/

教育費のピークは大学進学時 備えは計画的に

3大支出への備え方(上) 教育費

「人生の3大支出」と言われる教育費、住宅購入資金、老後資金。かつては子供の教育資金と住宅ローン返済のめどが立った50代後半の「ためどき」に老後資金を準備するのがセオリーだったが、晩婚・晩産化の影響で60代まで教育費や住宅ローン返済が続くケースが増えている。こうした「ためどき不在世帯」が大きな支出に備えるには、より綿密な資金計画が必要だ。「3大支出への備え方」では、こうした世帯が考えておきたいマネープランのポイントを3回連載で解説する。今回は教育費の備え方について考えていこう。

高校までの費用は家計の中でやりくり

金融広報中央委員会のまとめによると、幼稚園から大学まで、子供1人当たりにかかる教育費は1000万円以上。ただ、2019年10月からの幼保無償化、20年4月からの私立高校授業料の実質無償化などによって、教育費の負担は軽減される方向にある。また、1人当たり1000万円以上かかるといっても、それが一度に必要になるわけではなく、高校卒業までにかかる教育費は日常の家計の中から支出していくのが基本だ。

しかし、大学に進学する時はまとまったお金が必要になるので、これはあらかじめ準備しておく必要がある。つまり教育費への備えとは、主に大学進学時にかかる費用を必要な子供の人数分、準備しておくことを指す。

大学入学時が負担のピーク

大学にかかるお金は、デフレが続く中にあっても減っていない。国立大学でも4年間で約250万円、私立の文系・理系で400万~550万円程度となっている(下表)。特に初年度は、入学金に加えて6カ月分あるいは1年分の授業料、私立大学の場合は「施設設備費」(大学によって名称は異なる)も必要となり、この時が教育費負担のピークとなる。

もし下宿するなど自宅外から通学するのであれば、それに加えて住居費・食費・光熱費などもかかる。日本学生支援機構のデータによると、自宅外通学の大学生の生活費の平均額は、年間約110万円。入学前にも、受験料や受験のための交通費・宿泊費がかかり、入学しなかった大学への納付金が必要なこともある。

これらをトータルして受験費用と入学金、2年目までの授業料と施設設備費を用意しておくとすると、必要額の目安は国立大学で190万円、私立文系260万円、私立理系335万円。自宅外通学ならそれに生活費2年分に当たる220万円をプラスした額が目安となる。

目標時期を定めコツコツ積み立てる

大学進学時にかかる費用は必要となる時期が分かっているので、そこへ向けてコツコツ積み立てていけばいい。子供が生まれた時から毎月1万円積み立てると、17歳の時には200万円以上になる計算だ。毎月の児童手当などは使わずに、大学進学費用向けの積み立てに回そう。子供の習い事や塾などにお金をかけ過ぎると、大学進学費用がためられなくなるので気を付けたい。

大学進学費用は減っては困るので預貯金で積み立てるのが基本だが、大学進学までの期間が10年以上あるなら、一部を「つみたてNISA(少額投資非課税制度)」で運用するのもいいだろう。

子供が中学を卒業する頃になって文系か理系かなど進路が固まってきたら、それに合わせて目標額を設定し直し、不足する分はボーナスなどで補填する。私立大学は学校によって費用の差が大きいので、志望校が決まった段階で再度必要額を見積もろう。推薦入学などの場合、高校3年の秋に費用を支払わなければならないケースもあるので、それまでに費用を準備しておきたい。

これまで教育費目的の貯蓄をしてこなかった人は、今ある貯蓄のうち、教育費に回せる金額を子供名義の口座などに分けておこう。それを大学進学費用の目標額から差し引いて高校3年の10月までの月数で割った金額が、これからの毎月の積立額となる。

奨学金は「借り過ぎ」に注意

大学にかかるお金がどうしても不足する時は、奨学金を借りるという方法もある。最も広く利用されている日本学生支援機構の奨学金は、返済が不要の「給付型」と返済ありで無利子の「貸与型第1種」、返済ありで有利子の「貸与型第2種」の3種類がある。給付型は親の年収基準が厳しい。第1種は年収基準の他に学力基準もある。比較的利用しやすいのは第2種だ。

日本学生支援機構の奨学金は、高校3年の春に行われる説明会の後に申し込む。志望校や必要額が決まっていなくても後で変更できるので、この時点で手続きしておくのがポイント。奨学金の振り込みは大学入学後なので、入学金などには充てられない点に注意が必要だ。

 日本学生支援機構以外に、大学や自治体、企業、財団などが独自に設けている奨学金もあり、それらについても同機構のサイトで調べられる。金額や給付型・貸与型の別、利用できる条件、申込時期などはそれぞれ異なるので、利用できるものがあるかどうか、早めに調べておくといい。

貸与型の奨学金は、大学卒業後に返済しなければならない。かつてのように、入社後は右肩上がりで給料が上がっていくという時代ではない中、社会人になった時から借金を背負うのは子供本人にとって大きな負担になる。奨学金を借りる時は、必要な額をきちんと計算して借入額を最小限に抑え、「借り過ぎ」にならないよう気を付けよう。

(ファイナンシャルプランナー・馬養雅子)

[日経マネー2021年11月号の記事を再構成]

日経マネー 2021年11月号 上昇期待の好業績株
著者 : 日経マネー
出版 : 日経BP (2021/9/21)
価格 : 750円(税込み)
この書籍を購入する(ヘルプ): Amazon.co.jp 楽天ブックス

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

関連トピック

トピックをフォローすると、新着情報のチェックやまとめ読みがしやすくなります。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン