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3人の資産は計11億円超 日本株と米国株の二刀流で稼ぐ 

スゴ腕億万投資家が座談会 メリットやノウハウを語り合う

9月半ばから10月上旬にかけて断続的に急落した日本株相場。相場に連動して有望株の価格も大きく下がったが、相場を急落させた悪材料も残っており、警戒も求められている。こうした局面で効果的なのが、日本株と米国株の両方を売買する「二刀流投資」だ。分散効果など複数の利点がある。二刀流を実践している3人の億万投資家にその魅力や切れ味、実践のノウハウを語り合ってもらった。

――スゴ腕の個人投資家には日本株と米国株のどちらか一方という人が多いですが、皆さんはなぜ両方とも売買しているのでしょう。

エルさん(ハンドルネーム、以下敬称略) 私は最初、日本株だけに投資していました。株式投資を始めた30年前は、個人投資家は日本で米国株を売買できなかったからです。特定口座でも米国株をトレードできるようになって、米国株に手を広げました。

米国株に投資したいと思ったのは、米アマゾン・ドット・コムのヘビーユーザーで、携帯電話も米アップルのiPhoneを使うなど、米国企業の製品やサービスに慣れ親しんでいたからです。さらに、米国企業には何十年も連続で増配している会社が多い。それを可能にする堅固なビジネス基盤を持つ会社が多い点も魅力的だと感じました。今は米国株の方がメインで全体の3分の2、日本株は3分の1という配分にしています。

www9945さん(ハンドルネーム、以下敬称略) 資産が少ない頃は、信用取引で証券会社から資金を借りて、日本の小型株に集中投資していました。海外株は米国だけでなく、他の先進国や新興国の株にも投資しているのですが、始めたのは運用資産が5000万円を超えたあたりからです。資産が大きくなり、配当を受け取るインカムゲイン狙いの投資も手掛けたくなったのです。

日本株は景気敏感株が多く、景気が悪化すると減配する銘柄が多い。そこで米国やベトナムの高配当株に運用資産の一部を振り向けました。今では日本株が3分の2、海外株が3分の1という構成になっています。

ペンタさん(ハンドルネーム、以下敬称略) 私は資産形成だけでなく、投資を通して経済の仕組みが知りたいとも考えて株を始めました。ですから投資に当たっては、企業のビジネスモデルを分析して利益が出る仕組みを解明することに注力してきました。

ですが、日本企業の分析はあらかたやり尽くしてしまった。そんな折に、米国のIT分野で新しいビジネスモデルが次々に登場しているという話を聞き、もともと米国のIT企業に関心があったので調べ始めました。それで米国企業が儲けを出す仕組みを理解して、米国株にも投資し始めたのです。今では日本株と米国株が半分ずつになっています。

二刀流投資で得られるメリット

――日本株と米国株の両方を手掛けることで、どんなメリットを実感されていますか?

www9945 私の場合、主戦場は依然として日本株です。時価総額1000億円以上の中型株で、キャピタルゲインを狙っています。日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)に組み入れられている大型株の売買はあまり手掛けません。海外投資家の短期売買で価格が激しく動くことがあるからです。

一方、海外株も新興国の株ではキャピタルゲインを狙っていますが、米国や英国の株は高配当銘柄でインカムゲインを狙うのが基本です。持ちっぱなしにしたいので生活必需品や、たばこ、アルコール飲料など常習性の高い嗜好品を扱っていて、業績が安定している会社の株を保有しています。

海外株は為替が円安に振れると差益を得られる点がうれしいですね。ポートフォリオの上位10銘柄はキャピタルゲイン狙いで持つ日本の中型株ですが、その下には米国の高配当株が並んでいます。ポートフォリオの中段にこうしたインカムゲイン狙いの銘柄が並ぶと安心感があります。海外の高配当株で強固な土台を築いて戦っているというイメージを持てます。

エル 日本株と米国株の連動性が高まっていますが、両方の株に投資することで一定の分散効果を得られます。月別の成績を見ると、日本株が良い月があれば、米国株が良い月もありますから。

これは両方に投資しているから分かるのですが、日本にも米国企業に引けを取らない優良企業はあります。ですが、その数が少ない。そのため、一部の優良企業に資金が集中して、株価が著しく割高になる傾向があります。注意して投資しないと高値づかみになる。その点、世界から投資マネーが集まる米国株はこなれていて、主要株の価格が著しく割高になることはそうありません。株価が業績に素直に連動するので、安心して持ちっぱなしにできます。

