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金融アドバイザーが資産形成の伴走 コストは大丈夫?

Dr.マネーお悩み外来 Vol.20

お金の悩みは千差万別。でもご安心ください。解決策は必ずあります。「Dr.マネーお悩み外来」では、あなたがお金と上手に付き合い、より豊かな人生が送れるようファイナンシャルプランナー(FP)の白鳥京香がお手伝いいたします。本日もお金の悩みを抱えた人が「白鳥FP事務所」のzoom相談にやってきました。

Case14:「資産形成を成功させるにはゴールを設定して長期分散投資をすることです」。会社員Nさん(男性・47歳)は、金融機関に属さず顧客本位で金融商品を販売しているというIFA(Independent Financial Advisor)から受けたアドバイスが心に響いたようです。

Nさん 人生で大切なことや夢や目標、これからの課題などについてじっくり話を聞いてくれて、ライフスタイルに応じてリスク許容度を考えた上で、私に適したポートフォリオ(運用資産の組み合わせ)を提案してくれました。必要に応じて今後も投資のアドバイスを受けられるそうです。長期分散投資についてもレクチャーいただき勉強になりました。今はほぼ預貯金なので、投資の必要性を感じました。ただ、本当に大丈夫なのかと不安もありまして……。

白鳥 Nさんが受けたコンサルティングは「ゴールベースアプローチ」といい、目標金額(ゴール)を先に決めて投資を行っていく方法です。投資アドバイザーがゴール達成まで伴走し、運用成績が悪ければ積立金額を増やしたり、リスク商品を買い増したりするアドバイスをくれます。

多くの専門家が、「長期投資はなにがあっても絶対にやめないで続けることが大切」と言います。しかし、相場の急落などがあると怖くなってやめたくなる人が多いでしょう。そんなときにアドバイスを受けることで運用を続けられ、結果運用成績も上昇するということです。資産運用のアドバイス、売買の手続き、アフターフォローまで一貫してサポートしてくれるようなサービスにインセンティブを感じられるようなら利用するのも一手でしょう。

しかし、人に任せるということはその見返りに手数料を支払うことになります。高い手数料を支払ったからといって、運用成績が必ずしもよくなることが保証されているわけではありません。

Nさんが勧められたのは、毎月分配型投信と変額保険でした。

コストによって運用成績に大きな差

提案書では現在の貯蓄額1600万円を約2400万円にする目標が立てられていました。500万円で毎月分配型投信を買うと年間25万円の分配金が10年間支払われ、値上がり益が420万円。600万円で購入する変額保険は15年で2倍に増えるとされています。

記されたゴールは約束されたものではありません。また、いずれもコストの高い商品です。この提案がNさんにとってベストだと判断した理由はわかりませんが、貯蓄が目的なら私は選びません。

仮に1年間のリスクとリターンが変わらないとして、20年間年率5%で500万円を運用した場合、運用にかかる費用で成果にどのくらいの差が生じるかをみてみましょう(利益にかかる税金は考慮していません)。

①は全世界の主要企業の株式をすべて保有するインデックスファンドを自分で運用した場合です。かかるのは信託報酬0.2%のみです。②はコストが2%かかった場合です。③はコストが3%かかった場合です。コストとは信託報酬、保険にかかる費用のほか、ラップサービス手数料、コンサルティング料などと考えてください。どのような形でかかるかは契約によって様々なようです。

運用成績は①は約1277万円、②は約903万円、③は約743万円です。自分で運用する①と諸々のコストがかかる③の差は534万円にも上ります。

必要貯蓄額をたんたんと

顧客本位で商品を勧めてくれる人もいるとは思いますが、人に頼るより自分で資産運用することも考えてみましょう。最初の一歩はハードルが高く感じますが、世界中の株式に分散投資をするインデックスファンドを1本持ってみることから始めてみてはどうでしょう。

資産形成に目標を持つことが大切だという考え方もありますが、私は必要貯蓄額を毎月たんたんと貯蓄していけばよいと思います。なぜなら目標金額を達成するために「今売れているこちらの投信を、この保険を」というように商品を勧められやすくなるからです。

誰でもできる資産運用は、手数料の安い全世界の主要企業の株式をすべて保有するインデックスファンドを、iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)を優先的に使って積み立て投資していくことです。

きょうの処方箋です。

・世界中の主要企業の株式すべてを保有していればポートフォリオを見直す必要もありません。
・安いコストのインデックスファンドでゆっくり長く平均リターンをとっていきましょう。

ではまた2週間後に。

岩城みずほ(いわき・みずほ)
ファイナンシャルプランナー(CFP)。オフィスベネフィット代表。「金融商品を販売することによるコミッションを得ず、中立的な立場でコンサルティングする」をモットーに、NPO法人「みんなのお金のアドバイザー協会(FIWA)」副理事長も務める。著書に『「保険でお金を増やす」はリスクがいっぱい』(日本経済新聞出版)など。https://www.officebenefit.com/

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本日もお金の悩みを抱えた若者が「白鳥FP事務所」のドアをたたく……。ファイナンシャルプランナーの岩城みずほ氏がマネーリテラシーの向上のために様々なお金の問題を取り上げ、対話形式でわかりやすく解説します。隔週火曜日に掲載します。

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