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バフェットが狙う素晴らしい企業 その買い方を学ぶ

ろくすけさんの勝てる株式投資入門(14)

株式投資で3億円を超える資産を築き、アーリーリタイアしたブロガーのろくすけさん(ハンドルネーム)。会社員投資家の夢を実現した実在のスゴ腕投資家が、会話形式のフィクションストーリーを通して、株式投資の取り組み方やノウハウをやさしく解説していきます。
●ろくすけ 実在する本連載の著者。人気ブログ「ろくすけの長期投資の旅」を運営(容姿は本人と変えています)。
●ゴロー 大学院を修了後、化学メーカーに就職して1年目の青年。旅先で出会ったろくすけさんに師事するという設定。
●ナナコ ゴローの妹。大学で経営学を専攻している。兄と一緒にろくすけさんに株式投資の基本を学ぶという役どころ。

米国の著名投資家、ウォーレン・バフェットが投資対象として選ぶような「素晴らしい企業」の探し方を教わったゴローとナナコ。今回は素晴らしい企業の買い方のポイントを学びます。

ろくすけ ここで素晴らしい企業の探し方を復習しておこう。

ゴロー 素晴らしい企業の3つの要件は①業績が安定して成長する②少ない投資でたくさん稼ぐ③堅固な「堀」に守られている――の3つです。3つの要件を満たすかどうかを判定するのに必要なデータは、有価証券報告書の「主要な経営指標等の推移」に掲載されていると教わりました。

業績が安定して成長している企業は、売上高と利益が増加基調で推移している。少ない投資でたくさん稼ぐ企業は、営業活動によるキャッシュフロー(営業CF)と投資活動によるキャッシュフロー(投資CF)を足し合わせたフリーキャッシュフロー(FCF)が増加基調になっています。

ナナコ 3番目の堅固な「堀」、すなわち、堅固な競争優位性を持った参入障壁で守られているか否かは、ROE(自己資本利益率)やROIC(投下資本利益率)という投資効率を測定する経営指標で判定する。これらの指標の数値を高い水準で維持できていれば、企業は新規参入を防ぐ堅固な堀で守られていると見なせます。

資本効率で企業格差も拡大

ろくすけ そうだね。実はFCFが増加基調であることと、ROEやROICを高い水準でキープできていることは、同じことを別の角度から表現していると言うこともできる。企業の投資効率が高くてROEやROICを高い水準でキープできていれば、結果としてFCFが増加し、企業の内部に現金がたまっていくからだ。

ここで家具・インテリアチェーンを展開するニトリホールディングスのCF、現金および現金同等物、そしてROEとROICの推移を見てみよう。

ナナコ FCFが2018年2月期以外はプラスで増加基調で推移しています。だから、現金および現金同等物もうなぎ登りに増加しているのですね。

ろくすけ この現金および現金同等物の増え方を見ると、ホームセンター大手のDCMホールディングスがTOB(株式公開買い付け)で完全子会社にしようとしていたホームセンター大手の島忠の買収に、ニトリが名乗りを上げたのも納得がいく。急増するキャッシュ(現金)の使い道を探っていたから割って入ったのだろう。

ゴロー 「富めるものはますます富み、貧しいものはますます貧しくなる」。米国の社会学者ロバート・マートンが新約聖書の文言を基に提唱したマタイ効果が思い起こされますね。

ろくすけ ゴロー君がカバーしている領域は広いな(笑)。企業の投資効率の差は、複利効果で増幅される形で長期の業績に反映されるので、企業間の格差も拡大していく。だから、株式投資をする上でも、「勝ち組」の企業の株を選別することが大切だ。

ゴロー ニトリの業績データのグラフを見ると、勝ち組を選ぶ重要性を実感します!

ろくすけ 企業業績の長期推移を見て、売上高と利益が景気の動向に大きな影響を受けることなく右上がりで増加していることを確認できれば、今後も着実に業績を伸ばすと期待していい。さて、前に企業の事業価値は、将来のCFと期待収益率によって決まると話したのを覚えているかな?

ゴロー 企業の資金が事業や投資によっていくら増減したかを示すのがCF。期待収益率(r)から永久成長率(g=CFが一定の割合で永久に増加すると仮定した場合の増加率)を差し引いた値でCFを割ると事業の現在価値が求められるんでしたよね。

ナナコ 事業の現在価値が高まるパターンには、①CFが増える②期待収益率が低くなる③永久成長率が高くなる――の3つがあります。これらのパターンで事業価値が拡大している成長企業の株を割安に買うと、値上がり益を得る確率も高まります。

ろくすけ 前にも指摘したが、CFが増え続けるだけでなく、CFの増え方が安定していて将来の増加を予測するのが容易かどうかも、企業の事業価値を算定する上で重要なポイントだ。CFの予測のしやすさが期待収益率を引き下げることにつながるからだ。こう見てくると、結局のところ、素晴らしい企業とは算定した事業価値が高い企業だと言っていい。

安全域の大きい銘柄を買う

ナナコ こういった素晴らしい企業は、いつ買ったらいいのでしょう。誰が見ても素晴らしい企業なら相応の値段が既に付いて割高なのでは?

ろくすけ 前に「まずまずの企業を素晴らしい価格で買うよりも、素晴らしい企業をまずまずの価格で買うことのほうが、はるかによい」というバフェットの金言を紹介しただろう。素晴らしい企業を選んでその株を買うならば、「まずまずの価格」で買えればいい。

理想は、自分が算出した事業価値から導かれる株主価値の半分以下で買うことだ。早期に株価が2倍になることが期待できるし、株主価値の半分以下の価格で買ったことで、安心して株を保有できる。この本来の価値と株価との差を投資の世界では「安全域」と呼ぶ。安全域は大きければ大きいほどいい。

業績が複利効果で拡大していく成長企業の事業価値は雪だるま式で高まっていくので、株価が上昇しても時価総額と株主価値の差はなかなか埋まらない。この差が埋まらない限りは株を売らずに保有することができる。

相場全体の急落局面で買う

ナナコ そうした株を購入するタイミングでも留意すべき点はありますか?

ろくすけ 相場全体が急落して、素晴らしい企業の株価も連れ安した時に買うのが理想的だ。1年のうちに何回かはそうした局面がある。

また決算に対する一時的な失望で株価が下がった時に買うのも一つの手だ。いずれにしても、そうした局面で買い出動できるようにするために、普段から素晴らしい企業をピックアップしておくことが求められる。次回は、そのために必要な株主価値の算出方法を詳しく説明しよう。

(次回に続く)

今回のまとめ 素晴らしい企業か否かは企業の経営データで分かる

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著者 : 日経マネー
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