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業績、財務、成長性 優待以外の魅力もある銘柄に投資

優待達人に聞く コロナ下の投資戦略(下)

写真はイメージ=PIXTA
2月・3月に次いで株主優待の権利が確定する銘柄が多い8月・9月。コロナ禍の影響が続くこの夏の優待シーズンに、優待株への投資経験が豊富な個人投資家はどう臨もうとしているのか。今回は、達人たちの銘柄選びの視点を紹介する。

優待達人は「投資の基本」に立ち戻る

ブログやSNS(交流サイト)で優待投資に関する情報を発信、多くのフォロワーを持つ個人投資家8人に投資戦略を取材すると、全員に共通していたのは「業績や財務をチェックした上で投資する」こと。投資の基本に立ち返るというスタンスだ。

優待バリュー投資の巧者として知られるv-com2さん(ハンドルネーム)は「優待だけを理由に買わず、業績・財務を確認した上で安定した銘柄を買う」と話す。魅力的な優待品と活用術を発信しているようこりんさん(同)は「優待は、その銘柄を買う理由の一つにすぎない」とした上で、「業績・財務を確認し、たとえ優待がなくなっても保有できる銘柄を買う」とのスタンスを取る。

足元は一時的に業績が悪化していても、「中長期的な成長が見込める」など、優待以外にも保有する理由がある銘柄だけを持つ、との声も聞かれた。

株主還元施策全体に目配り

優待のみならず配当にも着目して銘柄を選ぶ優待投資家も多い。生活に役立つ優待情報に詳しい夕刊マダムさん(同)は「無配の銘柄は買わないようにする」。ファンダメンタルズ分析を得意とするなちゅさん(同)も「優待と配当を足し合わせた総合利回りで銘柄を判断。できれば増配が続くような『配当成長』している銘柄を選び、優待が廃止されても保有できる銘柄を選ぶ」と話す。

実は21年以降、「株主優待は廃止するが増配」とする企業が相次いでいる。手帳優待のタナベ経営は、5月に株式分割とともに優待廃止と増配を発表。自社関連品優待で人気が高かった竹本容器も6月に優待を廃止、増配を発表している。その背景にあるとみられるのが「株主への公平な利益還元」だ。最近は「公平な利益還元」を理由とする優待廃止が増加。20年度に優待廃止した75銘柄のうち、業績悪化を理由としたものが4件だったのに対し、公平な利益還元を理由にしたのは25件で最も多かった(野村インベスター・リレーションズ調べ)。

こうした動きについてv-com2さんは「2つのパターンが想定できる」とみる。一つは、企業の知名度が低い段階では株主優待で個人投資家に支えてもらい、成長して知名度が上昇した後に配当重視に切り替えるパターン。もう一つは株主数が増え過ぎて優待コストがかさみ、コスト削減のために優待廃止に踏み切るパターンだ。「後者は株価も下落するため『悪い優待廃止』と言わざるを得ない」と指摘する。

優待廃止イコール「即売り」ではない

配当重視の流れには、来年4月に予定されている東証の市場再編も影響している、とv-com2さん。従来の東証1部の上場基準では2200人以上求められていた株主数が、再編後の最上位・プライム市場では800人以上にハードルが下がる。このため株主数を維持する施策の必要性が薄れ、株主優待を廃止する流れがあるのでは、という見方だ。なちゅさんは「配当重視への切り替えは、海外投資家や機関投資家を意識しているとの企業からのメッセージ。結果、株価切り上げにつながることもある。優待廃止=即売りとはせず、廃止発表後も様子を見ることが必要だ」と指摘する。

(佐藤由紀子)

[日経マネー2021年9月号の記事を再構成]

日経マネー 2021年9月号 年後半の上昇期待株
著者 : 日経マネー
出版 : 日経BP (2021/7/19)
価格 : 750円(税込み)
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