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会計が分かるクイズ ワークマンvs.ローソンのFC対決

クイズで学ぶ会計知識(14)

写真はイメージ=PIXTA

ハードルが高い、難しいというイメージがある会計。しかし、実際のビジネスを念頭において財務諸表を読むと、驚くほど企業の特徴が会計に反映されているのが分かる。SNS(交流サイト)で話題の「大手町のランダムウォーカー」こと福代和也さんが出題する会計クイズを解いて、ビジネスや投資に役立つ企業への理解を深めていこう。

今回のテーマは【フランチャイズチェーンの損益計算書】だ。

多くの小売店や外食が採用するフランチャイズチェーン(FC)制度。出店コストを抑えられる利点があるが、同じFCでも中身は業態で異なる。背景にあるのは直営店の数と、経営戦略上の位置付けだ。損益計算書を見ると違いが反映されているが、見るべきポイントはどこか。

作業服専門店のワークマンと、コンビニエンスストア大手のローソン。共にFC比率は9割程度だが、損益計算書の形と利益率は大きく異なる。扱っている商品の違いだけではなく、商品の仕入れのやり方の差もこの背景にある。下の2つの損益計算書は、それぞれどちらのものだろうか?
注 : データはローソンが2020年2月期、ワークマンが20年3月期。売上高は営業総収入を記載
売上原価の中心となるのは商品の仕入れコストだ。FCを展開する①と②で売上原価率に大きな違いが出ている背景の一つには、この仕入れコストにFC店の分が含まれているかという点がある。また、販管費の大きさにも注目したい。販管費には人件費や賃料、地代が含まれる。この比率が大きいということは、それだけ大規模な店舗展開をしているということを示す。売上高営業利益率にも差がある。これは扱っている商品の利益率だけではなく、どれだけ欠品を出さずに売り逃しを抑えられているかの違いでもある。

Point1 ワークマンの収益モデル

ワークマンは本部が直営店とフランチャイズチェーン(FC)店の商品を仕入れる。本部は需要情報を一括管理。これに応じて適切な数量の商品を仕入れることで、欠品を出さないようにしている。作業服は汚れたり破れたりしやすく商品寿命が短いため、これに対応する狙いがある。結果として売上原価率は高くなるが、欠品による売り逃しが減るため、売上高営業利益率は20%超と非常に高い。

Point2 ローソンの収益モデル

ローソンは直営店の商品のみ提携企業から仕入れている。地域によって消費者のニーズが異なるため、FC店に一定の発注の裁量を与えている形だ。これに伴い仕入れコストが小さくなるため、売上原価率は低く出る。半面、全国各地に出店しているため直営店の地代や人件費などの販管費は重い。主に扱っている商品が食品などの低価格品ということもあり、売上高営業利益率は低めだ。

①がローソン、②がワークマン

ワークマンの売上高営業利益率が高い背景には、プライベートブランド(PB=自主企画)商品の成長もある。2020年4~12月期における売上高全体に占めるPB商品の比率は59.6%で、前年同期比8.7ポイント上昇した。アウトドアやスポーツ向けの衣料を中心に扱う新業態店「ワークマンプラス」の出店拡大が背景。デザイン性の高いPB商品の人気が、ワークマンの成長を支えている。

●ワークマンは直営店とFC店の商品を一括して仕入れる。このため、売上原価率は小売りの中では高めに出る

●ワークマンの一括仕入れは、欠品を防ぐための工夫。売り逃しが少ないことが高採算の一因でもある

●ローソンは直営店の商品のみ仕入れる。FC店には一定の発注の裁量がある。このため、売上原価率は低い

●ローソンの出店規模は全国各地に及ぶ。このため、直営店の地代や人件費といった販管費は膨らむ傾向がある

出題者はこの人
福代和也さん
Funda 代表取締役。中央大学専門職大学院修了、PwCあらた有限責任監査法人を経て2018年から現職。会計およびマーケティングに関するコンサル業務をメインに行う。「大手町のランダムウォーカー」としてSNS上で会計クイズを出題中。

[日経マネー2021年6月号の記事を再構成]

日経マネー 2021年6月号 ここから上がる最強の日本株
著者 : 日経マネー
出版 : 日経BP (2021/4/21)
価格 : 750円(税込み)
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