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資産10億円超の社長投資家 再暴落による買い場を待つ

2021年の日本株相場 億万投資家の必勝戦略(中)

(AP Photo/File)
スゴ腕の個人投資家は、2021年の株式市場をどう展望し、どのような投資を実践しようとしているのか。株式投資で1億円を超える資産を築いた実力者たちのスタンスと具体的な戦略を探った。2回目は、会社経営の合間を縫って株式投資を手掛け、10億円を超える資産をつくってきた株水兵さん(ハンドルネーム)の取り組みを見ていく。

名だたるスゴ腕の個人投資家の中でも、引き出しが抜群に多い。こう思わせるほど幅広い投資を実践しているのが、株水兵さんの特色だ。割安株や小型成長株の中長期保有、価格が景気の動向で大きく動くシクリカル(循環)株や大型株の短期売買など、相場に応じて複数の投資法を使い分ける。会社経営の傍ら、株式を中心とした投資で増やしてきた運用資産は10億円を超えているという。

コロナショックの最中にも果敢に売買

オールラウンダーの卓越した手腕は、コロナショックによる暴落においても、遺憾なく発揮された。ショックの直前には運用資産の6割を振り向けていた大型株の短期売買を手じまい、大半を現金化していた。「日本株はそうでもないが、米国株はかなり割高になっていた。相場の調整を警戒して現金を増やした」と振り返る。

そこで暴落が始まった。日経平均株価の2万円割れが迫った時点で、株水兵さんは買い出動する。相場の反転による値上がりを狙って売買高が多い銘柄を買い進めた。

ところが、相場は下げ足を速めて急落し続ける。「持ちっぱなしにしていた小型株は、暴落が起きる前には買値の2~4倍まで上がっていた。早く売却しておくべきだった」

運用資産の評価額は最大で数億円減少したが、ひるまずに売買を続けた。まずは価格が著しく下がった小型株を仕込んだ。ストック型のビジネスを展開していて、不況に陥っても巣ごもり消費の拡大などで収益が伸びる可能性もある銘柄を購入した。実際に買ったのは、賃貸住宅を借り上げて入居者に転貸する事業を営む日本管理センター、集合住宅向けにインターネット接続サービスを提供するギガプライズなどだ。

次に、日経平均が1万7000円を割って下げ止まりの様相を見せると、反発狙いで大型株も買い始めた。一例が石油元売り最大手のENEOSホールディングス。「原油価格の急落で売り込まれたが、最大手が立ち行かなくなることはない。必ず大きく反発する」と読んだ。

潮目の変化で投資を転換、小型株のウエートを下げる

その後は運用資産の5割を小型の成長株の保有に充て、残りを大型株の短期売買に配分してきた。だが20年11月に投資を転換した。コロナショック後に急伸していた新興企業向け市場の東証マザーズが崩れ、代わって東証1部の大型株が上がり始めたからだ。

潮目が変わったとみて、小型株を売却し、その比率を資産の3割まで引き下げた。売却代金は、潮目の変化で上昇する大型株のスイングトレードに振り向けた。

村田製作所のように相場のモメンタム(勢い)で値が動く銘柄と、NTT日本たばこ産業のように反発狙いの割安株の両方を売買する。「モメンタム株は上昇が続けば持ち続けるので、結果として短期売買でも割安株より保有期間が長めになることが多い」と語る。

一方で、運用資産の3割に減らした小型株も放置はしない。有望な銘柄が見つかれば、銘柄の入れ替えを進める。そうした形で買ったのが、スターティアホールディングスビーロットだ。前者は中小企業のITインフラ構築支援、後者は稼働率の低下した建物などを再生して不動産市場に供給する事業を主に手掛ける。

スターティアが対象にしている中小企業のITインフラの市場は手付かずの部分が多いとみる。「競争が激化していないブルーオーシャンの状態にあり、先行するスターティアは大きく伸びる可能性がある」と有望視する。ビーロットは、リーマン・ショック発生直後の08年10月に設立され、不動産不況を乗り切ってきた。その原動力となった事業開発力に期待する。

信用不安による通貨価値の下落も警戒

「コロナ禍対策の金融緩和と財政出動で、行政と企業の債務が世界中で膨張している。2~3年以内に信用不安で相場が再暴落する可能性がある」と株水兵さんは警戒する。「現金を多めに持って暴落を待つのも一つの手だが、それでは退屈。だから、流動性が高くて調整局面でも売れる大型株の短期売買を手掛ける」と続ける。

また信用不安で通貨の価値が下落する可能性もあるとみて、ビンテージワインやアンティークコインの購入も検討すると話す。

(中野目純一)

[日経マネー2021年2月号の記事を再構成]
日経マネー 2021年2月号 2021年は最強日本株で勝つ!

著者 : 日経マネー
出版 : 日経BP (2020/12/21)
価格 : 750円(税込み)
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