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老後資金づくりは早めに着手 税制優遇制度の活用を

3大支出への備え方(下) 老後資金

60歳以降も教育費の支出や住宅ローン返済が続き、老後資金の「ためどき」がない世帯のマネープランを考える「3大支出への備え方」。今回は、老後資金づくりで意識したいポイントを紹介する。

時間を味方にコツコツ積み立てを

ライフイベントが後ろ倒しとなり、60代以降も教育費や住宅ローン負担が続くケースでは、50代後半に老後資金を一気にためることは難しい。こうした世帯がまとまった老後資金を用意するには、少額であっても、できるだけ早いうちから積み立てておくことが不可欠となる。

老後資金づくりのような長期の資産形成では、預貯金より高い利回りが期待できるリスク商品での運用が、資産を増やすことにつながる。リスク商品につきものの値動きの振れ幅を抑えるには「長期・分散・積み立て」が有効であり、積み立て投資をするなら税制優遇のある「確定拠出年金」や「つみたてNISA(少額投資非課税制度)」を利用するのがセオリーだ。

確定拠出年金もつみたてNISAも、投資信託などを毎月定額で積み立て購入していく仕組み。運用で得られた利益に対する約20%の税金がかからず、資産を増やす効果が高い。確定拠出年金には企業型と個人型(iDeCo)があり、iDeCoには拠出した掛け金が全額所得控除の対象となって所得税・住民税の負担が軽減されるメリットもある。

制度改正で使いやすさアップ

企業型確定拠出年金もiDeCoも色々な制約があって使いづらい面があったが、制度改正が繰り返され、だんだんと使い勝手が向上している。

60歳以降も住宅ローン返済や教育費負担が続く「ためどき不在世帯」にとっての朗報は、確定拠出年金の掛け金を拠出できる年齢の上限が上がること。現状、企業型は65歳になるまで、iDeCoは60歳になるまでだが、2022年5月以降はそれぞれ70歳になるまで、65歳になるまでに延長される。これまでより長く運用できる分、老後資産を増やすことにつながる。

企業型は、会社が掛け金を拠出し、加入者である従業員それぞれが金融商品を選んで運用する。会社負担で老後資金づくりができるのは大きなメリットだが、掛け金の額は会社が決めるため、老後資金づくりに十分ではないこともある。その場合、加入者自身が掛け金をプラスアルファする方法がある。一つはiDeCoへの加入、もう一つは「マッチング拠出」だ。

企業型の加入者がiDeCoを利用できるのは、事業主が規約を改正して同時加入を認めた場合に限られ、実際には併用できないケースがほとんどだった。それが22年10月から規約改正なしでiDeCoに加入できるようになる。

マッチング拠出は、会社の掛け金に上乗せして加入者自身が掛け金を拠出できる仕組みで、これを導入している事業主は5割を超える。現状ではマッチング拠出が導入されているとiDeCoは利用できないが、来年10月以降はどちらかの選択が可能になる。

選択のポイントは掛け金の額だ。マッチング拠出の掛け金の上限は事業主掛け金と同額までで、合計額は月5万5000円(他の企業年金がある場合は2万7500円)まで。iDeCoは、加入している企業年金による上限額がある。できるだけ多く掛け金を拠出して運用したいなら、自分の上限額を比較して、多い方を選べばいい。掛け金の額にあまり差がないなら、会社が口座管理料を負担する企業型にメリットがあるかもしれない。

企業型で利用できる金融商品に希望するものがなければ、iDeCoで、利用したい商品がある運営管理機関を選ぶことも考えられる。

確定拠出年金は老後資金づくりに特化した制度なので、積み立てた資産は60歳になるまで引き出すことができず、加入期間が10年未満だと受取開始年齢がさらに繰り下がることには注意が必要だ。

つみたてNISAは資金をいつでも引き出せる

つみたてNISAは年40万円を上限に、最長20年間非課税で運用できる仕組み。金融庁が長期の資産形成に向くと認めた投資信託を積み立てる。資金はいつでも引き出しが可能なので、老後資金だけでなく、教育資金などにも利用できる。まとまったお金が必要になった時は必要額を一部解約して、積み立ては継続すればいい。

つみたてNISAも制度改正によって、積み立てができる最終年が現行の37年から5年延長され、42年までになる(24年から)。

確定拠出年金とつみたてNISAは併用できるので、「老後資金は確定拠出年金、子供の大学進学費用の一部はつみたてNISA」といったように使い分けるといいだろう。

(ファイナンシャルプランナー・馬養雅子)

[日経マネー2021年11月号の記事を再構成]

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