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勝ち組の米国株投資戦略 21年もハイテクが狙い目か

著名米株投資ブロガー対談 2万5000人調査に見る米国株投資動向

写真はイメージ=PIXTA
日経マネーが毎年実施している「個人投資家調査」。今年は4月15日~5月7日にかけてウェブで実施し、2万5544人の回答を得た。今回は調査結果から読み取れる「米国株投資の広がり」に焦点を当てる。

2020年、資産を増やすことに成功した投資家の特徴の一つに「コロナショックで運用方針を変えた」ことがある。運用方針を大きく変えた人は全体の13%だが、コロナショック以降に資産を倍以上にした人に限ると34%が運用方針を大きく変更していた。

この「運用方針を大きく変更して資産を増やした人」の特徴をさらに精査すると、米国株に投資している人の割合が高いことが分かった。

そこで、資産を倍増させた個人投資家が「2020年に投資して利益が出た」と回答した米国株銘柄をランキング化。このランキングを見ながら、自らも米国株に投資する人気米国株ブロガーの2人に、20年の米国株投資の勝ち技の総括と、ここからの投資戦略を語り合ってもらった。

大バーゲンセールだった20年

――2020年に投資で資産を増やした人達が買った銘柄ランキングを見て、まずは第一印象を。

たぱぞうさん(以下、敬称略) 2020年の勝ち方は2通りあったように見えますね。一つはコロナ禍という潮流をいち早く捉え、3位のズーム・ビデオ・コミュニケーションズのような、コロナ禍で業績が伸びそうな銘柄を新しい目線で探す方法。

もう一つは定石通りの逆張り目線で、エネルギーや金融などの下げたところを底値で拾う方法。これらのセクターはセオリー通り、後半、跳ねました。それぞれリターンを獲得しているはずですが、いずれにしても20年はバーゲンセールの年だったのは間違いないでしょう。

もみあげさん(以下、敬称略) 10位のビオンテックや11位のモデルナというワクチン銘柄も20年の米国株投資を象徴していますね。ツイッターなどで「ワープ・スピードでワクチン開発」といった情報を仕入れ、早い段階から投資していた日本の個人投資家は多かったと思います。

米国の個人投資家が集まる投稿型掲示板の「レディット」に潜り込み、「ロビンフッダー」と呼ばれる投機色の強い米国の個人投資家と一緒になって、「次はどんな銘柄が来そうか」と、お宝株探しに興じていた日本人投資家がたくさんいましたよ。

たぱぞう 米国株投資の裾野が一気に広がって、リスクを取れる投資家が増えた1年だったという印象はありますね。一般的にはリスクが高いとされているレバレッジ型上場投資信託(ETF)が5位に入っていますが、こういった銘柄を手掛ける人も含め、新しいプレーヤーがすごく増えた。

もみあげ とは言え、バンガード・トータル・ストック・マーケットETF(VTI)のような、米国株投資家にはお馴染みのETFもしっかり入っています。コアとサテライトという言い方をするなら、サテライトに投資できる人が増えた感じでしょうか。

――GAFAMと称される米ネット企業群(グーグル、アマゾン・ドット・コム、フェイスブック、アップル、マイクロソフト)への投資も話題になりました。

たぱぞう ランキングにも顔を揃えていますね。アップルはこの括りから少し外れる気もしますが、GAFAMへの投資はやはり手堅いと思います。ビジネスモデルも業績も成長性も魅力的です。株価が高いと言われますが、私から見れば値頃感がある。買って放っておけばいずれ報われるという楽な投資ができる気がします。

もみあげ 私も同感です。今年の1月頃、投資系SNS(交流サイト)で「ネクストGAFAMを探せ」という話題が盛り上がっていたのですが、「有望企業が出てくると彼らがすぐに買収してしまうよね」という話になっていました。この力が急に衰えることはないでしょう。3年、5年経てば、「持ってて良かった!」となるような気がします。GAFAMを個別に買う代わりにNASDAQ100指数に連動するETFでも良いかもしれません。

――VTI、レバレッジ型ETF、GAFAMと、いろいろな目線の投資家が入ってきたということですね。

もみあげ そのあたりに投資している人達の目線は同じだと思いますよ。3倍とは言えレバレッジ型ETFは指数連動なので、投資家は自分でコントロール出来ると思っているでしょう。GAFAMも投資家の中には「債券みたいなものだ」という人もいます。その3つはどれも落ち着いた長期目線の資産運用をしたい人が買っている気がします。

たぱぞう その意味ではGAFAMは少し前と評価が変わりましたね。業績がついてきているから比較的、安心して買えます。

もみあげ GAFAM以外の個別株を手掛ける人達は「3倍型じゃ足りない」と思ってますよ。自分もそう思ってますから。ロケット・カンパニー、イーハン・ホールディングス、スクエア、ユニティ・ソフトウェアなど、これまでなら聞いたこともないような値動きの激しい個別銘柄を手がける個人投資家が目立ったのも20年の傾向です。ただ、20~30%の含み損を抱えている人もたくさんいると思いますが。 

たぱぞう コロナショックの時、3倍型ETFを喜んで買っていた知人は多いですよ。もちろん少額で入りますが、そういう楽しみにはあって良いと思います。本気で老後資金を作るのは難しいと思いますが、米国株の3倍型ETFなら、持ち続ければいつかは戻るだろうと思える。そこは投資家の出入りが激しい「日経レバ」のような日本のブル型ETFの売買とはマインド的に違うところですね。

