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マンション購入時に理解している? 新旧耐震基準の違い

20代からのマイホーム考(37)

中古マンションを購入する際、「新耐震基準」と「旧耐震基準」の違いを理解して購入しようとする人はどれくらいいるのでしょうか。リノベーション済みのお部屋に魅了され、あまり気にせず購入した人もいるかもしれません。しかし、耐震基準について理解した上で中古マンションの購入を検討するとしないとでは大違いだと筆者は考えています。

旧耐震基準は震度5強までを想定

1978年に発生した宮城県沖地震の被害を教訓に建築基準法が見直され、81年6月1日より改正建築基準法が施行されました。81年6月1日の改正建築基準法施行以降の耐震基準は新耐震基準、81年5月31日までの改正建築基準法施行以前の耐震基準は旧耐震基準と呼ばれています。

新耐震基準は、大規模の地震動(震度6強から7に達する程度)に対して、建物が倒壊・崩壊しないことを様々な計算などで検証することが義務付けられています。わかりやすく表現すれば、建物は損傷するかもしれないけれど、建物の倒壊・崩壊を回避できるようにすることで人命は守られるという水準です。一方の旧耐震基準は、中規模の地震動(震度5強程度)に対してほとんど損傷が生ずるおそれがないことを検証すればよく、これ以上の規模の地震動については検証していない建物ということになります。

新耐震基準かどうかの確認方法

81年6月1日以降から改正建築基準法が施行されているので、この日以降に「建築確認申請」が役所に受理された建物が新耐震基準となります。建築確認申請とは、このような建物を法律に準拠して建築するという役所への申請を意味します。「建物が竣工した日」ではなく「建築確認申請が受理された日」が重要なのです。

例えば、81年7月1日に竣工したマンションの場合、建築確認申請の受理日から1カ月でマンションが竣工するとは考えにくいので、81年5月31日以前に建築確認申請が受理された可能性が高いわけです。つまり旧耐震基準の建物である可能性が高いことになります。また、竣工日が82年12月末であったとしても、規模の大きなマンションであれば建築工事期間は1年半以上かかる場合もあり、その場合は旧耐震基準となっている場合もありますので、確認申請の受理日がいつなのかが重要なわけです。

ところが、よく見かける中古マンションの物件資料には、建築確認申請が受理された日が記載されているケースはほとんどありません。きちんと調べたい場合には、不動産会社にお願いして、建築確認済証や検査済証などに記載されている建築確認申請が受理された日をチェックする必要があります。

市場は旧耐震と新耐震を区別せず

このように、旧耐震基準と新耐震基準では地震に対する安全基準が大きく異なりますが、市場はその違いを捉えているのでしょうか。つまり、旧耐震基準のマンションと新耐震基準では価格差が生じているのでしょうか。

筆者は、国土交通省が公表している不動産取引価格情報から東京23区の中古マンション取引事例6322件(2005年以降のデータで建築年が1977~87年、面積60~100平方メートルの物件の取引事例。82年12月以前のマンションを旧耐震基準の建物と想定し、今後の用途が住宅以外の物件は除いた)のデータを使って、新耐震基準と旧耐震基準のマンション価格を分析してみました。結果としては、新耐震基準と旧耐震基準で統計的に有意となる価格差が生じているとは言えないことがわかりました。つまり中古マンションの買い主は、旧耐震基準か新耐震基準かを区別することなく購入している可能性が高いということになります。

旧耐震ならば耐震診断の内容もチェックを

最近、首都圏でもやや大きな地震が発生しています。旧耐震基準の建物だから絶対に買わないほうがよいというわけではありませんが、耐震性にはもう少し留意したほうがよいのではないかと筆者は感じています。

旧耐震基準のマンションならば、管理組合が主体的に耐震診断をしている場合があります。耐震診断を実施しているならば、その内容を事前に確認することも可能です。耐震診断結果は専門家でないと読み解けない場合が多いので、専門家の説明を受けることで、旧耐震基準の建物でも許容できるレベルなのかどうかなどが確認できると思います。

田中歩(たなか・あゆみ)
1991年三菱信託銀行(現・三菱UFJ信託銀行)入行。企業不動産・相続不動産コンサルティングなどを切り口に不動産売買・活用・ファイナンスなどの業務に17年間従事。その後独立し、「あゆみリアルティーサービス」を設立。不動産・相続コンサルティングを軸にした仲介サービスを提供。2014年11月から個人向け不動産コンサルティング・ホームインスペクションなどのサービスを提供する「さくら事務所」にも参画。

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住宅資金は老後資金、教育資金と並ぶ人生三大資金です。20代、30代から考えたい「失敗しないマイホーム選び」について不動産コンサルタントの田中歩氏が解説します。隔週月曜日に掲載します。

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