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ポートフォリオはこう作る 安定運用の4つのポイント

ろくすけさんの勝てる株式投資入門(19)

ろくすけさんから「素晴らしい企業」の探し方と売買の判断について学んできたゴローとナナコ。今回は、ポートフォリオの作り方のポイントを教わります。

株式投資で3億円を超える資産を築き、アーリーリタイアしたブロガーのろくすけさん(ハンドルネーム)。会社員投資家の夢を実現した実在のスゴ腕投資家が、会話形式のフィクションストーリーを通して、株式投資の取り組み方やノウハウをやさしく解説していきます。
●ろくすけ 実在する本連載の著者。人気ブログ「ろくすけの長期投資の旅」を運営(容姿は本人と変えています)。
●ゴロー 大学院を修了後、化学メーカーに就職して1年目の青年。旅先で出会ったろくすけさんに師事するという設定。
●ナナコ ゴローの妹。大学で経営学を専攻している。兄と一緒にろくすけさんに株式投資の基本を学ぶという役どころ。

ろくすけ 二人は「ポートフォリオ」という言葉を聞いたことはあるかな?

ナナコ 投資の世界では、複数の金融商品や株式の組み合わせを指します。値動きの異なるものに分散して投資することで、リスクを軽減する狙いがあると大学の講義で教わりました。

ろくすけ その通り。分散投資のメリットは、「卵」と「かご」の例えでよく説明される。卵を全て一つのかごに入れると、かごを落としたら全部割れてしまう。卵を一つひとつ別のかごに入れれば、かごを一つ落としても別のかごに入った卵は無事で済む。株式投資でも個々の銘柄の値動きは異なるので、分散投資でリスクを軽減できる。

投資に「絶対はない」

ゴロー 成長性に絶対的な自信を持てる企業の株を一つ見つけたら、その銘柄に資金を集中させた方がいいという気もしますが……。

ろくすけ 投資には「絶対はない」と肝に銘じるべきだ。企業の有価証券報告書には「事業等のリスク」という項目があり、そこを読むと企業が様々なリスクを認識して対策を取っていることが分かる。例えばトヨタ自動車はリスクの一つとして「仕入先への部品供給の依存」を挙げて仕入れ先の分散に努めているが、それでも世界的な半導体不足で生産調整を余儀なくされた。

また企業が想定していないリスクが発生することもある。例えばコロナ禍だ。私の保有銘柄もコロナ禍で明暗が分かれた。婦人服の企画・販売を手掛けるダブルエーは駅ビルや大型商業施設を中心に出店していて、コロナ禍で一時は全面的な休業を強いられた。一方、家具・インテリア専門チェーンのニトリホールディングスは郊外の単独店が主体で、他の小売りから客が流れてきて大盛況となった。複数の銘柄に分散投資すれば、こうした環境の変化による打撃を和らげることができる。

ナナコ では、何銘柄くらいに分散すればいいのでしょうか。

ろくすけ 私の経験上、1銘柄の割合がポートフォリオ全体の4分の1を超えると影響がかなり大きいと感じ、その銘柄の日中の値動きが気になってしまう。最初は1銘柄の比率を5分の1以下にとどめ、5~6銘柄に投資するのがいい。ただ最初から素晴らしい企業の株を5つも6つも見つけるのは難しいだろう。その場合は資金の一部を預金のままにしたり、投資信託に振り向けたりするといい。

もっとも、「分散した方がリスクは減る」と考えて、保有銘柄の数を増やし過ぎるのも良くない。それで十分に理解できていない企業の株を組み入れてしまったら、かえってリスクが高まり、リターンも損なわれる恐れがある。事業や業績をしっかりフォローできる企業の数には限界がある。私でも十数社で手いっぱいだ。理解が中途半端な投資先をいたずらに増やすよりも、強く自信を持てる投資先に限定し、その株を複数回に分けて買うことを考えるべきだ。

しっかりと手間をかけて分析した企業の評価がもくろみ通り高まって、株価も大きく上昇した時のことを考えると、一つの銘柄の値上がりがポートフォリオ全体を押し上げる効果も大きくなるようにしたい。この点からも、保有銘柄を増やし過ぎるのは避けたい。

ゴロー 1銘柄の割合が5分の1を超えたら、一部を売って割合を下げた方がいいのでしょうか。

ろくすけ 株価が伸びる可能性が認められるうちは、伸びるがままに任せた方がいい。割合の突出が気になるなら、株価と目標株価との乖離、すなわち安全域の大きさで判断し、それが小さい場合には売却を進めて、他の保有株とのバランスを整えるといいだろう。

全体で右肩上がりを図る

ナナコ 分散投資の効果を得ながら安定的な運用を行うために、どんなポイントで投資先を選んでいけばいいでしょうか?

ろくすけ まず投資対象を「素晴らしい企業」に絞る。素晴らしい企業の特徴には、①業績が安定して成長する②少ない投資でたくさん稼ぐ③堅固な「堀」に守られている――の3つがあった。ポートフォリオ全体で安定した右肩上がりの資産形成を図る上でも、こうした特徴を持ち、業績のぶれが少なく、成長の余地が大きい企業の株に絞ることが望ましい。この基本を守りつつ、多種多様な企業の株を組み入れるといいだろう。

ゴロー 業種をバラバラにするということですか?

ろくすけ 一つはそれだ。一業種に偏らないことが大事だ。特定の外部環境の変化がポートフォリオ全体に与える影響が大きくならないように、小売業、サービス、メーカー、ITと業種を分散させながら、それぞれの業種の中で景気変動の影響を受けにくく、「堀」の存在を感じられる企業を探す。BtoC(消費者向け取引)の定番として圧倒的に支持を受けているとか、BtoB(法人向け取引)で信頼性が高く解約されにくいサービスを提供しているといった点に着目するといい。個々の値動きのタイミングもずれて、ポートフォリオ全体の資産の増減も穏やかなものになる。

普段は動かずに済む構成に

ナナコ 内需と外需といった切り口もある気がします。

ろくすけ 日本株ではその観点も非常に大事だ。グローバルに事業を展開し外需の長期的な拡大が見込まれる企業は、成長余地が大きいので組み入れやすい。内需企業でも、将来海外展開の本格化が期待できる企業や、国内だけでも膨大な需要が見込まれて展開余地の大きい企業の株を選びたい。

ゴロー そうやって吟味して厳選した企業に投資すると、愛着が湧いてくる気がします。簡単には売りたくないというか………。

ろくすけ それがポートフォリオに対する正しい姿勢だと私は考えている。相場の動きに合わせていちいちポートフォリオの形を変えていては、相場の後追いになってしまう恐れがある。投資にかかりっきりにならずに時間を有効に使うためにも、素晴らしい企業の事業活動に任せるというスタンスで、普段は動かずに済むようなどっしりとしたポートフォリオをしっかりと作るべきだ。

(次回に続く)

今回のまとめ 多種多様な企業の株を組み合わせれば、リスクは低くなる

[日経マネー2021年10月号の記事を再構成]

日経マネー 2021年10月号 配当生活入門
著者 : 日経マネー
出版 : 日経BP (2021/8/20)
価格 : 750円(税込み)
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