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米ワクチン接種進展と「宝くじ戦法」(佐々木明子)

テレビ東京アナウンサー・佐々木明子のニュースな日々

国内外の経済やマーケットの動きを伝えるテレビ東京の「WBS(ワールドビジネスサテライト)」。そのメインキャスターを務める佐々木明子さんが、金融・経済の最前線の動きや番組制作の裏話などをつづります。

「当たるかも」淡い期待が心をくすぐる

毎年、「夢を買うの」と前置きをして宝くじを購入するけれど、心の奥底では「今回こそ当たるかもしれない」と本気で思っている節がある。結果、合計すればそれなりの資金を投じてきた気がするが、一説によれば1等が当たる確率はざっくり1000万分の1。まさに夢物語である。

WBSのキャスター、佐々木明子さん

ここにきて米国では、新型コロナウイルスのワクチン接種率が鈍化している。そんな中、何とオハイオ州は「接種者の中で宝くじを実施する」と発表した。

変異ウイルスの拡大などを考えれば、コロナとの戦いはまだまだ続いている。ワクチン接種率の鈍化は懸念材料だ。接種促進に向け、各州はフライドポテトやビールの無料配布など、あの手この手を打っていた。オハイオ州のニュースを聞いた時は皆で「米国は面白いことをするね」と笑っていたのだが、驚くことに、同州では全ての年代で接種率が上昇したそうだ。

番組のコメンテーターで東京大学大学院教授の渡辺安虎氏によれば、行動経済学において人間は「微小な確率」を「過大に見積もる」ことが知られているそうだ。つまり、「副反応が生じる確率」と「宝くじの当選確率」、どちらも「小さいのにそこに過大に反応する」という性質がある。後者をうまく利用して効果を上げたということなのだ。「もれなくプレゼント」よりも「当たるかもしれない」の方が、ありがたみがあるのだろう。面白いものである。

いつか来る"鈍化"に向けて

今では奨学金やらギフトカードやら「接種特典合戦」なるものが過熱しているが、ワクチン接種で先を行く米国で今起きている"鈍化"は、日本でもいずれ起こることだと専門家は指摘する。ならば、参考にして対策を考えておくべきかもしれない。

人間の心理は不思議なもので、「ワクチンが足りない」と知ればワクチンを打ちたくなり、「ワクチンは十分確保した」となれば「接種は急がなくてもいいか」となる。昨年のコロナ感染拡大時の、マスクの争奪戦が記憶に新しい。

ふと、米国のあるファンドマネジャーの言葉を思い出した。「日本人は意外とギャンブル気質の傾向がある。堅実にコツコツ貯金する一方で、宝くじにお金を投じるよね。確率的に見れば、株で運用した方がお金は増えるけどね」

右肩上がりの米国株ならその通りだが、バブル崩壊後、日本株は低迷し続けた。だから日本人はきっと、宝くじに夢を託してきたのだと思う。景気は気から、人の行動も心理から。であれば、日本のワクチン接種鈍化局面にはより、「宝くじ戦法」が効果を発揮するかもしれない。

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佐々木明子(ささき・あきこ)
1992年、テレビ東京入社。アナウンス部配属、スポーツ担当に。2014年から21年まで「Newsモーニングサテライト」の、21年春から「WBS(ワールドビジネスサテライト)」のメインキャスターを担当。
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