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中古戸建て住宅の売買、「境界標」の確認を

20代からのマイホーム考(33)

住宅の売買などで境界標の確認は重要だ

隣家との敷地の境目を示す境界標(境界石や境界プレートなど)の確認は、戸建て住宅取引において重要なポイントの一つです。新築戸建て分譲は境界標がきちんと設置されているケースがほとんどですが、中古戸建ての取引では設置されていないケースが多いので注意が必要です。

売買契約書に記載の「境界明示」

一般的な不動産売買契約書には、売り主が買い主に対して境界明示をしなければならないと記載されています。境界明示とは、「隣地所有者からの異議申し立てのない完全な所有権の範囲はこれです」と買い主に示すことを意味します。重要なのは、売り主が勝手に思い込んでいる所有権の範囲を示せばよいというものではないということです。

「隣地所有者から異議申し立てのない完全な所有権の範囲」というのは、境界標で囲まれた範囲のことを言います。境界標は、資格のある土地家屋調査士などが測量を行い、その測量図に基づき隣地所有者の立ち会い・承諾を経て初めて設置されます。ですから、隣地所有者と合意した境界点であることを示す具体的な証拠となるわけです。

境界明示は将来のトラブル防止策

契約書には、売り主が買い主に対して境界明示をしなければならないと書いてあるにもかかわらず、それが行われないケースや、境界標がないのに「だいたいこのあたりです」といったあいまいな境界明示で済ませてしまうケースも散見されます。しかし、このような取引をしてしまうと、後日、隣地所有者から境界に関して異議があった場合にトラブルになります。ですから、売り主も買い主も、境界標をきちんと確認したうえで取引をするのが基本です。もし境界標がない場合には、売り主に境界標を設置してもらうのが一般的で、そのような義務を売り主に課した契約条項になっているかどうかは買い主にとって一つのチェックポイントです。

確定測量図で代用することも

境界明示に代えて、売り主が買い主に測量図を引き渡すことで済ませる場合もあります。境界標がなくても測量図があれば問題ないと判断できる場合もあるのですが、これには注意が必要です。

測量図には確定測量図、現況測量図、地積測量図の3種類があります。確定測量図とは、敷地を取り巻く全ての隣地所有者が境界線と境界点について合意した「境界確認書」がある測量図のことです。境界確認書がある確定測量図があれば、境界標が仮になくなっていたとしても、隣地所有者と合意した証があるので、本来あるべき場所に境界標を設置し直すこと(境界標の復元)ができます。ただし、確定測量図がつくられた時期が古く、当時の隣地所有者が別の所有者に変わっている場合などは、境界標の復元が簡単にはできない場合もあるので、買い主は、売り主に境界標を設置しておいてもらった上で残代金を支払うほうが安全です。

現況測量図と地積測量図には注意も

現況測量図は、隣地所有者の意思とは関係なく、現況を土地の所有者の主観に基づき測量しただけのものです。このため、境界標を設置することができる測量図ではありません。

地積測量図は、法務局に備え付けられている測量図のことで、土地の地積変更、地積更正登記、分筆登記などの申請をするときに法務局へ提出されるものです。2005年3月7日以降に作成された地積測量図は実質的に確定測量図と同等の効力があるといわれていますが、それ以前のものについては精度が必ずしも高くないものも含まれ、特に1977年9月3日以前の地積測量図は低い精度のものが多くあるとされていますので注意が必要です。

現況測量図や法務局に備え付けられた地積測量図については、土地家屋調査士などの専門家に相談し、その精度について確認したほうがよいでしょう。

田中歩(たなか・あゆみ)
1991年三菱信託銀行(現・三菱UFJ信託銀行)入行。企業不動産・相続不動産コンサルティングなどを切り口に不動産売買・活用・ファイナンスなどの業務に17年間従事。その後独立し、「あゆみリアルティーサービス」を設立。不動産・相続コンサルティングを軸にした仲介サービスを提供。2014年11月から個人向け不動産コンサルティング・ホームインスペクションなどのサービスを提供する「さくら事務所」にも参画。

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