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保有特許に注目 「電気機器」関連の技術成長株

工藤特許探偵事務所

写真はイメージ=PIXTA

技術の経済的価値から有望銘柄を探す「工藤特許探偵事務所」。その価値を示すYK値(下囲み参照)の過去2年間の成長率が高い銘柄を業種ごとに紹介する。今回取り上げる業種は「電気機器」だ。

「電気機器」業種には家電製品や電子部品、半導体製造装置、インフラ関連の電気設備など、電気に関する機器を扱う会社を幅広く含んでいる。中でも技術の向上が目覚ましいのはセンサーやアンテナなどの電子部品、半導体製造装置などの業務用機器といった分野だ。株式市場でも旬の話題になっているIoT(モノのインターネット)や5G、AI(人工知能)などを支える技術ともいえるだろう。以下、「電気機器」に分類される企業からYK値成長率上位の4銘柄を紹介する。

第1位アクセル。遊戯機向けなどの専用半導体の開発・販売が主力で、工場は持たない(ファブレス)。近年はAIやブロックチェーンといった新しい領域でも積極的に事業を展開しており、このAI分野でYK値が伸びている。人間の視覚の仕組みに基づいた画像認識の学習方法など、AI技術に強みを持ち、これは自動運転や人物識別など幅広い分野への応用も可能だ。今後、AIの普及に合わせ、同社の事業領域はさらに拡大する可能性を秘めている。

第2位オプテックスグループは防犯用や自動ドア用センサーの大手。技術力を伸ばしているのは画像検査用LED照明の分野だ。同社は外観検査をAIで自動化する事業に取り組んでいる。これは製品などの外観を撮影し、傷の有無などを検査するというもの。撮影画像の品質は光の加減に左右されるため、照明は重要な技術となる。今後はAIの発達で外観検査の自動化はさらに進むことが予想されており、同社の高いLED照明技術も注目されそうだ。

第3位ヨコオ。自動車用アンテナや電子回路検査用コネクターを手掛けている。海外生産比率は80%超とグローバル化にも積極的な企業だ。技術力を伸ばしているのは車載アンテナの分野。アンテナはETC(自動料金収受システム)やカーナビにも欠かせないが、近年は自動運転のキーデバイスとしても注目されている。1台のクルマに多数のアンテナが搭載される時代になれば、同社の業績もさらなる拡大が期待できる。

第4位アイホンはインターホンの大手。国内では2021年3月期時点で約55%と高いシェアを誇る。北米・欧州を中心に海外でも活躍している。集合住宅や工場、介護施設など、多数の端末を統合的に管理するインターホン関連の技術を伸ばしている。特に介護施設向けは高齢化社会の進展に合わせ市場も成長していくことが予想されており、同社の業績にもプラスになるはずだ。

この4社は従来の製品分野で確固たる地位を維持しつつ、IoTやAI化の波にも乗っていけそうな企業だ。今後のさらなる活躍を期待したい。

なお、今回紹介した4銘柄以外では、航空・宇宙向けの電装品や産業用の電気機器を手掛けるシンフォニアテクノロジーや、ビルの自動化やエネルギー管理システムに高い技術を持つアズビル、製品の信頼性を検査する環境試験器に強みがあるエスペックなどが技術優良銘柄として挙げられる。

この連載では、企業が保有する特許(=技術力)に着目して有望銘柄を発掘する。「企業が保有する特許の経済価値(技術力)の総和と時価総額(株価)には相関がある」という仮説に基づき、成長株を探していく。

YK値とは? 技術力(特許価値)で成長株を探す方法


YK値は工藤一郎国際特許事務所が開発した指標で、出願された特許に対する閲覧請求や無効審判など、ライバル企業が特許の内容を調べたり、無効にするために弁理士に支払った費用から算出する。弁理士コストは50万~100万円程度、訴訟を含めた場合は数百万円程度であり、YK値はこの金額を基準として算出する。なお、実際の手続きには弁理士コスト以外も必要で、全体では弁理士コストの10倍、数千万円程度になることもある。ただし、全体のコストと弁理士コストはおおむね比例するため、弁理士コストから技術の価値は推定できる。YK値は特許価値評価ウェブサービス「PATWARE」で参照可能。

YK値が上昇すると時価総額(株価)の増加も期待できる。図は日東電工の過去30年間の株価とYK値の推移だが、両者には一定の相関が見て取れる。このコラムでは成長株を探すため、過去2年間のYK値上昇率に着目。業種ごとに増加率上位銘柄を成長株として紹介する。特許価値の変化が株価に反映されやすい中小型株が対象だ。なおYK値は株価には着目していない。株価が既に割高になっている場合もあるので、PERやPBRなども合わせて参考にしてほしい。
工藤一郎(くどう・いちろう)
弁理士。工藤一郎国際特許事務所所長。大阪大学工学部卒。NECで磁気ヘッド開発に従事した後、知的財産部などで特許実務に携わる。2000年4月に工藤一郎国際特許事務所設立。特許の経済的価値の数値化や、特許価値の比較を容易にする技術業種分類などを開発。

[日経マネー2021年11月号の記事を再構成]

日経マネー 2021年11月号 上昇期待の好業績株
著者 : 日経マネー
出版 : 日経BP (2021/9/21)
価格 : 750円(税込み)
この書籍を購入する(ヘルプ): Amazon.co.jp 楽天ブックス

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