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利益成長の質を重視 見過ごされている有望株を仕込む

運用のプロに学ぶ銘柄発掘法(上)

写真=AP
中長期にわたり成長を遂げ、株価が大きく上昇する有望銘柄を探すには、どのようなところに注目すればいいのだろうか。中小型株を主な投資対象とする投資信託の運用で好成績を上げているファンドマネジャーの銘柄選びの視点を、2回にわたり紹介する。今回は、アセットマネジメントOneの関口智信さんに銘柄選びで重視するポイントを聞いた。

成長株に投資して高パフォーマンスを実現

関口智信さん 1998年新和光投信委託(現アセットマネジメントOne)入社。日本株のアナリスト業務などを経て、2005年から日本株の投資信託の運用を担当

「有望株を買う絶好のチャンスが訪れている」と話すのは、アセットマネジメントOneでファンドマネジャーを務める関口智信さん。国内でも指折りの敏腕ストックピッカーだ。金融情報サービス会社モーニングスターのランキング(3月末時点)によると、関口さんが運用している「企業価値成長小型株ファンド」の過去3年と過去5年の運用リターンは、それぞれ年率29.29%と同30.18%。両方とも日本株の投信の中でトップだった。

同投信で投資対象としているのは、名称が示す通り時価総額の小さい小型株だ。新興企業向け市場や東証2部に上場している銘柄に加え、東証1部に上場していて小型株指数の「TOPIX Small」や「ラッセル野村小型インデックス」に組み入れられている銘柄も購入対象にしている。

小型株に特化するメリット

小型株のメリットについて関口さんは、「証券会社のアナリストがあまりカバーしていないので情報が少ない。そのために見過ごされた銘柄の中に、新しいビジネスで業績を大きく伸ばしている成長企業の株が埋もれている。注目されないので株価も低く、値上がり益を得られるチャンスが多い」と指摘する。

銘柄の選定で最も重視しているのは、企業の利益成長だ。「利益成長の質に注目している。景気の影響を受けて増減することなく、毎期20~30%の割合で売り上げや利益を安定的に増やしている会社が理想的」と関口さん。このような利益成長は、構造的に成長する産業に属していて、その追い風を受けていないと実現しにくいとも指摘する。そのため、「成長しているセクターや分野にも注目する」と話す。

利益成長の質は、業績の数字だけでは判定しない。利益を生むのは、その会社が提供している製品やサービス、そして経営のかじを取る経営陣、製品やサービスの提供を担う従業員だ。企業への取材で製品やサービスの実力、経営陣や従業員の力量を確認する。

さらに、短期と中長期の事業環境も取材で把握する。「製品やサービスが先進的で有望でも、普及を阻む規制があれば広まらない。事業環境に成長の障害となるものがないかどうかも確かめる」という。

今は仕込み時と考える2つの理由

2月に30年ぶりに3万円の大台に乗せた日経平均株価だが、新年度入りしてからは、上値が重い展開が続く。市場では大きな調整を警戒する声も出ているが、「相場が本当に崩れるのは、景気後退局面に入った時だ。中央銀行が利上げを何度か行ってブレーキがかからなければ、景気後退局面に入ることはない。まだ最初の利上げも実施されておらず、景気が後退するのは当分先の話だ」と関口さん。相場が崩れることは当面ないとみる。 

冒頭で紹介したように「今は絶好のチャンス」とみる理由の一つは、この相場観にある。もう一つの理由は、有望な小型株がまだ多く残っていることだ。

「コロナショック後の相場では、東証マザーズに上場している時価総額100億~200億円の銘柄の中で、いわゆるウイズコロナ銘柄として注目されて大きく値上がりするものが出た。だが、それらは一握りにすぎない。時価総額が100億円に満たないために目立たず、買いが集まらずに割安に放置されている銘柄を丹念に見ていけば、売り上げや利益を伸ばしている会社の株が多くある」

特に注目しているのが、法人向けのサービスを手掛ける企業の株だ。そうした企業の中にはコロナ禍で営業活動が行えず、一時的に業績が大きく落ち込んだ会社が少なくない。徐々に再開した営業活動で獲得した案件の売り上げがこれから数字になって表れる。コロナ禍が収束に向かって営業活動を本格的に再開できれば、業績が大きく改善する可能性もある。ポイントは、業績がコロナ前のピークを上回って伸びるかどうか。企業取材でこの点を見極める。

IPO銘柄も物色の対象に

物色の矛先は、IPO(新規株式公開)で上場を果たす新興企業の株にも向かう。「IPO銘柄は、情報量が少ない株の典型だ。証券会社のアナリストのリポートはほとんどなく、上場後に十分に評価されずに株価が低迷する銘柄も多い」(関口さん)。そうした銘柄にもチャンスがあるという。

株価が大きく上下する相場には付き合わず、長期成長が見込める企業の株を長期保有する基本に立ち返ることが大事だと関口さん。「そうした相場ではリターンも落ちがちだが、その間に発掘して購入した銘柄が後でファンドのリターンに貢献する」と言う。

(中野目純一)

[日経マネー2021年6月号の記事を再構成]

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