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年後半は景気回復鮮明に 5大有望テーマに注目

プロに聞く投資戦略(上)三菱UFJモルガン・スタンレー証券 藤戸則弘さん

一時3万円台を回復した日経平均株価だが、30年ぶりの高値水準に警戒感を募らせる個人投資家も少なくない。ここからどのようなスタンスで投資に取り組めばいいのか。2人の識者に、株式市場の見通しと投資戦略を聞いた。今回は三菱UFJモルガン・スタンレー証券のチーフ投資ストラテジスト、藤戸則弘さんの見方を紹介する。

――景気、株価の今後の見通しは。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券 チーフ投資ストラテジスト 藤戸則弘さん

年後半、新型コロナ感染症のピークダウンとともに世界景気の回復が鮮明になってくるだろう。3月上旬時点で全世界では既に3億回を超えるワクチン接種が行われている。英国では夏場くらいまでには集団免疫が具現化するという見立てもある。

2020年はコロナに散々痛めつけられた。21年は自然体でもプラス成長が期待できる。国際通貨基金(IMF)は21年の中国のGDP成長率を8.1%と予測。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は2月の議会証言で「今年の米成長率は6%もあり得る」と述べている。GDPの世界ナンバー1とナンバー2の国が高成長するわけだ。その恩恵は外需を通じて日本企業にももたらされる。輸出企業全般にとってはプラスだ。

――バブルを懸念する声もある。

3月期決算企業の20年4~12月期決算では業績上方修正が目立った。コロナ禍でダメージを受けた業種も最悪期を脱した印象だ。過去最高の決算数字を出した企業はさらに伸びそうだ。日経平均株価の21年3月期の予想PERは一時、26倍程度まで上がったが、株価調整と、それ以上にEPS(1株当たり純利益)の水準が切り上がったことで足元では22倍程度。株価が上がっても、業績次第では20倍を切る展開もあり得る。平成バブル時のPERは70~80倍だ。

米国株も足元のS&P500種株価指数採用銘柄の予想PERは22倍程度。米主要企業、特にハイテク、半導体関連には過去最高益の企業が幾つもある。赤字企業の株が買われた2000年のITバブルの時とも状況が違う。

金利上昇による調整のリスクも

――警戒すべきことは何か。

長期金利上昇だ。これは各国の中央銀行でも意見が分かれている。米英は「景気回復による金利上昇は必然」と容認姿勢。一方、欧州やアジア勢は、景気回復の初期段階における金利上昇を非常に警戒している。2月末、日経平均株価は約1200円安となったが、これも本を正せばFRBの金利上昇容認姿勢から始まっている。

景気や企業業績を見ると「長期金利上昇は許容できる」という見方もうなずける。問題はその速度だ。0.5%からいきなり1.6%といった急騰では市場がネガティブに反応するのは当たり前。

とは言え、企業業績が上振れてくれば、どこかでFRBも金利上昇をけん制してくる可能性がある。その時、市場との対話をしくじれば、再び世界株安という事態が起こり得る。また、夏を超えると経済統計などではさらに強い数字が出てくるとみる。21年10~12月期の企業業績が見えてきた時点で、FRBはテーパリングの議論を始めざるを得なくなるだろう。ここでも手綱さばきに失敗すれば大きな調整になるかもしれない。

――投資家はどう行動すべきか。

調整を挟むかもしれないが、景気回復と企業業績の拡大による株高が全体のトレンドだ。調整がトレンドを屈折させ、景気や株価が下に向かうという流れではない。2月末の急落時同様、調整局面は拾い場という対処が有効だろう。

日米の金利差が拡大すれば為替はドル高・円安に振れる。これも日本株にはプラスとみてよい。

――どのような業種が有望か。

新型コロナとの共存に適応した企業だ。DXやテレワークを支える半導体・電子部品などが代表だろう。既に買われているが、中国の工業生産が回復するのでFA関連や資源・コモディティー関連の業績は加速しそうだ。環境関連も5~10年続くテーマ。EV(電気自動車)本体はもちろん、駆動用モーターなど周辺も期待できる(下表)。

一方、空運・陸運、観光、外食関連が景気回復期待で買われているが、やや買われ過ぎ。業績の大底から多少は回復するだろうが、収益回復まではしばらく時間がかかりそう。また、金利上昇で銀行が買われたが、多少上がったとは言え足元の日本の金利水準は依然として低く、収益改善にはつながりにくい。不動産も要注意。大手企業の都心のオフィス減床の動きが顕在化しており、都心のオフィスの空室率もジリジリ上昇している。この流れは加速しそうだ。

(聞き手は本間健司)

[日経マネー2021年5月号の記事を再構成]

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