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会計が分かるクイズ セブン銀行vs.スルガ銀行

クイズで学ぶ会計知識(16)

写真はイメージ=PIXTA

ハードルが高い、難しいというイメージがある会計。しかし、実際のビジネスを念頭において財務諸表を読むと、驚くほど企業の特徴が会計に反映されているのが分かる。SNS(交流サイト)で話題の「大手町のランダムウォーカー」こと福代和也さんが出題する会計クイズを解いて、ビジネスや投資に役立つ企業への理解を深めていこう。

今回のテーマは【銀行の貸借対照表】だ。

銀行はお金を預ける先であるだけでなく、企業や個人に融資をする主体でもある。地銀の主業務は後者だが、コンビニエンスストアの銀行では様相が異なる。一般的な地銀とコンビニ銀行の違いがどこに表れているか見てみよう。

コンビニのATMを手掛けるセブン銀行と、静岡県を地盤とする地銀のスルガ銀行。同じ銀行だが、前者の収益源が手数料収入なのに対し、後者は貸付利息と大きく違う。違いは貸借対照表にも表れているが、どちらがセブン銀行の貸借対照表だろう?
注:データは2020年3月期末。小数点第1位以下は四捨五入のため合計値は100%にならない
注目は現金と貸出金の比率の差だ。個人ローンや企業への貸し付けが業務の中心である地銀に対し、コンビニのATMの運用を手掛けるコンビニ銀行がこうした業務を行うことはほぼない。半面、ATMの設置件数は一般的な銀行より多くなるため、ATM内に保管する現金は多くなる。負債の部の預金の比率も異なる。コンビニ銀行では、提携先の銀行の顧客がATMに入金した際、決済までの間預かるお金を「ATM仮受金」として負債の部に計上する。このため、預金以外の負債が発生する。ATM設置のための投資負担もかかる。

Point1 セブン銀行の収益モデル

セブン銀行の収入源は提携先金融機関からのATM受入手数料だ。ATM設置に応じて金融機関は手数料をセブン銀行に支払うため、安定して収益を上げることができるビジネスモデルと言える。また、ATM内に一定の現金を常に必要とするため、資産の部における現金比率は高い。また、提携金融機関の決済までの間ATMで預かるお金を「ATM仮受金」として計上するため、預金以外の負債が生じる。

Point2 スルガ銀行の収益モデル

スルガ銀行は個人向けローンが主力業務だ。そこから得る利息収入が収益源となっている。ローン中心のビジネスモデルのため、貸借対照表に計上される貸出金は現金よりかなり多くなっている。負債の部の大半は現金で占められているが、自己資本比率は7%と高くはない。これはシェアハウスを巡る不適切融資問題を受け、2019年3月期に巨額の最終赤字を計上した影響が残っているためだ。

①がセブン銀行、②がスルガ銀行

ここでは地銀とコンビニ銀行の貸借対照表を比較したが、メガバンクの場合はどうか。例えばみずほフィナンシャルグループの資産の部を見ると、現金や貸出金に加え有価証券の多さに気付く。これは株式などの有価証券を使った運用業務を手掛けているためだ。かつては取引先企業の株式を持ち合っていたため有価証券比率は高かったが、企業統治指針の施行を受けて近年は低下している。

●セブン銀行は個人顧客と提携金融機関をATMで結びつける。ATM内に現金が多く必要なため現金比率は高い

●セブン銀行は提携金融機関の決済までの間ATMで預かるお金を「ATM仮受金」として計上する

●スルガ銀行の主力は個人向けローン。このため、個人に対する貸付金の比率が高くなる

●スルガ銀行の負債の部の大半は個人からの預金で占められる。社債などの有利子負債はない

出題者はこの人
福代和也さん
Funda 代表取締役。中央大学専門職大学院修了、PwCあらた有限責任監査法人を経て2018年から現職。会計およびマーケティングに関するコンサル業務をメインに行う。「大手町のランダムウォーカー」としてSNS上で会計クイズを出題中。

[日経マネー2021年6月号の記事を再構成]

日経マネー 2021年8月号 コロナ後相場の稼ぎ方&勝負株
著者 : 日経マネー
出版 : 日経BP (2021/6/21)
価格 : 800円(税込み)
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