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子の意思を尊重し判断力育む お金に強い子供の育て方

CONNECT社長 大槻竜児さん

大和証券グループ本社傘下のCONNECT(コネクト)は、2020年7月にサービスを開始したスマートフォン向けの証券会社。1株から投資できる手軽さで、20〜30代を中心とした顧客獲得を目指す。社長の大槻竜児さんは、一人娘の父としての顔も持つ。証券会社一筋で働いてきた経験を通して、娘に伝えてきたこととは。

大槻竜児(おおつき・りゅうじ) CONNECT社長。1992年に大和証券入社。リテール(個人向け営業)、クオンツ部門を経て大和証券のオンライン証券部門に12年在籍。その後、広報部で宣伝も担当。2019年4月から現職。

若い世代に広がり始めた資産形成の重要性

――コネクトは若年層がメインターゲットですが、若い世代の間で投資が広まっているという感覚はありますか。

昔に比べると、投資に対する抵抗感は薄れているなと思います。コロナショック後の相場回復局面では、多くの20~30代が投資を始めました。中には、「経済についての学びを得たい」という目的意識で投資を始める人も。「老後資金2000万円問題」などもあって、20代の女性でも、老後資金のために長期で投資を始めるという人も多いですね。

そう考えると、1980年代のバブル期とは世相が大きく変わりました。当時は、銀行の定期預金では金利が6%も付くことがあった。「株式投資なんかしなくても、郵便局の定期貯金に預けていれば十分」という若者も少なくなかったのです。

――社会人2年目の娘さんも20代ですが、投資はしていますか。

つみたてNISA(少額投資非課税制度)を利用して、毎月積み立て投資をしているようです。金融機関に勤めているので、お金の知識はあるかと思います。

資産運用については特にアドバイスしていません。積み立てを開始する際に、「初めは月5000円ぐらいでいいかな?」と聞かれたので、「いや、最低でも給料の1割ぐらいは必要なんじゃないか」と伝えたぐらいでしょうか。本人の仕事でもお金の知識は必要ですから、後は自分なりに勉強しているようです。

親が特別教えなくても、自主的に学んでくれれば十分に知識が付くのだなと感じます。最近は、私とも遜色なくお金についての会話ができるようになりました。

子供の選択には口を出さない

――「お金に強い子」に育てるために、子育てで意識してきたことはありますか

とにかく判断力を身に付けさせるということです。親はいつまで子供のそばにいられるか分かりません。仕事や資産運用についても、自分で判断して、親の金銭的サポートなしで生きていく力を養う必要があると考えました。

親からあれこれ指示されると、自立心がなくなって判断を人に委ねる子になってしまう。行きたい学校、やりたい部活、習い事については口出しせず、応援してきました。

――とは言え大学受験などの際は、意見したくなる場面もあったのでは。

いえ、文理選択から進学先まで、本人の選択に対して何か意見するということはありませんでした。顔色にも出さないように気を付けていました。最初、娘は5教科必要な大学を目指していましたが、その時は本当に大変そうだった。ですがそこで私から「他の選択肢を考えてみては?」などと言うことはなかったです。

最終的に、「3教科に絞って、改めて別の大学を目指してもいいか」と本人から申し出があった。受験期後半のことでしたが、本人がよくよく考えたうえでの選択だと分かっていたので、「もちろんいいよ」と答えました。

「続けること」の大切さを教える

一方で、「何事も、ある程度まで継続させる」ということは大切にしてきました。どんなこともまずは続けることで、見えてくるものがある。娘はバレエやピアノを習っていましたが、「簡単に『辞めたい』と言ってはいけないよ」と伝えていました。

粘り強く努力するうえで重要なのが、他人と自分を比較しないということ。結構やってしまいがちなことですが、親としても周りの子と娘を比較しないように心掛けていました。成長とは本来、昨日の自分よりも今日の自分が良くなっているかどうかで決まるものです。

大人になって仕事をするに当たっては、誰しもつらい場面に遭遇することがあるでしょう。それでも仕事を続けて、自分で自分を養い続けるためには、継続力が不可欠です。

――自ら判断する力とじっくり物事に取り組む力があれば、お金に困らずに生きていけそうですね。

そう思います。「親なしでも生きていける子に育ってほしい」という考え方の背景には、私の父が40代の若さで亡くなったこともあるのでしょう。私が小学校に上がったばかりの時のことでした。

「お金のことは口にするな」と父からよく言われていたのを覚えています。実は父は信用金庫に勤めていたのですが、「お金のことを考えると心が貧しくなる」という考えの人でした。「細かいお金にこだわり過ぎてはいけないよ」という意味だったのかもしれません。

父から譲り受けた株券

ただ、私が金融業に携わるようになったのは少なからず父の影響があると思っています。仕事といえば金融、というイメージも自然と定着していました。

父が亡くなった後、母から父が所有していた株券をもらったのをすごく覚えています。電子化される前の、紙のものです。1000株ぐらいで当時既に上場廃止になっていた銘柄でした。

「何だこれは」と思いましたね。お金ではないのだけれど、この紙で経済が回っている。お札よりも大きくて、プリントされた文字には威厳があって、裏面を見ると過去の名義人が並んでいる。その様子に何となく引き付けられて、以来、投資を身近に感じるようになりました。

――それが株式投資との出合いだった。

やはり、投資と接点を持つのは早い方がいいと思うのです。より年齢が若いほど、リスクを取って資産運用ができますし、投資の経験を積むことができますから。娘と同じ世代の人たちにコネクトで投資を始めてもらい、15年後ぐらいに「あの時投資を始めていてよかったな」と思ってもらえればうれしいです。

――積み立て投資を始めた娘さんも将来、そう言っているといいですね。

ただ父親としては、資産運用と同時に、働くことも大切にしてほしいと思っています。資産の形成は長期で考えてもらって、社会人になりたてのうちには、まず懸命に働くことを優先すればいい。

仕事はもちろん苦しい場面もありますが、社会と深く関わりを持つことができる。色々な人との出会いを通して、人生の楽しみや学びが得られます。

――そのためには、コミュニケーション力も重要です。

娘は、自分自身を「コミュニケーションが苦手な人間」だと自己評価しているようで、それを克服すべく、大学生の時は様々なアルバイトを掛け持ちしていました。

「自分より年上の人たちとコミュニケーションが取れるようになりたい」ということで、ホテルの接客のアルバイトもしていたようです。とてもいいことだと思いました。そうした努力を着々と続けられる人であってくれると、うれしいですね。

(聞き手は大松佳代)

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