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株乱高下はバブル崩壊の発端? 気鋭の経済学者の見方

変調相場への対応を聞く(上)

前週末に1200円超も下落した日経平均株価は週明け3月1日に反発。上昇幅は一時700円を超えた
前週末の2月26日に起きた株式相場の急落。3万円の大台を回復していた日経平均株価は前日比1202円26銭(4.0%)も下落し、2万9000円を割り込んだ。主因とされたのは、米長期金利の指標となっている米10年物国債の利回りの急騰だ。週明け3月1日に相場は反発し、日経平均は前週末比697円49銭(2.41%)上昇したものの、当面は米国債利回りの変動で株価が急騰と急落を繰り返す不安定な相場が続く可能性がある。変調を来し始めた相場への対応を行動経済学者やスゴ腕の個人投資家に聞いた。前編では個人投資家でもある気鋭の行動経済学者、小幡績慶応義塾大学准教授の見方とアドバイスを紹介する。

「ほぼ全員が短期でのキャピタルゲイン(売却益)を狙って投資している。みんなが買っているから自分も買うという投資行動が広がってもいる。今の株式市場は明らかに完全なバブルだ。いつはじけてもおかしくない」

急落が起きる2日前の2月24日。取材の相手はこう言い切った。慶応義塾大学ビジネス・スクールの小幡績准教授。人がときに非合理な行動を取る心の動きを解明する「行動経済学」の知見を応用して人間の投資に関わる行動を研究する「行動ファイナンス」が専門の経済学者だ。

バブルは年内にはじけると予想

1967年生まれ。92年東京大学経済学部卒業、大蔵省(現財務省)入省、99年退職。2001年米ハーバード大学で経済学博士号を取得。2003年から慶応義塾大学ビジネス・スクール(慶応義塾大学大学院経営管理研究科)准教授。専門は企業金融、行動ファイナンス、NPO(非営利組織)、政治経済学(撮影/陶山 勉)

2020年9月には新著『アフターバブル 近代資本主義は延命できるか』(東洋経済新報社)を出版。同年に起きたコロナショックの本質はリーマン・ショック後の金融緩和で生じていたバブルの崩壊であり、その後のかつてない規模の財政出動・金融緩和が起こした「コロナショックバブル」もいずれ崩壊する。だが、金融政策も財政出動も限界に達して次のバブルをつくる余力はなく、バブルでバブルを乗り越える循環は終焉(しゅうえん)すると警鐘を鳴らした。

小幡准教授は同書で、コロナショックバブル崩壊の引き金となるのは先進国の財政破綻だと予想した。だが、21年に入って新たな予想を出した。それは、バブルで株だけでなく暗号資産(仮想通貨)のビットコインや不動産など様々なリスク資産の価格があまりにも割高になっていることに限界を感じて一定数以上の人が売り始め、それが暴落を引き起こして年内にバブルが崩壊するというシナリオだ。

投資の継続を迷うなら手じまいを

この筋書きを聞いた2日後に起きた世界的な株安は、果たしてバブル崩壊の発端なのか。それはまだ定かではない。だが、未曽有の金融緩和・財政出動を背景に株高が続くという楽観的なシナリオが綻びを見せ始めたことは確かだ。不透明感が増す市場にどう向き合えばいいのだろうか。 

株などを売買する個人投資家でもある小幡准教授は「株式投資を続けるかどうか迷っているのであれば、持ち株を即座に全部売るか、全部がためらわれるなら半分売るといい。それで意に反してさらに値上がりしたら、早く売りすぎたと後悔すればいいだけの話だ」と語る。

「手じまいせず、もっと大きくもうけたいのであれば、バブル崩壊の兆候が出るまで持ち続けるのも選択肢の1つだ。ただしその場合には、保有する銘柄はいざという時にも売買高が多くて売りやすい大型株にしておくべきだ」と続ける。

売りやすい大型株の例として、出遅れてあまり値上がりしておらず、配当利回りの高い大手製薬会社や大手通信会社の株を挙げる。「財務も強い会社の株がいい」(小幡准教授)

さらに小幡准教授は「今から株式投資を始めるのはやめるべきだ」と強調する。

(中野目純一)

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