米国株や不動産投資で資産形成 42歳でFIRE達成
FIRE達成への道(下)


首都圏に住む40代の男性、たぱぞうさん(ハンドルネーム)は主に米国株投資で1億円の資産をつくり、その一部を太陽光発電所や民泊などに振り替えることでキャッシュフローを構築、2019年に会社を辞めた。
退職後も資産拡大への取り組みに余念はなく、アパートを新築。投資ではコロナショック時の米国株投資で1億円近い利益を手にした。「自分は守り志向。退職前は食べていけるのかと悩んだが、資産が3億円を超えたあたりから、不安は完全に消えた」と話す。
1億円達成が退職への契機
たぱぞうさんがFIRE達成への手応えを感じたのは、資産が1億円を超えた2017年頃だ。資産分散を考え、3000万円を頭金に1億円相当の太陽光発電所を買ったところ、年450万円の安定収入が入ってくるようになったのだ。それまで辞めるつもりはなかったが、「株の収益もあるし、仕事を辞めても生きていけるかな」と考え始めた。
1億円達成の原動力になったのがリーマン・ショック後の全力投資だ。たぱぞうさんが投資を始めたのは2000年。10年ほど日本株の逆張り投資を続けたが、1000万円程度しか稼げなかった。その後、円高進行で外国株に着目。リーマン・ショック直後には米銀行株やインド株などに1000万円ほどの資金をつぎ込んだ。この投資は成功、3~4年で資産は5000万円程度まで膨らんだ。
1億円達成は節約生活の貢献も大きい。クルマが必要な生活だったが、新車は買ったことがない。結婚式は親戚のみで30万円で済ませた。大きな支出には目を光らせ、ボーナスは全て投資に回してきた。

1億円を達成した年にはもう一つ転機があった。調整役を担う立場になれという人事が出たのだ。仕事の中身は調整や会議ばかり。新しい仕事を始めてすぐに「これは辞めた方がいいな」と思ったという。
しかし家族4人、1億円程度の資産で辞めるのは心細い。そこで太陽光発電所以外にブログの収益化、民泊などキャッシュフローづくりにまい進。この結果、株の収益や給与を除くキャッシュフローは、毎月100万円を超えるまでに成長した。1億円達成と退職を志してから7年後、たぱぞうさんは仕事に区切りがついたタイミングで会社員を卒業した。
(本間健司)
[日経マネー2021年9月号の記事を再構成]
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