/

脱・炭素加速で注目 「燃料電池関連」の割安株

工藤特許探偵事務所

写真はイメージ=PIXTA

「企業が保有する特許の経済価値の総和と時価総額(株価)には相関がある」という仮説に基づき、技術力に比べて株価が安い「技術割安株」を、工藤一郎国際特許事務所の力を借りて探してみた。

◇  ◇  ◇

二酸化炭素削減の潮流が世界的に加速する中、クリーンな発電装置として注目されているのが「燃料電池」だ。その長所は水素燃料からの発電時に二酸化炭素を排出しないこと。発電効率も高く、火力発電設備と組み合わせる(コージェネレーション)ことで、発電所全体の効率を大幅に高めることもできる。まさに次世代エネルギーシステムの鍵となる装置と言ってもよいだろう。以下「YK値」(下囲み参照)に対して株価が割安な上位4銘柄を紹介する。

第1位はノリタケカンパニーリミテド。セラミックス関連製品を幅広く提供。研削砥石(切削工具)では国内トップシェア。陶磁器製造で培ったセラミックス、金属技術を応用して、燃料電池用の材料・部品の研究・開発を進める。高級陶磁器のメーカーとしても有名。固体酸化物形燃料電池(SOFC)を構成する様々な部材に強みを持つ。SOFCは重要部材である電解質にセラミックスを用いた燃料電池で、非常に発電効率が高い点が注目されている。同社はセラミックス素材に関する高い技術を持ち、SOFC分野でも高い競争力を発揮できるはずだ。

第2位の日立造船は環境・エネルギー関連のプラントなどを提供する企業。電気と水から水素を製造する水素発生装置に強みを持つ。太陽光発電所や風力発電所の近傍に設置し、需要地で余剰電力を用いて水素燃料を製造するといった使い方ができる。脱・炭素社会にとって非常に重要な技術であり、今後、普及していくことが期待される。なお、同社の造船部門は分離済み。

第3位は日本特殊陶業。セラミックス製品やエンジン用点火プラグなどを製造。海外売上高比率が80%を超えるグローバル企業であり、点火プラグでは世界トップシェアを持つ。燃料電池の中核部品である「セルスタック」の技術に強みを持ち、高性能な製品を開発している。スタックとは小さな燃料電池セルを重ね合わせてまとめたもので、一般に燃料電池と言えばこの形態を指す。SOFCは運転時の温度が1000度にまで達するため、スタックには高い耐熱・耐久性が要求される。同社の技術は燃料電池には欠かせないものと言える。

第4位は大阪ガス。関西拠点で4大ガス会社の一つ。都市ガス販売量で国内2位。2030年度までに連結経常利益を2017年度の約3倍にする目標を掲げ、電力事業参入や海外進出などに取り組む。燃料電池としては最も身近な製品である家庭用の燃料電池システムの開発に1980年代から取り組んでいる。同社の燃料電池システムは都市ガスを改質して水素ガスを生成し発電を行う。この改質装置に独自技術が活用されており、触媒を交換せずに長期使用が可能という特徴がある。燃料電池システムの保守コストが軽減されるため、今後の市場拡大も期待できるだろう。

今回取り上げた4銘柄は、脱・炭素という世界的な潮流に乗って業績を伸ばしていくことが期待できる企業と言える。ぜひ注目してほしい。

YK値とは? 特許価値で割安株を探す方法

「企業が保有する特許の経済価値の総和と時価総額(株価)には相関がある」という仮説に基づき割安株を探す。特許の経済価値は工藤一郎国際特許事務所が開発したYK値を用いる。YK値とは、出願された特許に対する閲覧請求や無効審判など、ライバル企業が特許の内容を調べたり、無効にするために弁理士に支払った費用から算出する。弁理士コストは50万~100万円程度、訴訟を含めた場合は数百万円程度であり、YK値はこの金額を基準として算出する。なお、実際の手続きには弁理士コスト以外も必要で、全体では弁理士コストの10倍、数千万円程度になることもある。ただし、全体のコストと弁理士コストはおおむね比例するため、弁理士コストから技術の価値は推定できる。

独自に選んだテーマごとに各社のYK値と時価総額を図のような軸を持つグラフにマッピングすると、妥当と思われる近似曲線が浮かび上がる。この近似曲線から左に大きく離れている企業(図ではA社)は、特許価値、つまり技術力比で時価総額が低い(割安)と考えられる。

同事務所によると、A社の位置は2年ほどかけて近似曲線に近づいていく傾向がある。これは、特許技術が製品化されて収益に寄与。時価総額が膨らむためと考えられる。この連載では、業種ごとの近似曲線から、左への乖離が大きいほど、株価が割安な銘柄として扱う。

工藤一郎(くどう・いちろう)
弁理士。工藤一郎国際特許事務所所長。大阪大学工学部卒。NECで磁気ヘッド開発に従事した後、知的財産部などで特許実務に携わる。2000年4月に工藤一郎国際特許事務所設立。特許の経済的価値の数値化や、特許価値の比較を容易にする技術業種分類などを開発。

初割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン