/

買い手豊富な日本株、2021年は割安株にも復権期待

新年相場をプロが展望(中) 東海東京調査センター仙石誠さん

コロナショックから急回復を遂げた株式市場。11月下旬には日経平均株価が29年半ぶり高値を付けるなど、堅調に推移してきた。この勢いは21年も続くのか。「新年相場をプロが展望」の2回目は、東海東京調査センターシニアエクイティマーケットアナリストの仙石誠さんに、21年の日本株の見通しを聞いた。

海外投資家が日本株見直し買いへ

──米大統領選後、日本の株式相場は急騰しました。

相場を主導しているのは海外投資家の買い戻しです。2020年の投資部門別投資動向を見ると、10月末まで海外投資家は現物と先物を合わせて約9兆円を売り越していました。ところが11月になると一転、約3兆1000億円を買い越しています。

──なぜ海外投資家は日本株を買い戻しているのでしょうか。

米大統領選が大きな混乱なくバイデン氏の勝利で終わったことや、新型コロナウイルスのワクチン開発期待で投資家心理が改善したのはもちろんあります。しかし、やはり日本における新型コロナの被害が欧米に比べて軽微である点も大きいとみています。経済活動の鈍化懸念など、不確実性が比較的小さいとみられているのです。

──海外勢の買いは21年も続くでしょうか。

私は続くと思います。20年の累積売越額から考えて、買い戻しが年内で終わるとは考えにくいのです。新規の買いもあるでしょう。21年に行われる、衆院解散・総選挙がこの背景にあります。

解散総選挙があると、海外投資家は日本株買いに動きやすいというアノマリー(経験則)があります。さらに今回の場合、総選挙があれば自民党の勝利が濃厚とされています。これは菅政権の改革路線の継続が確認されるという意味で、投資家の安心につながるでしょう。欧米の政局に不透明感が強いだけになおさらです。

──21年は海外投資家がけん引する相場になるのでしょうか。

買いの主体は海外投資家だけではありません。20年の株式相場が堅調だったのは日銀と個人の買いがあったからです。コロナ禍に伴い、日銀はETF(上場投資信託)の買い入れ上限を年12兆円へと従来(6兆円)から拡大しました。この買いが海外勢の売りを吸収したわけです。コロナ禍の一服で買い入れ上限は縮小するとみていますが、それでも日銀の買いが相場を下支えする状況は続くでしょう。

もう一つ重要なのは個人投資家の活発な投資意欲です。コロナショックがあった3月以降、ネット証券の新規口座開設数は急増しました。相場下落を買い場と捉え、彼らは中小型の成長株を中心に買っていったわけです。

結果、彼らの多くは大きな収益を手にしたと考えられます。投資歴が浅いこうした投資家は、下落への警戒心が薄い傾向があります。つまり、相場が上昇したからといってすぐ利益確定売りを出すのではなく、逆に順張りで買いに行くのです。これは「海外投資家の売りにやられる個人投資家」という従来の構図を覆したと言えます。

21年も個人の買いは続くでしょう。これにより、東証マザーズ指数は1400の大台を簡単に超えるのではないでしょうか。

自社株買いが相場を押し上げ

──日経平均株価は3万円の大台を超えるでしょうか。

超えるかは微妙ですね。日本株相場は一度上昇した後、21年前半にはレンジ相場に移行するとみています。高値圏だけに、1~3月には企業の持ち合い解消の売りがかなり出そうなためです。年後半に新型コロナのワクチン普及による経済と企業業績の回復がどれだけあるかが鍵でしょう。

注目は自社株買いです。企業業績の回復が進めば、企業には自社株買いに動く余裕が出ます。20年の自社株買いは約4兆円と例年の半分程度まで落ち込みそうですが、これが元に戻れば海外投資家、日銀と個人に続く第4の買い手として企業が浮上することになります。

これはバリュー(割安)株の復活にもつながるでしょう。自社株買いは「株価が割安である」と企業が認識しているというメッセージでもあります。既にオリックスなどが自社株買いに動き始めていますが、こうした動きが広がればグロース(成長)株一辺倒の相場ではなく、相場全体の盛り上がりにつながるのではないでしょうか。

──米国株の好調も続くとみますか。

私はそう思います。米連邦準備理事会(FRB)の緩和政策は当面続く見通しで、長期金利が低く推移する状況は続くでしょう。次期財務長官にFRBのイエレン前議長が指名されたのも、緩和路線の継続という点で大きいですね。米経済が緩やかに回復する中、過剰流動性が市場を支えるという構図には変わりがないとみています。

仙石 誠(せんごく・まこと)
東海東京調査センターシニアエクイティマーケットアナリスト。株式市場分析を担当。テレビ東京や日経CNBC、ラジオNIKKEIなどに出演。需給分析に定評。

(聞き手は川路洋助)

[日経マネー2021年2月号の記事を再構成]
日経マネー 2021年2月号 2021年は最強日本株で勝つ!

著者 : 日経マネー
出版 : 日経BP (2020/12/21)
価格 : 750円(税込み)
この書籍を購入する(ヘルプ): Amazon.co.jp 楽天ブックス

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

関連企業・業界

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン