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四半期決算で有望株を発掘 資産4倍で1億円を突破

スゴ腕個人投資家の決算活用術(上)

保有株の先行きを見通す上で欠かせないのが、四半期決算のチェックだ。業績の伸びが想定を上回れば、投資家の買いが集まって大きく値上がりする可能性がある。逆に想定を下回れば、一斉に売られて大きく値下がりしかねない。
10月には小売業などに多い2月期決算企業の中間決算の発表が相次ぐ。そこで、スゴ腕個人投資家の四半期決算の活用術を取材し、3回連載で紹介する。初回は、四半期決算をチェックして見つけた成長企業株への投資で資産1億円を突破した会社員投資家のノウハウに注目する。

ツイッター上で今後1年で最も値上がりすると思う銘柄を投票するコンテスト「四季報トーナメント」。会社員投資家のよしぼんさん(ハンドルネーム)は、この人気イベントの開催者として知られる(今年夏に中止)。2019年には運用資産を4倍に増やし、1億円の大台に乗せた。

よしぼんさんは、00年に株式投資を始めた。最初の10年は、PER(株価収益率)が低い銘柄を株価チャートの形状を見て売買するスイングトレードが主体だったという。仕事で必要が生じて簿記を勉強したのをきっかけに、企業の財務諸表分析の面白さに目覚める。それに伴って株式投資の軸も、チャートの分析から企業決算の分析へとシフトした。

四半期決算をチェックし、売上高が前年同期比10%以上、経常利益が同20%以上増加している企業に着目する。次に経常利益の増加率が5年続くと仮定し、5年後の経常利益の予想値を出す。例えば増加率が30%だったら、前期の経常利益に1.3を5回掛ける。

こうして求めた5年後の経常利益の予想値を基に、将来の時価総額を算出する。それが足元の時価総額と大きくかけ離れていれば、値上がりの余地が大きいと判断して購入する。時価総額が予想値に到達したら売るのが基本だ。

企業の決算分析に軸足を移しても、スイングトレードは変えなかった。だが、業績拡大の背景に事業構造の変化がある銘柄は次第に長く持つようになっていった。19年には、顧客満足度調査を新たな収益源に育てたオリコンなどの売買で大きな利益を収め、先述の運用資産4倍増を実現した。

アフターコロナ相場には乗れず

昨年に起きたコロナショックでは直撃を受け、運用資産は1億円を割り込んだ。だが、その後は四半期決算の精査で目を付けた成長企業株の売買で挽回し、昨年10月には1億5000万円近くまで増やしたという。

ところが、その後の日本株相場は、新型コロナウイルスのワクチン開発の進展を受けてアフターコロナの経済正常化を急速に織り込み始める。この相場の急転換によしぼんさんは付いていけなかった。決算に期待して大量に保有していた銘柄が下落したこともあり、再び運用資産を減らした。

「私は数字の裏付けがないと投資できないタイプ。足元の業績が低迷している企業の株を将来の業績回復を見越して買うことはできなかった」と振り返る。

決算分析で主力銘柄を発掘

従来の投資法を今も続け、企業決算の分析に注力する。その中で目を付けて購入したのが、新興市場の3銘柄だ。

Macbee Planetは、20年3月に上場した新興企業で、企業のウェブマーケティングの支援を手掛けている。自社で開発したデータ分析ツールを使って企業のインターネット広告を分析し、ウェブサイトへのアクセス数を増やして商品の購入やサービスの契約につなげる広告展開を提案する。よしぼんさんは、6月11日に発表された21年4月期の通期決算を分析して購入を決断した。

マクビーには2つの事業がある。データ解析プラットフォームの「ハニカム」を使うアナリティクスコンサルティング(AC)事業と、ウェブ上での接客ツール「Robee(ロビー)」を活用するマーケティングテクノロジー(MT)事業だ。

「仕入れ原価がかからず、売上総利益率が100%と高いMT事業の比率が高まり、利益率の改善が見込める点も注目した」と話す。

同社は9月14日に22年4月期第1四半期(5~7月期)の決算を発表し、同時に通期の業績予想を上方修正した。7月に完全子会社化したAI(人工知能)マーケティングプラットフォーム展開のAlphaの業績が加わることを理由に挙げている。同第1四半期の業績は売上高が前年同期比2.3倍の41億円、営業利益が2.4倍の3.3億円となり、両方とも過去最高を更新した。

GMOメディアは、広告収益モデルで無料で閲覧できるサイトやスマホアプリなどを運営する。5月6日に発表した21年12月期の第1四半期(1~3月期)決算で、売上高が前年同期の1.9倍に増え、最終黒字に転換した点に着目した。

プログラミング教育と美容医療を対象にした新規事業の進展も評価した。プログラミング教育は小学校と中学校で必修となり、22年度には高校でも必修化される。

「プログラミング教育と美容医療に対する投資は21年で終了し、22年以降は利益が大きく増える見通しだ」と期待を寄せる。

日本一ソフトウェアは、家庭用ゲーム機向けのゲームソフトの企画・開発が主力事業。8月6日に発表した22年3月期第1四半期(4~6月期)決算は、売上高が前年同期比1.9倍、経常利益が同4.6倍、当期純利益が同6.4倍に増加した。

「第2四半期以降も、発売予定のゲームソフトが多くある。この点も考慮すると、会社の下半期の業績予想は保守的だ」とよしぼんさんは指摘し、上方修正の可能性があるとの見方を示している。

(中野目純一)

[日経マネー2021年11月号の記事を再構成]

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