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学生とその親は必読 お金がなくても大学に行ける可能性

「奨学金 上手な借り方 新常識」から(上)

写真はイメージ=PIXTA

奨学金の利用者は昔に比べて増えており、日本学生支援機構(JASSO)の「平成30年度 学生生活調査」によると今や昼間部の大学生の2人に1人、47.5%が奨学金を受給している。教育費を考える時、奨学金はもはやなくてはならない存在であり、特に今回のコロナ禍のような時には頼れる制度だといえる。だが一方では「社会に出た瞬間から借金を背負う」「返済には9~20年かかる」といった問題も生んでいるため、制度をよく知り、子供の負担が極力少なくなるよう借りることが重要になる。その上手な借り方をまとめたのが、ファイナンシャルプランナーの竹下さくらさんが4月に出版した新書「緊急対応版 奨学金 上手な借り方 新常識」だ。ここでは同書の序章の一部を2回に分けて転載し、高校生や大学生のいる世帯が、コロナ禍に対応した奨学金の新制度をどう利用すればいいのかを考える。

◇  ◇  ◇

大学をあきらめなくていい理由1

入学金も授業料も支援してもらえる新制度がスタート

「緊急対応版 奨学金 上手な借り方 新常識」竹下さくら著・青春出版社(税込み1210円)

大学や専門学校への進学を希望する高校生にとって、気になることのひとつが「お金」のこと。とくに、新型コロナウイルス感染症の影響などで自分の家庭の収入が激減してしまい、「大学に合格しても、とても授業料を払い続けることができそうもない」と進学をあきらめかけている人もいるかもしれません。

そんな人たちに向けて、文部科学省は2020年5月「学生の"学びの支援"緊急パッケージ」を新設、同年12月に始まりました。大学などに進学して「学びたい」という意欲ある高校生が、「お金」のことで進学を断念することがないように後押しする新制度です。

もともとは、すでに大学などに進学している人が、新型コロナウイルス感染症の影響などでアルバイトができなくなったり、家計が急変したりしたことが理由で「授業料を払えない」「大学を中退するしかない」となってしまうのを救済する「緊急」支援ですが、2021年度も継続されています。

つまり、これから大学などへの進学を希望している高校生も、この新制度を利用できれば、入学金の免除や授業料の減額、「返さなくてもいい」給付型奨学金、「無利子」の貸与(たいよ)型奨学金などでの支援を受けられることになります。

例えば、新たに実施された「高等教育の修学支援新制度」では、「授業料・入学金の減免」と「給付型」の奨学金がセットになっていて、国公立大学の学生であれば最大約162万円、私立大学の学生なら最大約187万円もの支援を受けられます。「お金がないから大学進学をあきらめる」必要はない時代になってきています。

文部科学省「新型コロナウイルス感染症の影響で学費等支援が必要になった学生のみなさんへ」より作成
まずは奨学金の「基本のキ」を押さえておこう

奨学金を考えるとき、多くの場合、独立行政法人日本学生支援機構(JASSO、ジャッソ)の奨学金を借りることになります。

もちろんJASSOの奨学金だけでなく、大学独自の奨学金や地方自治体、企業、財団などが提供している奨学金もありますが、まずは最も利用者が多いJASSOの奨学金を中心に活用のポイントを説明します。

そこで、まずは読み進めていくにあたって、覚えておいてほしい奨学金の「基本のキ」を書いておきます。この7つのポイントを頭に入れて読み進めていくことで、奨学金を借りるときに気をつけるべきこと、大切なことがわかると思います。

ちなみに、JASSOの奨学金は先輩たちが返すお金がこれから借りたい人に使われる仕組みであることから、返済と言わず「返還」を用いています。

大学をあきらめなくていい理由2

「アルバイトができなくて学費が払えない」そんな学生の支援策もスタート

「学生の"学びの支援"緊急パッケージ」では、「アルバイト代減収への緊急支援」と「家計急変世帯への緊急対応」の2つの支援策があります。

大学に進学したら、アルバイトで学費や生活費をまかなおうと考えている高校生もいるでしょう。ところが、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化したら、アルバイトでの収入を得られないことも考えられます。そんな悩みを抱える学生を支援するのが「アルバイト代減収への緊急支援」です。

アルバイト代の大幅減収で、大学などに通い続けることが困難になった学生に対して「学生支援緊急給付金」として10万円、住民税非課税世帯の学生であれば20万円が給付されます。

すでに大学などに在学している学生を対象とした緊急支援策ではありますが、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化することも見据えて、2021年度も継続して実施されています。

文部科学省「学生の"学びの支援"緊急パッケージ」より作成

大学をあきらめなくていい理由3

「収入激減」「学費が払えない」……家計急変世帯への緊急対策も拡充

大学進学を希望しているけど家庭の収入が激減し、進学しても「大学に通い続けられるかが不安」という高校生も多いのではないでしょうか。

これまでも学生の親の死亡、病気、事故や、自然災害などで「家計が急変」した場合の支援制度はありましたが、それが、新型コロナウイルス感染症の影響で、さらに拡充されました。

「家計急変世帯への緊急対応」では、例えば親が仕事を失って収入がなくなってしまったなど家計が急変したら、すぐに申請して給付型奨学金の支給を受けられるようになりました。申請は「随時受け付け」、支援は「随時実施」となったのです。

家計が急変してから3カ月以内に申し込めば、認定後に「申請のあった月から支援開始」です。しかも、家計急変の支援対象となるかどうかの判定は、家庭の「前年の所得」ではなく、「急変後の所得」で判定されます。家計が急変したら「すぐに支援を受けられる」ように給付型奨学金も拡充されたのです。

文部科学省「新型コロナウイルス感染症の影響で学費等支援が必要になった学生のみなさんへ」より作成
新制度で支援を受けるには「自己申告」がより大切に

ここまで説明してきた「学生支援緊急給付金」や「家計急変世帯への緊急対応」の支援を受けるには、大学に進学した後に、学生が自ら「それらの支援策を利用できるかどうか」進学した学校に問い合わせる必要があります。つまり、「自己申告」が「いままで以上に大切になった」ということ。

例えば、「学生支援緊急給付金」は、原則的には家庭から自立し、アルバイトで学費や生活費をまかなっている学生が対象ですが、自宅生でも家庭から学費などの援助を受けない場合は、学生支援緊急給付金の対象となりえます。この場合も、自己申告が必要です。どんな学生が新たな支援の対象となるのかは、最終的には大学が学生からの自己申告にもとづいて判断します。

また、「家計急変世帯への緊急対応」で給付型を申し込む学生に対しては、「急変後の所得」を基準とします。貸与型でも以前から在学生を対象に緊急採用(第一種)と応急採用(第二種)を実施しており、同様の対応をしています。

そのため、高校生のときに「家計の所得基準から希望する奨学金を借りられなかった」という学生も、大学入学後に新たに申し込めば支援対象になる可能性があります。自分が通う大学に自己申告して、支援対象となるかどうかを確認することが大切です。

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