米国株の方は、ハイテク株や高配当株といった特定の銘柄に偏重せずに多様な銘柄を組み入れています。生活必需品メーカーの株など、景気に業績が大きく左右されない企業の株を多めにして、全体相場が下落しても総崩れにならない形にしています。ですから、投資環境が変わってもすぐに銘柄を入れ替えたりはしません。

日本株も3分の2は同様のポートフォリオを組んでいますが、残り3分の1は短期売買に振り向けて、売却益を生活費に充当しています。短期売買では特定の銘柄を売買することはなく、その時々に下がり過ぎている銘柄を買って反発を狙っています。

米国株投資の経験を日本株に応用

ペンタ 投資して気づいたのですが、米国株では機関投資家の動きが分かりやすい。アナリストの業績予想が重視され、実績が予想を上回れば株価は大きく上がり、逆に予想を下回ればすごく下がります。

こうした機関投資家の傾向が分かったことが、今度は日本株投資に役立っています。というのも、新興企業向け市場の東証マザーズに上場している銘柄の時価総額が1000億円を超えると、海外の機関投資家の投資対象になることが増えているからです。それで米国株投資の経験を応用して、マザーズ銘柄でも機関投資家の動きを先回りした売買ができるようになりました。

米国株投資を通じて米国の金融政策や経済政策が相場に及ぼす影響の理解が深まり、日本株の売買でもそれを意識して投資判断を下すようになりました。このように米国株投資を手掛けたことで、日本株投資の幅も広がりました。

経済正常化での反発を狙う

――年末まではどんな投資を展開しようと考えていますか?

www9945 先述したように、ポートフォリオの上位には時価総額1000億円以上の銘柄を並べています。いずれも高速通信規格「5G」や「高齢社会」「美と健康」といった時代のトレンドに関連しています。ですが、いわゆるテーマ株のように話題先行で価格が乱高下してはいない。一方で、トレンドの追い風を受けているから価格が大きく崩れることもありません。

高い売上高営業利益率を維持しながら売上高と利益が徐々に拡大していて、それに連動して月足チャートも緩やかな角度で右上がりになっています。主力銘柄の一つで、美容室向けにシャンプーやリンスなどを製造・販売しているミルボンがこの典型です。全体相場が下落して主力株が連れ安したら、買い増しして保有株数を増やしていきます。

一方、米国株は配当狙い一本やりです。米たばこメーカーのフィリップ・モリス・インターナショナルやアルトリア・グループ、米飲料メーカーのコカ・コーラ、米通信会社のベライゾン・コミュニケーションズなど、定番の高配当株を持ち続けます。

エル 米国株については、現在のポートフォリオの基本形を維持しながら、保有する銘柄の数を絞っています。銘柄数が多過ぎて管理が大変だからです。

日本株も、中長期で保有する銘柄のポートフォリオは現状維持が基本ですが、コロナ禍で打撃を受けて株価が低迷しているJR九州やコロナショック後に急騰して、その後は軟調になっているワークマンなど、経済の正常化に伴って大きな反発が期待できる銘柄を組み入れています。短期売買では変わらず、その時々で下がり過ぎた銘柄の反発を狙います。

ペンタ 私も日本株は経済の正常化をこれから織り込んでいくとみていて、大きな反発を期待した投資を展開しています。この投資でも狙いを定めたのはIT企業の株です。IT分野の企業でコロナ禍の打撃を受けていて、経済正常化の追い風を受けそうな会社の株を仕込みました。銘柄を挙げると、コロナ禍で滞った転職関連のサービスを手掛けているアトラエビジョナルを保有しています。

一方、米国株の方は既に経済の正常化を織り込んでしまっています。これからは個々の企業の成長力が問われる。成長力の高いハイテク株に張っていきます。

(中野目純一)

[日経マネー2021年12月号の記事を再構成]

日経マネー 2021年12月号 ここから上がる日本株&米国株
著者 : 日経マネー
出版 : 日経BP (2021/10/21)
価格 : 750円(税込み)
この書籍を購入する(ヘルプ): Amazon.co.jp 楽天ブックス

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