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米国の格差拡大 株価上昇で増幅のなぜ?

積立王子への道(23)

投資の世界で「積立王子」のニックネームを持つ筆者が、これから長期投資に乗り出す後輩の若者にむけて成功の秘訣を伝授するコラムです。

米国は確定拠出年金の先進国だ

2人が学んだ通り、米国では401Kプランと呼ばれる確定拠出年金制度はすでに40年もの歴史があり、今では大いに社会に定着したといわれる。日本では2人が始めた「iDeCo」(イデコ、個人型確定拠出年金)の普及はまだまだこれからだが、米国ではざっと半数の世帯が加入するほど一般化している。長期に資金拠出を続けてきた人たちの取り崩しも始まっていて、老後資金が大きく育った成功事例になっているんだ。

中流以上に偏った恩恵が深める分断の根

ところが広く普及したといわれるこの制度、参加者は概して中間層以上の所得の人たちに偏在するという課題が残っていたのだ。多民族国家の米国では白人優位の人種差別が今もなお歴史的課題として重く社会に横たわる。世界に先駆けて開かれた自由競争を推進し経済の大繁栄を実現してきただけに、米国の所得格差はそもそも日本とは比べものにならないほど大きい。その社会構造問題を土台に、所得を増やすことのできない白人層の不満がトランプ前大統領への支持へと形を変え、国民間の分断を深める――バイデン新政権はこういう根深い課題を抱えて船出をしたんだ。

確定拠出年金も格差助長の一因に

広く普及している確定拠出年金も参加者が上・中間層に偏ってしまっていることからコロナ禍では格差助長方向に作用してしまっている。収入下位層で失業者が増大する一方、株式市場の活況は金融資産を豊富に持つ富裕層と確定拠出年金に参加している中間層以上に恩恵をもたらし、貧富の差が広がったのさ。

米国のこの現実を日本も「他山の石」としなければいけない。2人のように若いうちからしっかりと「イデコ」や「つみたてNISA」に参加して長期投資を始めた人たちは世界の経済成長から恩恵を受けられる半面、おそらく何十年か先、令和時代が終わるころには長期資産形成を行った人と行わなかった人の間には、今の米国同様にそれなりに顕著な格差が生じていることだろう。

日本でも格差拡大はひとごとではない

だからこそ、少子高齢化が進むこの国の成熟社会をそれなりに豊かに生き抜くためには、ぜひとも日本の生活者に「イデコ」と「つみたてNISA」に参加してもらい、長期積立国際分散投資を実践してもらいたい。一人でも多くの生活者をそこへと導くのが積立王子の社会的使命なのさ!

中野晴啓(なかの・はるひろ)
セゾン投信株式会社代表取締役会長CEO。1963年生まれ。87年クレディセゾン入社。セゾングループ内で投資顧問事業を立ち上げ、運用責任者としてグループ資金の運用等を手がける。2006年セゾン投信(株)を設立。公益財団法人セゾン文化財団理事。一般社団法人投資信託協会理事。全国各地で年間150回講演やセミナーを行っている。『預金バカ』など著書多数。

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積み立て投資には、複利効果やつみたてNISAの仕組みなど押さえておくべきポイントが多くあります。 このコラムでは「積立王子」のニックネームを持つセゾン投信会長兼CEOの中野晴啓さんが、これから資産形成を考える若い世代にむけて「長期・積立・分散」という3つの原則に沿って解説します。

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