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株を買う前に「出口」を想定 損切り基準を明確に

スゴ腕投資家に学ぶ「売り」の技術(上)

株式投資で多額の資産を築いた個人投資家は、利益確定や損切りをどのように行っているのか。スゴ腕投資家の「売り」の考え方やテクニックを2回にわたって紹介する。今回は、「Bコミ」のハンドルネームでも知られる元ファンドマネジャーの坂本慎太郎さんに話を聞いた。

――株式投資において、売りで失敗しないためにはどんな対策が有効でしょうか。

個人投資家から、売りに関する相談を受けることがよくあります。「損切りができません」「どうすれば売りがうまくなりますか」――。正しい回答はそれぞれのケースで異なりますが、多くの場合に共通するのが、「なぜ、買う前に出口を決めないのですか」ということです。

私の場合、少なくとも、利益確定の価格と損切りの価格を決めてからポジションを取ります。こういうシナリオになったら価格を変える、といったこともあらかじめ想定します。売りができないという人は、まず、買う前の意識を改善することから始めるのがいいと思います。

――損切りが苦手という人は多いです。

私は「納得して損切りする」ことが大事だと思っています。なぜその価格になったのか、次はどうすれば改善できるのか。こうしたことを頭で理解してから損切りしないと、後悔しか残りません。後悔は1円の得にもなりません。

個人投資家は王様のようなもので、買いも売りも自分の好きなようにできます。ただ、自分をいさめてくれる大臣や執事はいません。常に独りで決断しなければいけないのです。性格的に、損切りを先延ばしにしてしまうという人は、あらかじめ対策を講じる必要があります。

要注意銘柄には手を出さない

――どのような対策がありますか。

一番簡単なのは、損切りが多発しがちな要注意銘柄に手を出さないことです。例えば、赤字の創薬系バイオベンチャー。新薬の開発フェーズが進むと株価が急騰するので非常に人気がありますが、実際に新薬の上市までたどり着くのは極めて困難です。特に、赤字の企業は資金ショートとの戦いになるため、増資の連発で「株券印刷会社」のようになってしまうケースも多いのです。株数が増え過ぎると株価復活の可能性が非常に低くなるので、損切りが必須と言えます。バイオベンチャーに投資するなら、米国のバイオ株を選ぶのがいいと思います。そちらの方が成功例が圧倒的に多いです。

同様に、旬が過ぎた人気株や低位株も損切りになるリスクが大きいので、最初から避けるのが無難でしょう。株主優待を廃止した銘柄は、業績によります。好業績銘柄なら、優待廃止を増配などで埋め合わせすることが多いため、機関投資家からの人気が出やすくなり、株価の復活も期待できます。一方、業績が悪い銘柄の場合、単純に優待分のプレミアムが剥落するだけなので、廃止前の株価に戻るのは困難になります。保有していた場合は、早めに損切りした方がいいでしょう。

――上手に損切りするワザは。

損切りが全くできない人は、「逆指し値」を使って、強制的に損切りする練習から始めるのがいいと思います。実践するうちに、損益に対する意識改革ができます。また、「合わせ切り」を活用するのもいいでしょう。これは損切りと利益確定を同時にするワザで、単純な損切りよりも精神的にやりやすいと感じる人が多いようです。

ついナンピン買いをして含み損が膨らんでしまう人は、損切りの基準を価格ではなく、金額で管理する手があります。ナンピン買いをすると株価が1円下がった時の損失額が大きくなります。このため、損切りの価格を変えずにいると、いざその価格になった時の含み損が、当初の想定よりも大きくなってしまうのです。例えば、「含み損が10万円になったら損切り」などと金額を基準にすれば防げます。

(市田憲司)

[日経マネー2021年12月号の記事を再構成]

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