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ワクチン接種で正常化する米経済 投資パターンは2通り

米国株投資家もみあげの現地リポート(2)

米国における新型コロナウイルスワクチン摂取の様子=ロイター
日本企業の駐在員として米国に滞在し、米国株式市場の動向を現地で体感。米国株投資のタイムリーな情報をブログで発信し、個人投資家の間で人気を博している会社員投資家のもみあげさん(ハンドルネーム)。このトレンドウオッチャーが旬のトピックを個人投資家の目線で分かりやすく紹介します。

米国株の主要な指数は、4月に入ってそろって上昇基調に転じました。今回は、その背景にある米国の新型コロナウイルスワクチンの接種状況と経済の回復に焦点を当てます。米国ではワクチンの接種が急速に進んでいます。3月末時点で、実に米国民の約3分の1に当たる1億人以上が1回以上のワクチン接種を受けたというデータがあります。

簡単だったワクチン接種

僕自身も3月中に1回接種しました。米製薬大手ファイザーのワクチンで、1回目の3週間後にもう1回接種を受けます。あまりにも簡単に接種できて、びっくりしました。個人差もあるみたいですが、1回目では接種した腕が少し重くなる程度でした。2回目の接種で重い風邪の症状が24時間ほど出ることが多く、それもさらに24時間たてば回復するそうです。

米国でワクチンの配布が始まったのは昨年の12月中旬。接種が急速に進んだのは、製薬会社の力もありますが、それよりもドラッグストアの力が大きいと感じました。僕が接種したのは、米ドラッグストア大手のウォルグリーン・ブーツ・アライアンスの店舗。同社と双璧をなすCVSヘルスの店舗でも接種可能です。さらに世界最大の小売企業であるウォルマートの店舗でも接種できます。

米国ではクルマでの移動がメイン。ワクチン接種がクルマで10~15分の範囲内で可能です。さらに事前に予約しておけば、店舗での受け付けが5分程度、ワクチン接種は5分以内に終わります。しかも無料。高額の医療費が問題視されることが多い米国ですが、ワクチン接種に関しては驚くほど体制が整備されています。

こうした状況を受け、米疾病対策センター(CDC)は、ワクチン接種者は他州への移動による感染リスクが低いと発表しました。今では、州間の移動規制もほぼなくなっています。米国の実情は日本からでは分かりづらいですが、経済が正常化しているというイメージを持つことが大切です。

下のグラフは、米ニューヨーク連銀が発表している「週次経済指数(WEI)」の推移を示したものです。コロナ危機の初期にリアルタイムの経済活動を観測するために、米連邦準備理事会(FRB)のエコノミストと米経済学者がこの指標を考案しました。グラフからは、3月に入ってWEIが急上昇しているのが分かります。

経済が正常化すれば、人やモノが大きく動き出します。それによってインフレが進むでしょう。経済の正常化で企業業績の好転がイメージされますが、インフレによるコストの増加が重くのしかかり、業績回復の足を引っ張る可能性も考慮しなければなりません。

今後8年で計2兆ドル(約220兆円)に上る巨額のインフラ整備計画が実行される代わりに増税が見込まれてもいます。インフラ整備計画の実行と増税でインフレが進めば、FRBは金融緩和から引き締めに転じるでしょう。そうなると、金融相場は終わり、政府の財政出動の恩恵を受ける企業の株に資金がシフトする財政相場へ移行するとみられます。

当面の投資に2つのパターン

金融引き締めへの転換で金利が上昇すれば、PER(株価収益率)の高い銘柄はその評価が許容されなくなって急落する。こうした事態が既に懸念されています。ですが、すぐにそうなるわけではありません。足元では、経済の正常化で値上がりする可能性のある銘柄に目を向けたいところです。

投資妙味がありそうな銘柄には2つのパターンがあると考えています。まずは半導体不足やサプライチェーン(供給網)の見直す企業の動きが続き、長期金利が低い水準にとどまった場合。このパターンでは、クリーンエネルギーやEV(電気自動車)の関連銘柄に妙味が生じそうです。

もう1つのパターンは、経済の正常化でインフレが進み、長期金利も大きく上昇する場合。このパターンでは、インフレによるコストの上昇分を価格に転嫁しやすい原油や資源などの国際商品(コモディティー)の関連銘柄に妙味が出てきそうです。今の時点ではどちらのパターンになるかは分からず、市場も様子見の状況です。

ワクチン接種の急速な進行で経済が正常化に向かう中、南部フロリダ州のマイアミビーチに集まった群衆のお祭り騒ぎが制御不能となり、市当局が非常事態を宣言して夜間外出禁止令を出す事態が起きました。「米国らしいタガの外れっぷり。これもまた、この国の持つエネルギーの表れなのか」と複雑な心境になりました。

【今回のポイント】 米国経済の想定より早い正常化を考慮した投資が必要

もみあげさん
米国駐在中の会社員投資家。2018年から米国の成長企業の個別株とETFを売買。運用資産1400万円を4000万円まで増やす。個人投資家に人気のブログ「もみあげの米国株投資」のURLはhttps://www.momiage.work/。20年10月には著書『もみあげ流 米国株投資講座』(ソーテック社)を出版した
イラスト/じゅんぺい@macsJUM

[日経マネー2021年6月号の記事を再構成]

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