/

買い時?売り時? 「プラスサム」の長期投資を知る

積立王子への道(28)

投資の世界で「積立王子」のニックネームを持つ筆者が、これから長期投資に乗り出す後輩の若者にむけて成功の秘訣を伝授するコラムです。

値動きを当てるのは投資ではない

心構えの第3条は「長期投資とは買ってから保有を続けること」だ。書店の「投資本コーナー」に並ぶ大半は今すぐもうけるための株式取引のテクニックやノウハウを書いた本だ。これは、残念ながら本来の「投資」ではなく「投機」。事程左様に世間では今も投資と投機がゴッチャにされている。

株式投資で今すぐもうけるには短期的な値動きを当てる必要がある。日々の値動きこそがもうけの源泉になるわけだからね。そして値動きを予測して相場で勝負するのは、合理的な再現性に乏しい投機的行為と言わざるを得ない。2人には何度も説明したけど日々の株価は不規則に上下するものだから、もうけも損失も、どちらも偶然性に依拠した結果にすぎない。

経済活動にコミットするには時間が必要だ

一方、本来の「投資」とは自分のお金を通じて経済活動に参加する行動だ。そして投資対象の営む事業活動が生み出すお金(キャッシュフロー)から相応の配分を受けるのが本物の投資のリターンだ。世の中をもっと便利で楽しく豊かにしたいという社会的課題解決に取り組むビジネスに対して必要資金を供給するのが本物の「投資マネー」。ビジネスが努力の末に世の中から支持されて、社会に対する付加価値提供という目標を成就するまでには長い時間が必要なんだ。だからその時間にもコミットする。つまり本当の意味での投資は長期投資以外あり得ない。必然的に株式や債券を買ってから保有を続ける行為となる。

投機はゼロサムで投資はプラスサム

世間ではまだまだ誤解がはびこっており、本来の「投資」と短期売買が混同されているが、本来この2つはどこに価値の源泉を見いだしているかによって全く異なる。短期売買(トレード)は投資対象の価値はなんら変わらぬ中で、もっぱら価格変動によって生じるリターンの奪い合いをしているわけだ。自分のもうけは他人の損失に裏打ちされたゼロサム構造だ。

長期投資のリターンは投資対象の価値増大(成長)が実現することによって得られる果実。社会全体もその分豊かになり、投資家仲間は皆一様に報われる。長期投資とは相手の損失を必要としない、与える行動すなわちプラスサムなんだ。

まっとうな資産形成を目的とするならば、日々の値動きではなく経済活動における長期的な成長を通じてお金を合理的に育てていく行動を選択すべきなんだ。このごく当たり前の考えがもっと世間一般に普及してほしい……「積立王子」と呼ばれるボクはそれを熱望しているんだ。

中野晴啓(なかの・はるひろ)
セゾン投信株式会社代表取締役会長CEO。1963年生まれ。87年クレディセゾン入社。セゾングループ内で投資顧問事業を立ち上げ、運用責任者としてグループ資金の運用等を手がける。2006年セゾン投信(株)を設立。公益財団法人セゾン文化財団理事。一般社団法人投資信託協会理事。全国各地で年間150回講演やセミナーを行っている。『預金バカ』など著書多数。

春割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!

積み立て投資には、複利効果やつみたてNISAの仕組みなど押さえておくべきポイントが多くあります。 このコラムでは「積立王子」のニックネームを持つセゾン投信会長兼CEOの中野晴啓さんが、これから資産形成を考える若い世代にむけて「長期・積立・分散」という3つの原則に沿って解説します。

関連企業・業界

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で申し込むログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で申し込むログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で申し込むログイン