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神様バフェットが宗旨変え? 主力の保有株が様変わり

次の注目は2月に公表される「株主の手紙」に

20年5月のオンライン株主総会で話すバフェット氏(左)。後継者候補とされる副会長のグレッグ・アベル氏の初同席も注目された

米投資会社バークシャー・ハザウェイの会長兼CEO(最高経営責任者)のウォーレン・バフェット氏。「投資の神様」と称される希代の大投資家だ。

米誌『フォーブス』が2020年4月に発表した世界長者番付20年版によると、同氏の資産額は675億ドル(約7兆200億円)。米アマゾン・ドット・コム創業者のジェフ・ベゾス氏(1130億ドル)、米マイクロソフト共同創業者のビル・ゲイツ氏(980億ドル)、仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンのベルナール・アルノー会長兼CEO(760億ドル)に次ぐ4位だった。

企業が将来に得る収益に比べて足元の価格が割安な銘柄を買う。この「収益バリュー(割安)株投資」を徹底して巨万の富を築いた巨人が、コロナショック後の日本株市場で改めて注目された。バークシャーによる日本の5大総合商社株のまとめ買いが明らかになったからだ。「バフェット氏が日本株を再評価した」と歓迎の声が上がる一方で、万年バリュー株と評される総合商社株の購入に対して首をかしげる向きもあった。

新規購入株に驚きの反応

そうした中、バークシャーは主戦場の米国株市場ではどんな銘柄を売買したのだろうか。同社が米証券取引委員会(SEC)に提出した銘柄保有報告書によると、20年4~6月期にカナダの金鉱山会社バリック・ゴールドを新規購入。さらに同年7~9月期に米ファイザーなど大手製薬4社の株を新規にまとめ買いしていたことが判明。ビッグデータ分析用のシステム基盤をクラウド経由で提供する新興企業の米スノーフレイクと、携帯電話大手の米Tモバイルも新たに買い入れていた。

バリックとスノーフレイクの購入には、米国市場で疑問の声が上がった。前者に対する反応は、バフェット氏がこれまで金への投資に否定的な考えを示し続けてきたことが原因だ。「神様の宗旨変えか」とどよめきが広がったわけだ。

スノーフレイクへの疑問も宗旨変えが伏線にある。「自分が分からないものには投資しない」ことを信条としているバフェット氏は長年IT企業株には手を出さないでいたが、11年に米IBMを大量に購入。以後、米アップルも購入してIT企業株への傾斜を強めてきた経緯がある。今回、物色がIT大手から新興企業に広がった点がサプライズと受け止められた。

スノーフレイクは、評価額が10億ドル以上の未上場企業を指す「ユニコーン」の1社として、20年9月に鳴り物入りで新規上場。公開価格の2倍を超える初値を付けて、上場初日の時価総額は704億ドルに達した。

お気に入りの売却も波紋呼ぶ

視点を変えてバークシャーが20年に売却した銘柄を見ると、銀行株やエアライン株、さらに会員制卸売りの米コストコホールセールなど、コロナ禍による客足の減少や景気の悪化で大きな打撃を受けている業種の株を売り切っていた。いずれもバフェット氏のお気に入りとして知られる銘柄だった。それだけに、売却が明らかになると波紋が広がった。

その結果、バークシャーの保有銘柄の顔ぶれは5年前の15年末と比べると様変わり。全体の7割超を上位4銘柄が占め、アップルの比率は半分近くに達している。

大きく変貌したバークシャーの投資が今後どこへ向かうのか。ウオッチャーたちの視線は、毎年2月に公開される「株主への手紙」へと向かう。果たしてその中でバフェット氏はどのようなメッセージを発するのだろうか。

(中野目純一)

[日経マネー2021年3月号の記事を再構成]
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著者 : 日経マネー
出版 : 日経BP (2021/1/21)
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