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会社員でも確定申告が必要な時代がやってくる

税金を考える(3)

一度、確定申告を体験すると税金の勉強になる(写真はイメージ=PIXTA)

今月は「Life is Tax」ということで、税と私たちの生活やマネーとのつながりを考えています。今週はあすから受け付けが始まる確定申告についてみてみましょう。

会社員の多くは自分で確定申告をしないのはなぜ

「確定申告」のニュースが増えています。基本的には2月16日から3月15日までのあいだに昨年の所得について申告をする仕組みです。しかし、今年は昨年と同様、新型コロナウイルスの影響を受け、確定申告の期間を1カ月延長することになっています。

ニュースがたくさん出ているものの、会社員のほとんどは確定申告をどこか他人事のように考えているのではないかと思います。実際、確定申告をする必要がない人が多数だからです。

会社員の場合、会社が所得税を毎月の給与等から先取りして、年末調整で精算をします。住民税も会社経由で給与から引かれているので(こちらは前年の年収が影響するので「後払い」的)、これまた意識しません。

それ以外の収入がない場合、また医療費控除など還付を受けられる支出がない場合などは、そのまま手続きは終了です。確定申告書を作成したり、税務署で並んだり(実は郵送で提出してもいいのですが)することは、会社員のほとんどはしなくていいわけです。

しかし確定申告は、自分の納めるべき税金がどのように決まっているかよく理解するためのチャンスでもあります。

計算をしてみると、稼ぎと税金の関係がよく分かる

マイホームを買い、住宅ローン減税のために確定申告が必要になる人は、自分で確定申告の手続きをすることになります。そのとき初めて「なるほど、こんな仕組みなのだ」と学ぶことが多いと思います。

例えば「実際の稼ぎ」から「控除額」を引き、「課税所得」が確定する流れがあります。そのうえで税率を計算し、実際の納税額に反映される仕組みが1枚の紙にまとまっています。

同じ年収でも「控除額」が多いほど納税額は少なくなります。これは家族構成に左右されますし、個人型確定拠出年金(イデコ=iDeCo)を利用すれば、控除額が増えます。

例えば、企業年金のない会社員が年27.6万円をiDeCoに拠出すると、ざっと年間5.5万円くらい節税できます(iDeCo公式サイトでの簡易シミュレーション結果。年収600万円で試算)。積立定期預金を普通にするより、iDeCoの税制優遇がお得であることなども理解するきっかけとなるはずです。

最近では国税庁のサイトにアクセスし、必要事項を記入すると確定申告の計算は自動で算出されるようになったため、細かい計算式を覚える必要はなく、法律の誤解もせずにすみます。興味があるなら、昨年12月に渡された源泉徴収票をもとに、自分の年収、社会保険料負担などを入力してみてください。税金額がそのとおりに表示されてくるはずです。

これからの時代、確定申告する人が増えるかも

ここまで、会社員は確定申告しない人が多いといいましたが、もしかするとこれからの時代は確定申告をする会社員が増えていくかもしれません。

例えば複業や副業をする人が増えていきます。会社の兼業禁止規定が削除されたり、むしろ複数の仕事に携わっていくことがよしとされたりする時代が近づいています。

このとき、複数箇所から給与所得を得たり、個人事業主としてビジネスにチャレンジしたりすると、確定申告をする必要が生じます。すべての稼ぎが課税対象となるからです。

病気やケガの治療費が高額になった場合、医療費控除が使えるかもしれません。領収書を集めて年間で10万円以上になるなら、手続きをしてみましょう。

寄付金控除なども確定申告が必要になります。応援したい団体に寄付をしたとき、確定申告をすることによって所得税が還付(および住民税額への反映)されます。

投資をする人が増えていますが、こちらはあまり負担が生じない工夫がされています。証券口座を開設する際、特定口座で源泉徴収ありとしておけば、自ら確定申告する必要はありません。少額投資非課税制度(NISA)口座は売却益が非課税ですので、これまた申告不要です。

ただし、外国為替証拠金(FX)取引のように「先物取引に係る雑所得等の課税」が生じる場合は、確定申告が必要です。詳しくはFX会社のウェブサイトを確認してみてください。

確定申告を税の仕組みを知るきっかけに

私は30歳で独立開業して以来、自分で確定申告をしてきました。個人オフィスを設立してからは税理士に作成をお願いするようになりましたが、申告内容はよく確認するようにしています。

確定申告を実際に行うことは、ファイナンシャルプランナーとしての資格試験を勉強するよりも、税の仕組みを理解することに役立ちました。ぜひ、確定申告を税の仕組みを理解するきっかけにしていただければと思います。

そして、できれば納税額を少なくしたいと思う皆さんのために、来週は節税の方法についても考えてみたいと思います。

◇  ◇  ◇

FP山崎のLife is MONEY」は毎週月曜日に掲載します。

山崎俊輔(やまさき・しゅんすけ)
フィナンシャル・ウィズダム代表。AFP、消費生活アドバイザー。1972年生まれ。中央大学法学部卒。企業年金研究所、FP総研を経て独立。退職金・企業年金制度と投資教育が専門。著書に「読んだら必ず『もっと早く教えてくれよ』と叫ぶお金の増やし方」(日経BP)、「大人になったら知っておきたいマネーハック大全」(フォレスト出版)など。http://financialwisdom.jp

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