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投機か? 資産形成か? 投資の目的を己に問うべし

積立王子への道(26)

投資の世界で「積立王子」のニックネームを持つ筆者が、これから長期投資に乗り出す後輩の若者にむけて成功の秘訣を伝授するコラムです。

若者の投資の目的は長期資産形成だ

コロナ禍での株価上昇を目の当たりにし、株価が上がることのみを前提に「今すぐもうけたい」と投資を始めた「にわか投資家」が最近増えているようだ。彼ら、彼女らはきっと思惑通りに相場が上がったら「リカク~」と言って、すなわち利益確定して売却してしまうだろう。逆に相場が下がれば「こんなはずじゃなかった……」と損失を恐れ、慌てて保有株を手放してしまうことになる。

一方で「老後2000万円問題」が話題になったことから、ハジメくんやいろはちゃんのように、自らの将来を真剣に考えて投資を始める若者も増えている。将来に向けて自分のお金をしっかり育てていきたいと考えて投資を始めたならば、その目的は「長期資産形成」だ。人生100年時代における「老後」は早くても70歳以降。であれば、長期資産形成という行動目的における目標地点はそこだ。若者の君たちにとって見据えるゴールはずっと先。ならば今、目の前の相場の値動きは何ら関係ないことだ。

欲望と恐怖に打ち勝つ行動様式の確立を

とはいえ、たとえ毎月積み立て投資を始めたとしても、翌日から途端にマーケットの動きが気になる人は多い。人間とは実に感情に左右される生き物だ。日々の値段を気にすれば損益の増減に対して心は揺れ動く。だからこそ、欲望と恐怖の感情に打ち勝つために、行動目的を常に思い出すことが肝心なんだ。

長期投資は数十年スパンで続けることによって、投資対象の成長を養分にしながら複利を効かせる。雪だるまづくりを思い出して欲しい。雪だるまの芯、すなわち元手が増えれば1回転ごとにくっつく雪が多くなり、ドンドン回転に勢いがつく。これが複利効果のイメージだ。その効果を生かすには、とにかくコツコツと長い期間、辛抱強く投資を続けお金を育てていくのだ。そのコンセプトをいつも心に据えていれば、目先の相場は目的に無関係だと思い出すはずだ。

できるだけ長く「投資家でいられる」ために

例えば「つみたてNISA(積み立て型の少額投資非課税制度)」の枠組みで非課税期間の20年間、満額の毎月3万3千円ずつ積み立て投資を続けたとしよう。それが世界経済の長期的な成長軌道の前提である4%の複利運用効果を得たとすると、投資元本792万円は実に約1200万円まで育つ計算になる。

ところが自分だけが都合良く「できるだけ安く買って高く売る」なんてことを繰り返してお金を増やせるなどと思って相場に挑んでいる限り、上記の予見可能な安定した長期資産形成の果実は得られない。経済成長が持続している限り、将来に向かってできるだけ長く投資家で居続けられた人が最大の果実を享受できる――。これが歴史的事実なのだ。

中野晴啓(なかの・はるひろ)
セゾン投信株式会社代表取締役会長CEO。1963年生まれ。87年クレディセゾン入社。セゾングループ内で投資顧問事業を立ち上げ、運用責任者としてグループ資金の運用等を手がける。2006年セゾン投信(株)を設立。公益財団法人セゾン文化財団理事。一般社団法人投資信託協会理事。全国各地で年間150回講演やセミナーを行っている。『預金バカ』など著書多数。

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積み立て投資には、複利効果やつみたてNISAの仕組みなど押さえておくべきポイントが多くあります。 このコラムでは「積立王子」のニックネームを持つセゾン投信会長兼CEOの中野晴啓さんが、これから資産形成を考える若い世代にむけて「長期・積立・分散」という3つの原則に沿って解説します。

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