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コオロギが食材に? 技術が開く新時代(佐々木明子)

テレビ東京アナウンサー・佐々木明子のニュースな日々

環境問題解決に役立つ意外な存在

「あっこさん、食用コオロギって関心ありませんか」。友人から連絡が来たその瞬間、昔、田舎のおばあちゃんが出してくれたイナゴの甘露煮が脳裏に浮かんだ。茶色く煮込まれた昆虫の姿に、子供心に衝撃を受けた記憶がある。「食べるのはやっぱり抵抗がありますよね?」。正直に答えた。「そのままの姿だと、ギョッとする人もいるかも」

コオロギは、どうやら食料危機や環境問題などの解決に一役買うかもしれないとのこと。確かに昔、昆虫は貴重なたんぱく源として人間の食を支えてきたが、牛・豚などに主役の座を奪われ、もはや食卓で見る機会はほぼなくなった。

私も無類の肉食派である。ただ、その人間の胃袋を満たすために畜産業が急拡大し、環境破壊を加速させていると問題になっている。

テクノロジーが低成長脱却の起爆剤に

最近、「○○テック」という言葉をよく耳にする。特定の業界とテクノロジーを組み合わせた造語で、金融ならば「フィンテック」、農業ならば「アグリテック」など、その業界の課題を最先端の技術によって解決し、生産性を上げるもの。低成長脱却の起爆剤ともいわれる。

例えば先日番組でも紹介したある野菜工場は、「アグリテック」を実現させたものだ。あらゆるものがネットにつながるIoTで24時間管理するので、野菜の生育が速く防虫もでき、無農薬栽培が可能。屋内で作るので天候に悩むこともない。「第1次産業は経験や勘に頼ることが多い。高齢化で後継者不足に直面する日本は、こうしたテクノロジー導入が鍵だ」「季節に関係なく作れるので、旬の野菜が分からなくなるかも」と、コメンテーターとひとしきり盛り上がった。

農林水産省では2020年、フードテック研究会が設立された。たんぱく質の供給の多様化などについて、官民を挙げて議論する場だ。「フードテック」は25年までに世界で700兆円規模の市場になるとの試算もある巨大な新産業で、世界では開発競争が進む。

友人が話していたのは、世界の飢餓や環境問題をたんぱく質が豊富なコオロギで解決しようとするベンチャー企業のことだった。日ごろ大量に出る「食品ロス」をコオロギの餌などに利用し、フンは農業向けの肥料として使うことで無駄なくモノを循環させるシステムを構築するという。

見た目が生々しいと食欲は湧かないが、最近はパウダーにしてクッキーやカレー、ラーメンなどに使われ始めているそう。コオロギはほんの一例。見学させてもらうと、現場は食の問題に挑戦する人達の熱気にあふれていた。テクノロジーは、人間の食を再び古来の自然との共生の形に戻すのかもしれない。

最近のMy News「個性光る?フラワーアレンジメント体験」

先日、友人たちに連れられてフラワーアレンジメント教室に行ってみた。皆でブーケを作ったのだが、同じ花を使っているはずなのに、仕上がりはそれぞれ全く違う。個性が出るものなのか。アレンジメントの先生に「ワイルドな……」と評された私の花々は、いまだ元気にいい香りを放っている。

「佐々木明子のニュースな日々」は、国内外の経済やマーケットの動きを伝えるテレビ東京「WBS(ワールドビジネスサテライト)」のメインキャスターを務める佐々木明子さんが、金融・経済の最前線の動きや番組制作の裏話などをつづるコラムです。

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