヘッジなし」のタイプが有利だが、いつまでこの状態が続くかはわからない。個人の資産運用では将来の為替相場を予想して利益の上乗せを狙うことよりも、資産分散やリスク管理の視点で選ぶのが基本になる。為替ヘッジの効果や活用方法などを改めて確認してみたい。

為替ヘッジの有無で成績に差

円の対米ドル相場がおよそ20年ぶりの安値まで下がり、足元では「為替ヘッジなし」のファンドのリターンが押し上げられている。個人投資家に人気の「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信」シリーズで値動きの違いを比べてみると、為替ヘッジの有無で3月以降にリターンの開きが生じた。値下がり傾向が続く「Aコース(為替ヘッジあり)」に対し、「Bコース(為替ヘッジなし)」は下落に歯止めがかかっている(図1)。

この2本が組み入れている銘柄は同じだ。どちらも米株式相場の調整で苦戦を強いられている。3月ごろから運用成績に差が出たのは、対米ドルで円安が進んだ影響が大きい。図2で為替変動に伴う損益のイメージをおさらいしておくと、「為替ヘッジなし」のファンドは円安になると為替差益が得られる半面、円高なら為替差損が発生する。「為替ヘッジあり」は、その影響を打ち消しながら運用する。ただし、こちらはヘッジコストがかかり、その分はリターンの低下要因になる。

「為替ヘッジあり」はリスク抑制に効果

次に過去20年まで期間を延ばし、海外株式と債券のインデックス型(指数連動型)投信で運用成績を比べてみた。日本を除く先進国株式と先進国債券(投資適格)の代表的な指数にそれぞれ連動するファンドを対象に、「為替ヘッジなし」と「あり」の値動きを比較したのが図3だ。株式、債券とも曲折をたどった結果、今年4月末時点の20年リターンは「為替ヘッジなし」の方が高かった。

値動きの大きさ(リスク)はどうだろうか。ここでも図3と同じ海外株式と債券のインデックス型投信を使い、「為替ヘッジなし」と「あり」を1年から20年まで6つの期間に区切って比べた(図4)。値動きのブレを示す標準偏差は株式、債券ともおおむね「為替ヘッジあり」の方が低い。ヘッジによって為替変動の影響を防ぎ、リスクを抑えられたことがわかる。

これらの結果を踏まえると、リスク管理の観点からは「為替ヘッジあり」を選ぶ方が理にかなっていそうだ。一方、リターンに注目すると「為替ヘッジなし」が有利に見えるが、これは今後の為替相場次第で変わってくる。先行きを予想してどちらか選ぶのは難しい。むしろ重要なのは資産分散の視点だ。保有する金融資産の大半が円建てなら「為替ヘッジなし」を選び、資産の一部を外貨建てにすることで全体のリスクを軽減する効果が期待できる。

(QUICK資産運用研究所 西田玲子)

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