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保有特許に注目 「精密機器」関連の技術成長株

工藤特許探偵事務所

国際計測機器の「動電式3軸振動試験機システム」
企業が保有する特許(=技術力)に着目して有望銘柄を発掘する「工藤特許探偵事務所」。「企業が保有する特許の経済価値(技術力)の総和と時価総額(株価)には相関がある」という仮説に基づき、成長株を探していこう。

技術の経済的価値から有望銘柄を探す「工藤特許探偵事務所」。その価値を示すYK値(下囲み参照)の過去2年間の成長率が高い銘柄を、業種ごとに紹介している。今回取り上げる業種は「精密機器」。近年は主に医療機器や産業用計測器などを手掛ける業種だ。

中でも注目されているのは、医療機器に関連する技術。透析装置や内視鏡、診断装置など幅広い領域で技術開発が行われている。中小企業では医療容器や管などの器具に関する技術も注目されているようだ。

医療機器は高齢化社会の進展に伴い、さらに需要が増加すると考えられる。また、産業用の計測器はビッグデータ収集の手段として注目されており、どちらも有望な分野だ。以下、YK値成長率の上位4銘柄を紹介する。

第1位国際計測器。タイヤ向けなど自動車用試験機の大手だ。海外売上高比率が約7割(2021年3月期)と高く、中国や東南アジアの成長を取り込んでいる。近年は自動車部品向けの振動試験機でYK値が伸びている。EV(電気自動車)は燃費を改善するため車体の軽量化が課題となっているが、この試験機は、軽量化した部品が十分な耐久性を持っているかを効果的に試験することができる。EVの普及に合わせ、同社の業績も堅実に推移していくと考える。

第2位朝日インテック。7月には医療関連の企業を相次いで子会社とするなど、積極的に事業を拡大している。主力である医療用ガイドワイヤ関連の技術が伸び、YK値を押し上げた。ガイドワイヤとは、カテーテル(医療用の細管)を患者の体内に挿入する際に、カテーテルを導くガイドとなるもの。カテーテル治療には必須となるもので、今後も確実な需要が見込まれる。

第3位日機装。産業用のポンプや人工腎臓などの医療機器を手掛ける。新型コロナウイルスの不活化にも効果が確認されている深紫外線LED除菌装置を積極展開しており、関連技術を伸ばしている。従来、光による殺菌装置には水銀ランプが使用されてきたが、深紫外線LEDはこの水銀ランプと比べ、小型で省エネ、安全であり、活用の場が大きく広がる可能性がある。同社の製品は水や空気の浄化、医療分野への応用など、多様な分野での活躍が期待できる。

第4位トプコンは農業・土木関連などの測量機を提供する企業。土木関連の測量機で高いシェアを持つが、近年は眼科向けの検査装置にも進出。ここ数年、技術力を伸ばしている。同社の眼底検査装置は独自技術により、眼底の鮮明な3次元画像を撮影できる。QOLの観点から注目を集める医療分野で、事業を拡大していくと予想する。

これらの4社は専門的な分野で力を発揮し、我々の生活を支えている。新しい取り組みに積極的な企業も多い。

今回紹介した4銘柄以外では、内視鏡トップシェアのオリンパスや、歯科材料・歯科機器の大手で同分野に高い技術を持つ松風、カテーテルや注射針など医療器具に強みがあるニプロなどが技術優良銘柄として挙げられる。

YK値とは? 技術力(特許価値)で成長株を探す方法


YK値は工藤一郎国際特許事務所が開発した指標で、出願された特許に対する閲覧請求や無効審判など、ライバル企業が特許の内容を調べたり、無効にするために弁理士に支払った費用から算出する。弁理士コストは50万~100万円程度、訴訟を含めた場合は数百万円程度であり、YK値はこの金額を基準として算出する。なお、実際の手続きには弁理士コスト以外も必要で、全体では弁理士コストの10倍、数千万円程度になることもある。ただし、全体のコストと弁理士コストはおおむね比例するため、弁理士コストから技術の価値は推定できる。YK値は特許価値評価ウェブサービス「PATWARE」で参照可能。

YK値が上昇すると時価総額(株価)の増加も期待できる。図は日東電工の過去30年間の株価とYK値の推移だが、両者には一定の相関が見て取れる。このコラムでは成長株を探すため、過去2年間のYK値上昇率に着目。業種ごとに増加率上位銘柄を成長株として紹介する。特許価値の変化が株価に反映されやすい中小型株が対象だ。なおYK値は株価には着目していない。株価が既に割高になっている場合もあるので、PERやPBRなども合わせて参考にしてほしい。
工藤一郎(くどう・いちろう)
弁理士。工藤一郎国際特許事務所所長。大阪大学工学部卒。NECで磁気ヘッド開発に従事した後、知的財産部などで特許実務に携わる。2000年4月に工藤一郎国際特許事務所設立。特許の経済的価値の数値化や、特許価値の比較を容易にする技術業種分類などを開発。

[日経マネー2021年10月号の記事を再構成]

日経マネー 2021年10月号 配当生活入門
著者 : 日経マネー
出版 : 日経BP (2021/8/20)
価格 : 750円(税込み)
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