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迷惑な不動産営業、違法行為は記録を

20代からのマイホーム考(48)

不動産営業というと、「強引な担当者が少なくない」というイメージを持つ人もいるのではないでしょうか。最近でも猛烈な営業攻勢を受けて大変だったという話を聞くことがあります。不動産を売るにしても買うにしても、営業担当者とは接点を持たざるを得ません。強引で迷惑な営業を避けるための対処法についてお話ししたいと思います。

強引な営業になりがちな背景

軽い気持ちで価格査定をお願いしたらしつこく営業された。勉強のつもりで投資用不動産の資料を取り寄せたら昼夜を問わず営業を受けて困った。断ったつもりなのに何度も営業してくる。怖くて断れない状態に陥った――。

不動産営業担当者が必死に営業するのには理由があります。不動産売買の仲介や販売は成約しないと収入が入らない仕組み、つまり成功報酬型の仕事なのです。しかも営業担当者の給料は固定給の割合が低くて歩合給の割合が高いケースや、販売などのノルマが厳しいケースがあるのが特徴です。結果として、強引な営業につながってしまいがちであるという背景があります。ですから、買ってもらえる、売ってもらえる可能性がゼロではないと営業担当者が感じているかぎり、必死に営業攻勢をかけてくるわけです。

法律による制限

こうした問題に関して、宅地建物取引業法では宅地建物取引業者(不動産会社)が勧誘する際に以下の行為を禁止しています。

(1)不確実な将来利益の断定的判断を提供する行為
(2)威迫する行為
(3)私生活又は業務の平穏を害するような方法によりその者を困惑させる行為
(4)勧誘に先立って宅地建物取引業者の商号又は名称、勧誘を行う者の氏名、勧誘をする目的である旨を告げずに、勧誘を行う行為
(5)相手方が契約を締結しない旨の意思(勧誘を引き続き受けることを希望しない旨の意思を含む)を表示したにもかかわらず、勧誘を継続する行為
(6)迷惑を覚えさせるような時間の電話又は訪問する行為

具体的には「断ったにもかかわらずしつこく電話をかけてくる」「長時間にわたって電話を切らせてくれなかった」「深夜や早朝といった迷惑な時間に電話をかけられた」「脅迫めいた発言があった」「自宅に押しかけられ強引に契約を迫られた」「絶対にもうかるから心配ないと言われた」などが該当します。こうした行為があった場合、国土交通省では具体的な状況や様子(日時、勧誘してきた会社名、会社所在地、免許証番号、担当者名、具体的なやり取り等)を記録し、免許行政庁まで知らせてほしいとしています。

免許行政庁とは、ここで挙げた行為を宅建業者が行った場合に業務停止や免許取り消しなどの厳しい処分を科すことができる権限を持っている監督官庁で、国交省か都道府県のいずれかです。国交省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で宅建業者の社名等を入力すれば、免許行政庁はすぐに確認できます。

強引な営業を受けないために

強引な営業を避けるためには、電話営業などを受けた際に買ったり売ったりするつもりがなければ、不動産営業担当と会う約束をしないことが重要です。不動産営業の担当者は「チャンスあり」と認識すれば徹底的に営業してくる可能性があるので、その気がないなら初めから会わないのが一番です。

もし不動産営業担当と会うことになったとしても、毅然とした態度で断ることです。「今日はもう時間がない」などの曖昧な断り方では「まだ営業できる余地あり」と判断されてしまい、再びしつこい営業攻勢をかけられることになります。

それでも違法な営業を執拗にしてくるようであれば、後日の証拠として不動産会社名と担当者名を確認し、実際のやりとりについて録音したり記録をとったりなどして、免許行政庁に相談するとよいでしょう。

田中歩(たなか・あゆみ)
1991年三菱信託銀行(現・三菱UFJ信託銀行)入行。企業不動産・相続不動産コンサルティングなどを切り口に不動産売買・活用・ファイナンスなどの業務に17年間従事。その後独立し、「あゆみリアルティーサービス」を設立。不動産・相続コンサルティングを軸にした仲介サービスを提供。2014年11月から個人向け不動産コンサルティング・ホームインスペクションなどのサービスを提供する「さくら事務所」にも参画。

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住宅資金は老後資金、教育資金と並ぶ人生三大資金です。20代、30代から考えたい「失敗しないマイホーム選び」について不動産コンサルタントの田中歩氏が解説します。隔週月曜日に掲載します。

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