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離婚時は生命保険も手続きを 放置で思わぬトラブルも

生保損保業界ウオッチ

写真はイメージ=PIXTA
特約や補償範囲などが商品によって異なる保険の比較はなかなか大変。この連載では保険に詳しいファイナンシャルプランナーが商品選びの勘どころを紹介します。

生命保険は契約内容のメンテナンスが大切

生命保険契約は長期にわたるのが一般的。結婚・離婚等で家族の関係性が変化することは珍しくありません。その際、名義変更等の手続きを怠ると、思いもかけない展開になることがあります。具体例を紹介する前に、契約に関わる3つの用語を押さえておきます。

保険契約には保険会社の他に「契約者」「被保険者」「受取人」の3者が存在します。契約者とは保険会社と契約して、様々な権利(契約内容の変更など)と義務(保険料の支払い)を持つ人。被保険者とは、その人の生死・病気・ケガなどが保険の対象となる人。受取人とは保険金・給付金・年金などを受け取る人です。

ケース① 死亡保険の契約者・被保険者が夫、受取人が妻。離婚後、名義変更をせずに元夫が死亡。

生命保険金の請求権は受取人固有の財産であり、離婚しても元妻は保険金を受け取ることができます。ただし、元妻は法定相続人ではないので相続税の非課税枠は使えません。

気を付けたいのが、元夫が亡くなる前に元妻が亡くなっている場合です。元夫の保険金は元妻の相続人が受け取ることになります。元夫婦の間に子供がいれば子が、いなければ元妻の親・兄弟姉妹などに保険金が渡ります。離婚時、契約内容見直しは不可欠でしょう。

次に、離婚に際して、受取人を妻から子供に変更したケースをみてみます。

ケース② シングル・ファーザー。契約者・被保険者であり、親権者でもある父が死亡。受取人である遺児は未成年。

シングルペアレントが未成年の子を受取人にする場合、万一の時に請求手続きをどうするか、保険金が子供のために適正に使われるにはどうすればよいかなど、あらかじめ想定しておくことが大切。

このケースの場合、請求手続きは、子の親権者もしくは未成年後見人が行う必要があります。親権者は死亡しているので、未成年の子本人(意思能力を有する場合)やその親族・利害関係者などが家庭裁判所に申し立てて、未成年後見人を選任しなくてはなりません。

離婚した親が亡くなると学資保険はどうなる?

次に学資保険について見ていきます。一般的に学資保険は、契約者が親、被保険者が子、お祝い金や満期金受取人は契約者という形態を取ります。親が死亡すると以後の保険料が免除になり、お祝い金や満期金は契約通り支払われます。つまり親の保障でもあるのです。

ケース③ 父を契約者とする学資保険加入中に離婚成立。親権は母が取得。父が養育費代わりに学資保険の保険料を払い続けることに。

母より父の方が高収入であることが多いので、学資保険では父が契約者になるのが一般的。一方、離婚後、親権者となるのは9割強が母というデータがあります。ケース③は一般的な事例と言えますが、離婚時の手続きには一抹の不安が残ります。

元妻が疎遠になった元夫の死亡を知らず、保険料免除の手続きを怠ると、保険契約が失効してしまうかもしれません。別れた夫婦がいつでも連絡を取り合える良好な関係であればよいのですが、それもなかなか難しいのが現実。

将来の不安を回避するには、親権者である母を後継保険契約者・受取人に変更し、母が保険料を払い続ける方法があります。ただし、この変更手続きができるのは契約者である父です。

夫婦や家族のあり方が多様化する中、離婚などで家族の形が変わった時には、保険契約も今後の方針を話し合い、必要な手続きを済ませておくことが大切です。

内藤眞弓(ないとう・まゆみ)
大手生命保険会社勤務の後、ファイナンシャルプランナーとして独立。生活設計塾クルー取締役を務める。『医療保険はすぐやめなさい』(ダイヤモンド社)など著書多数。一般社団法人FP&コミュニティ・カフェ代表。
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