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会計が分かるクイズ 教育業界・TAC対ステップ

クイズで学ぶ会計知識(12)

写真はイメージ=PIXTA

ハードルが高い、難しいというイメージがある会計。しかし、実際のビジネスを念頭において財務諸表を読むと、驚くほど企業の特徴が会計に反映されているのが分かる。SNS(交流サイト)で話題の「大手町のランダムウォーカー」こと福代和也さんが出題する会計クイズを解いて、ビジネスや投資に役立つ企業への理解を深めていこう。

今回のテーマは、

【教育業界の貸借対照表】

試験合格を目的に通うという点で、学習塾と資格取得の専門学校は同じだ。似たビジネスモデルに見えるが、両者の貸借対照表の形は違う。なぜこの違いが生じるのか。「負債の部」に注意して考えよう。

TACは資格取得の専門学校大手。ステップは神奈川県を地盤とする学習塾だ。対象が大学生か、小中学生かという違い以外にも大きな相違点が2社にはある。この点を踏まえると、①と②はそれぞれどちらか?
注:TACは2020年3月期、ステップは20年9月期
貸借対照表の負債の部に計上される流動負債には、買掛金や短期の借入金の他に「前受金」も計上される。これは「事前に支払われたサービスや物品の対価」と言い換えることもできる。サービスが提供されるごとに前受金は売上高として損益計算書に計上され、その分前受金は減っていく。資格取得の専門学校だと、入学時に一括して授業料を支払うのが一般的。このため入学者が多い3月末時点の前受金は多くなりやすい。

Point1 TACの収益モデル

TACの講座の多くは、公認会計士など難関資格試験向けだ。準備に時間がかかるため受講期間は1~2年と長期間であることが多く、開始時に受講料を一括して支払うようになっている。この受講料は「前受金」という形で流動負債に計上される。講座が進むにつれて前受金は売上高に変わり、貸借対照表上は純資産がその分増える。前受金が多いほど、将来の売上高が伸びるとみることもできる。

Point2 ステップの収益モデル

ステップの授業料は月謝形式だ。主な生徒である小中学生の受講開始時期は一定ではない。また、競争環境が激しい学習塾においては、生徒が途中で通う塾を替えるケースも少なくない。これらの点から、学習塾では一括して授業料を事前に受け取ることは難しい。また、習い事の一環として子供を塾に通わせる親も多く、この観点から月謝形式の方が受け入れやすいという事情もありそうだ。

①がステップ、②がTAC

TACとステップの貸借対照表におけるもう一つの大きな違いは、資産の部における流動資産と固定資産の比率だ。この内訳を見ると、ステップの固定資産の多くが土地と建物で占められていることが分かる。ステップは神奈川県を中心に2020年9月末時点で151校を展開しており、提携校含め全国で36校のTACよりも多い。その分、教室などの固定資産が重くなっていると言えるだろう。

●TACは資格取得の専門学校。受講期間は1~2年と長いことが多く、多くの受講者は最後まで受講する

●TACの受講料は入学時に一括して支払う。この受講料は当初は「前受金」として流動負債に計上される

●ステップは小中学生を主な対象とした学習塾。いつ受講を始めるかという時期はばらける傾向にある

●ステップの授業料は月謝形式。習い事の一環として塾に通わせる親も多く、一括支払いより受け入れられやすい

出題者はこの人
福代和也さん
Funda 代表取締役。中央大学専門職大学院修了、PwCあらた有限責任監査法人を経て2018年から現職。会計およびマーケティングに関するコンサル業務をメインに行う。「大手町のランダムウォーカー」としてSNS上で会計クイズを出題中。

[日経マネー2021年4月号の記事を再構成]

日経マネー 2021年4月号 ニューノーマル時代の新10倍株で勝つ!
著者 : 日経マネー
出版 : 日経BP (2021/2/20)
価格 : 750円(税込み)
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