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はやりの電動キックボード 自賠責や任意保険は必要?

生保損保業界ウオッチ(損害保険)

8月末、電動キックボード(キックスケーター)の運転者が交通事故で書類送検されました。赤信号無視で交差点に進入、タクシーと衝突し乗客に頭部打撲の傷を負わせたためです。

キックスケーターに原動機を装備した電動キックボードは、短距離移動をラクにし、小さくて持ち運びも容易。CO2排出量が自動車の約40分の1と環境問題にも貢献。こうしたメリットから、シェアリングサービスを中心に2017年頃から世界的に普及してきました。

国により走行ルールは異なりますが、日本では電動キックボードの多くが原動機付自転車に該当するため、運転免許が必要です。歩道は走行できず、ライトやクラクション、方向指示器などを取り付け、ヘルメット着用の上、車道の左端を走行するのがルールです。ナンバープレートの装着、自賠責保険の加入も義務です。違反すれば刑事上・行政上の責任を、事故を起こせば被害者に対する民事上の責任も問われます。当然、任意保険も欠かせません。新たに自動車保険に加入する、マイカーの自動車保険にファミリーバイク特約の付帯などの備えが要ります。

ところが先述の事故の加害者は、ナンバー登録や機体の整備をせず、自賠責保険にも未加入と必要な手続きを怠っていました。道路交通法違反の反則金や被害者への賠償と、深刻で重い負担を自身で負うことになってしまったのです。

シェアリングは保険付き

現在、経済産業省所管の新事業特例制度に基づく実証実験として、4団体による電動キックボードのシェアリングサービスが行われています。これは安価な利用料だけでエリア内を走行できるものです。

例えば東京都と大阪府の一部地域でサービス展開する「LUUP」の利用料は初乗り10分110円(税込み)、以降1分当たり16.5円(同)。専用アプリのマップ上で機体のあるポート(専用駐車場)を探し、到着したらQRコードなどでロックを解除して利用します。借りた場所以外のポートに機体を返却することもできます。

また実証実験では、走行上の特例措置が適用され、通常より利用しやすい点も。運転時のヘルメット着用は任意なので、思い付いたらすぐ乗れます。本来はNGの自転車専用道路や自転車レーン、一方通行路の双方走行も可能です。

保険の面では、自賠責保険はもちろん任意保険も利用料に含まれています。搭乗中の事故を対象に、対人・対物賠償責任補償は無制限、自身が死傷した時の傷害保険も付帯されています。

ただしシェアサービスでは、機体は小型特殊自動車と見なされ、原付免許では利用不可。普通免許か普通二輪免許が必要です。

エコで手軽、新たな可能性を秘める電動キックボードですが、事故も増えており安全性には課題も。普及には、まずは市民の交通ルール順守の徹底が不可欠です。

特約や補償範囲などが商品によって異なる保険の比較はなかなか大変。この連載では保険に詳しいファイナンシャルプランナーが商品選びの勘どころを紹介します。
清水香(しみず・かおり)
学生時代から生損保代理店業務に携わり、2001年、独立系FPとしてフリーランスに転身。翌年、生活設計塾クルー取締役に就任。『地震保険はこうして決めなさい』(ダイヤモンド社)など著書多数。財務省「地震保険制度に関するプロジェクトチーム」委員。社会福祉士。

[日経マネー2021年12月号の記事を再構成]

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