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米市場で存在感増すロビンフッダー 思わぬ影響に要注意

米国株投資家もみあげの現地リポート(1)

ロビンフッド・マーケッツが提供する取引無料のアプリを使って投資する人が多いことから「ロビンフッダー」と呼ばれる投資初心者たち。彼らの影響力が米株式市場などで強まっている
日本企業の駐在員として米国に滞在し、米国株式市場の動向を現地で体感。米国株投資のタイムリーな情報をブログで発信し、個人投資家の間で人気を博している会社員投資家のもみあげさん(ハンドルネーム)。このトレンドウオッチャーが旬のトピックを個人投資家の目線で分かりやすく紹介します!

米国株相場は2021年に入って主要な株価指数がそろって史上最高値を更新して好調なスタートを切しましたが、2月下旬を境に様相が一変しました。きっかけとなったのは、米長期金利の指標である米10年物国債の利回りの急騰。相対的に投資対象としての魅力が薄れた株が全般的に売られ、相場全体が急落しました。3月に入っても、10年物国債の利回りの変動で相場全体が乱高下する展開が続いています。

この米国株相場の状況は日本のメディアでも報じられていますので、詳しい方も多いでしょう。市場が現在、最も注目しているのは10年物国債の利回りがどの水準で落ち着くかです。

折しもジョー・バイデン政権が打ち出した総額1.9兆ドル(約208兆円)の追加経済対策の法案が米連邦議会で成立しました。巨額の経済対策の実施で財政悪化に対する懸念が深まったり、景気回復に伴って物価が大きく上昇したりすれば、10年物国債の利回りが一段と上昇し、米国株相場の急落を再び招く恐れがあります。10年物国債の利回りや相場全体の動向を注視しながら、慎重に投資に取り組むことが求められます。

影響力発揮する素人投資家

そうした中、市場から再び注目されたのが、コロナショックで相場が暴落した後に株式投資をスタートした個人投資家のビギナーたちの動向です。彼らの多くは、コロナ禍で巣ごもりを余儀なくされる中、政府からの給付金や失業手当を元手に家庭でゲームを楽しむような感覚で株式投資を始めたといわれてます。

新興のスマホ専業証券会社、米ロビンフッド・マーケッツが提供している取引無料のアプリを使って売買している人が多いことから、彼らに付いた異名が「ロビンフッダー」。結果がすぐ出てゲームに近い感覚を味わえるからでしょう。デイトレードなどの短期トレードを手掛ける人が多いのも、ロビンフッダーたちの特色です。

彼らが思いの外、大きな影響力を持ち始めていることを印象づけたのが、1月末に起きた米株式市場の騒動です。ゲーム専門店を展開する米ゲームストップなど、経営不振に陥ってヘッジファンドから空売りを仕掛けられていた複数銘柄の購入をオンライン掲示板「レディット」で個人投資家が呼びかけました。それに応じたロビンフッダーたちの「共同買い」が広がり、各銘柄は急騰。ヘッジファンドが損失覚悟の買い戻しを余儀なくされて、共同買いの対象となった銘柄は短期間で異常に値上がりし、その後に急落しました。

この騒動の進行中に、ツイッターなどのSNS(交流サイト)には共同買いに参加したロビンフッダーたちの書き込みがあふれました。コロナショックの後に始めた経験の浅い初心者たちが軽い気持ちでゲームストップの株やコールオプションを買い、異常なスピードで上昇する株価に大興奮する様子を垣間見て、衝撃を受けたのを今でも覚えています。

3月上旬にも、レディット上の書き込みで購入が勧められていた住宅ローン会社の米ロケット・カンパニーズの株価が急騰。SNS上の書き込みを基にネット上で話題になっている銘柄を組み入れる株価指数に連動するETFが上場するなど、騒動の余波はまだ続きそうです。

トリッキーな米国の株式売買益課税

ところで、私はロビンフッダーたちが別の形で市場に影響を及ぼすことを懸念しています。彼らはこの3~5月の納税シーズンに初めて株の売買益に対して課税を受けます。トリッキーなのは、米連邦税の株式売買益課税です。保有期間が1年に満たないと、税率の低いキャピタルゲイン税ではなく所得税が適用されます。

納税も初心者で短期トレーダーが多いロビンフッダーの多くはこのことを知らず、面食らうでしょう。納税の資金を捻出するために持ち株を慌てて売却したり、新たな投資用の資金を納税に回したりするなど、混乱が起きそうです。思わぬ形で相場の需給に影響し、波乱を招かないかと警戒しています。

【今回のポイント】 影響力を持ち始めたロビンフッダーの動向にはご用心

もみあげさん
米国駐在中の会社員投資家。2018年から米国の成長企業の個別株とETFを売買。運用資産1400万円を4000万円まで増やす。執筆中のブログ「もみあげの米国株投資」(https://www.momiage.work/)が個人投資家に人気。20年10月には著書『もみあげ流 米国株投資講座』(ソーテック社)を出版した。
イラスト/じゅんぺい@macsJUM

[日経マネー2021年5月号の記事を再構成]

日経マネー 2021年5月号 日経平均3万円からの株の勝ち方入門
著者 : 日経マネー
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