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早期退職に応じ50歳でFIRE 投信積み立てで資産築く

FIRE達成者の資産形成術(下)

株式投資などでまとまった資産をつくり、早期退職を目指すFIRE(Financial Independence, Retire Early)を達成した人の資産運用ノウハウを紹介する「FIRE達成者の資産形成術」。今回登場するのは、投資信託の積み立てで資産を築き早期退職を果たした夢見る父さん(ハンドルネーム)だ。

会社員だった夢見る父さんは、主にインデックス型投信の積み立てで作った資産を基に50歳でFIREを実現した。積み立て投資を始めたのは、40歳で娘を授かったことがきっかけだ。

夢見る父さんの投資歴は長く、30歳から個別株やアクティブ型投信、FX(外国為替証拠金)取引などを手掛け、それなりに利益も出していた。しかし、FX取引では600万円を失った経験もしている。また、リーマン・ショックでは2000万円ほどあった運用資産を500万円にまで減らしてしまう。当時、大幅に減った残高を見るのが嫌になった夢見る父さんは、保有株はそのままに、3年ほど証券口座を放置。投資からも距離を置くようになる。

そのリーマン・ショックから1年ほどたった頃、夢見る父さんは娘を授かった。生まれたばかりの娘の顔を眺めているうち、「この子の将来のために資産をつくりたい」という思いが募り、改めて本腰を入れて資産形成に取り組むことを決意する。

これまでとは違う何か良い投資手法はないだろうか。こう考えながら書籍やネットで情報を探したところ、まずは独立系の直販投信の存在を知り、そこからインデックス型投信を使った国際分散投資にたどり着いた。

「これはいい」と考えた夢見る父さんは、早速、インデックス型投信の積み立てをスタート。もともと浪費家でなかったこともあり、給与の半分、年に約400万円というハイペースでインデックス型投信を買い付けていった。

勤務先のリストラが転機に

FIREへの転機は勤務先が2019年夏に実施した希望退職の募集だ。当時は仕事がきついと感じており、さらに親の介護も始まりつつあった。一方、塩漬けにした個別株と積み立て続けた投信は、アベノミクスのおかげで評価額が4500万円へと成長。預貯金、国債、割り増し退職金を加えると総資産は1億円を超えていた。

「退職後も運用は続けるつもりだし、妻も働いている。リーマン・ショック並みの暴落があっても、住宅ローンの残債や教育費、介護費用、老後資金は賄えそう」。こう考えた夢見る父さんは早期退職に応募、20年2月に退職を果たした。

ただし、そのタイミングが悪かった。退職後の自由時間を謳歌する計画をあれこれと練っていたが、世の中はコロナ禍による緊急事態宣言の真っ最中。退職後の計画はご破算になり、介護が必要な親を新型コロナに感染させてはならぬと、妻や娘とも離れて実家で親と2人きり、外出もままならない介護生活が始まった。

退職前はテレビ三昧・ゲーム三昧でも自分は大丈夫だと考えていたが、親との引きこもり生活は想像以上にこたえたという。

FIRE後の投資で資産激増

FIREを達成してから数カ月がたった頃、介護生活に音を上げた夢見る父さんは親の体調が良くなったこともあり、再就職活動を始めた。50歳を超えての就活は苦戦したが、50社以上に応募した結果、年収は3分の1、企業規模は100分の1の同業他社に転職できた。もちろん労働時間は激減しており、仕事の内容にも満足している。

一方、資産は退職後に激増した。夢見る父さんは退職後もコツコツ投資を続け、必要に応じて資産を取り崩すという資金計画を描いていた。実際、退職金の一部はインデックス型投信のスポット購入に振り向けている。ところが退職後間もなく振り込まれた保険の満期金500万円で、個別株と暗号資産(仮想通貨)を買ってしまう。

「コツコツ投資以外はするつもりはなかったが魔が差した。まさに投機。小人閑居して不善をなしたと、当初は反省した」そうだが、結果的にはこの投資は大成功。退職してからの1年ほどで資産は1億6000万円まで膨らんでしまった。もう経済的な不安はない。のんびり働きながら、休日に娘と公園で過ごす時間に幸せを感じている。

「実際に辞めてみて、働かないのも大変だということがよく分かった。介護退職も甘く考えていた。FIREは経済的な準備だけでなく心身の準備も必要。お金の準備ができたからと性急に辞めるのではなく、辞めた後の暮らし方も考えて」と夢見る父さんはFIRE志願者にアドバイスする。そして「自分には経済的不安がなく、マイペースで働ける今の状態が理想的だ」と言う。

(本間健司)

[日経マネー2022年1月号の記事を再構成]

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