もみあげ ただ、リスクの度合いは理解しておいてほしいですね。下げたときの衝撃が大きいのは間違いないですから。

――1位のテスラも何かと話題の多かった銘柄です。

たぱぞう 自分はなかなか手を出せませんでしたが、面白い跳ね方をしたなと思っています。中国のEV(電気自動車)メーカー、ニーオ(上海蔚来汽車)なども同じように跳ねましたたが、調べてみるとテスラほどの過熱感はないし、株価水準も高くない。

もみあげ EV関連だとシャオペン(小鵬)やリ・オート(理想汽車)も注目されました。ただ、中国系EVメーカーへの投資は中国政府の規制がどうしても気になります。値頃感の判断が難しい。

それからテスラですが、急騰の背景はビットコインでしょう。最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク氏がSNS上でビットコインを推し、ビットコインが高騰。そしてテスラ株の保有比率が高いアーク・イノベーションという個人投資家に人気のETFもビットコインに投資していました。テスラ株、アーク・イノベーション、ビットコインが三位一体となってテスラ株を押し上げたように見えます。

たぱぞう テスラもビットコインも確かにバブル的な値動きをしました。ただ、短期で値幅を取りたい投資家にはチャンスだったと思いますよ。指数なら数カ月分の値動きを1日で体験できましたから。逆に年10%のリターンを目指すような投資家が買う必要は無いでしょうね。

もみあげ 最近、テスラは株価が大きく調整したこともあり、アナリストの評価がアンダーウェイトから中立に近くなっています。この先、成長性を信じられるなら、今から多少、投資してもいいかなとは思います。

ただ、半導体不足と、EVに本気になった従来の自動車会社との競争で優位性を保てるかは気になりますね。半導体不足が想定以上に長引けばEVメーカーにとっては打撃でしょう。

21年は米投資環境も正常化に向かう?

――ここから先の米国株投資についてお考えを聞かせてください。

もみあげ 20年とは状況がすっかり変わりました。利上げはまだ先でしょうが、市場は緩和縮小(テーパリング)を意識しています。加えて米国ではインフレが進んでいます。この先、足腰しっかりした企業でなければ、コスト増に耐えられないでしょうし、インフレが行き過ぎれば株価はいずれ調整するでしょう。

たぱぞう 何を買ってももうかったというバーゲンセールは終わりましたね。11位に燃料電池メーカーのプラグパワーが入っています。これは去年、環境関連ということで買われたテーマ株ですが、実体が伴わない企業をテーマ性で買っていくような投資は難しくなっていくと思います。

「クリーンエネルギー」関連はその典型です。そもそも産業構造的には利益を出しにくいセクターで、株価水準を個別に精査すると過熱気味という評価になる銘柄が多い。確かに夢はあるので、需給を見て、個人投資家がわーっと集まって株価が高騰するといった状況はあるかも知れませんが、良いものを長く持つという投資にはなりにくいでしょう。

ただ、もうからないわけではありませんよ。歪みをついて短期で大きな利益を手にしたいというニーズには合致していると思います。

もみあげ 8位のクラウドストライク・ホールディングスも「テレワーク」からの連想で買われたテーマ株です。確かに成長性はあると思いますが、経済の正常化でどうなるか。この夏がターニングポイントになるのではないかとささやかれています。

たぱぞう 個人的な見立てですが、暴れ回っていた緩和マネーは落ち着きを取り戻し、インデックスファンドなどに還流しているような気がします。

もみあげ 経済の正常化に伴い、ロックダウン中に自宅でスマホにかじりついていたロビンフッダーは鳴りを潜め、十分潤った年金などの機関投資家は超グロース銘柄から資金を引き揚げつつあるとも聞きます。

たぱぞう 今、このリストから買いたい銘柄を選べと言われたら、結局、GAFAMになってしまいます。ETFならS&P500種指数に連動するものでしょうか。要は利益が出ていて業績が伸びている足腰のしっかりした企業です。

もみあげ 自分もこのランキングから選ぶならマイクロソフトですね。エイリス・キャピタルやエクソンモービルといった倒産リスクが小さい高配当銘柄は、底値で買えた人は持ち続けてよいと思います。少し調整して利回りが魅力的な水準に戻れば新規に買ってもよい。

あとはランキングにはありませんが、経済正常化で恩恵が及びそうな旅行やクレジットカード会社などの消費関連は魅力を感じてます。ただ、正直なところ、今は銘柄を選びにくい状況です。

たぱぞう 少し前まで米国株投資と言えば、オーソドックスな指数に連動するETFや、高配当株、生活必需品株などへのインカム投資が中心でした。最近ではキャピタルを追う動きが顕著になっています。米国では産業革命が進行中ということを忘れてはいけないでしょう。テクノロジー系の成長株を押さえておかないと大きな果実は得られません。

もみあげ 確かにその通りですね。これから米株投資を始めたいという人にはリスク許容度に応じて、まずはS&P500種指数に連動するETF。もう少しリスクが取れるならNASDAQ100指数連動ETF。さらに個別銘柄に挑戦したいならGAFAMという順で勧めたいですね。

(本間健司)

[日経マネー2021年8月号の記事を再構成]

日経マネー 2021年8月号 コロナ後相場の稼ぎ方&勝負株
著者 : 日経マネー
出版 : 日経BP (2021/6/21)
価格 : 800円(税込み)
この書籍を購入する(ヘルプ): Amazon.co.jp 楽天ブックス

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