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収入減・災害…危機に備え知っておきたいお金の知識

家計の「5つのピンチ」の乗り越え方

新型コロナウイルスの感染拡大による雇用不安、多発する自然災害や物価の上昇など、家計を取り巻くリスクが高まっている。想定外の収入減や経済的損害といった「家計の危機」に備えるには、予備費を確保したり保険に加入したりする「自助」が大切だが、公的な支援を受けられるのであれば、それもしっかり活用したい。とは言え、公的支援は自分で手続きをしないと受けられない。従って、どんな時にどんな制度が使えるかを把握しておくことがとても重要だ。公的な援助が受けられることを知っていれば、いざという時も落ち着いて行動できる。

知識があれば迅速に対応できる

「想定外」とはいうものの、収入の減少、地震や集中豪雨などの自然災害、交通事故などは、いつ誰が遭遇してもおかしくない。これから起こる可能性のあるリスクを「想定」して、万一の時にすべきことをシミュレーションしておくことも危機管理の一つとなる。

公的な制度に関する知識があるかないか、危機に直面した時に適切な行動が取れるかどうかで、その後の生活再建に大きな差が出てくることも考えられる。日ごろから家計の危機を意識し、必要な情報を収集して家族で共有しておきたい。ここでは身近に起こり得る「家計の5つのピンチ」への対処法をみていこう。

①住宅ローンが払えなくなりそう

→ 借り入れている金融機関にすぐ相談

口座の残高が不足して住宅ローンの引き落としができないと、延滞利息が発生する。金利優遇が受けられなくなることもある。延滞が3カ月あるいは6カ月(金融機関によって異なる)が続くとローン債権が保証会社に移り一括返済を求められる。それができなければ、マイホームは競売にかけられる。

ローン返済が厳しくなったら、延滞する前にローンを借り入れた金融機関に相談して返済方法を見直してもらおう。ただし、いずれの見直し方法を取っても、ローンの総返済額は増えるので、家計のスリム化などの対策は必要だ。

②収入減で手元資金が足りなくなった

→ 当座貸し越しや契約者貸し付けを利用する

手元資金に困った時、金利の高いキャッシングやカードローンを利用するのは避けたい。まず"自分のお金を借りる"ことを考えよう。銀行に普通預金と定期預金をセットした総合口座があれば、ATMで普通預金の残高以上にお金を引き出すと自動的に「当座貸し越し」となる。引き出せるのは定期預金額の90%までで、上限は銀行により200万円、500万円など。金利は定期預金の金利+0.5%とするところが多い。

終身保険や個人年金保険など解約返戻金のある生命保険に加入していたら、それを担保に保険会社からお金を借りる「契約者貸し付け」が利用できる。手元にある金券など、売れるものを売って現金化することも検討しよう。

③地震や台風で自宅が被害に遭った

→ 被害状況を撮影、罹災(りさい)証明書を受け取る

地震や台風・集中豪雨などの自然災害で自宅が被害を受けた時は、スマートフォンなどで建物や家財の被害状況を撮影しておこう。それによって「罹災証明書」の交付や、火災保険・地震保険の保険金請求がスムーズになる。

罹災証明書は、自宅が大きな被害を受けた世帯に対する「被災者生活再建支援金」の給付や「災害援護資金」の融資など、公的な被災者支援策を利用する時に必要となるもので、自治体の窓口で交付申請する。火災保険・地震保険の保険金は、契約している損害保険会社のコールセンターに電話して請求の手続きを。ネットやLINEで請求できる保険会社もあるので、あらかじめ加入先のシステムを調べておくといいだろう。

④クレジットカードを不正利用された

→ カード会社に即連絡、利用停止にする

銀行や宅配業者などを装ったメールやSMS(ショートメッセージサービス)で偽のサイトへ誘導する「フィッシング」や「スミッシング」の被害が後を絶たない。多くはクレジットカードの情報を盗んで不正利用するのが目的だ。

利用明細書などで不正利用されたことが分かったら、カード会社に連絡して利用停止にし、警察に被害届を出す。契約者に落ち度がなければ、カード会社に連絡した日以前60日目からの不正利用額は補償される。カードの裏面に署名がない場合や、暗証番号が誕生日など類推しやすいものだと補償の対象外となり得るので注意が必要だ。最近は少額の不正利用を繰り返す例もあるので、明細書は念入りにチェックを。

⑤病気で入院することになり、医療費が心配…

 → 高額療養費制度を活用、限度額適用認定証を提出

日本の公的健康保険制度は手厚く、どんなに医療費がかかっても1カ月の自己負担額には上限がある。例えば1カ月の医療費が100万円かかったとしても、年収370万~770万円だと自己負担額は9万円弱となり、上限額を超えて支払った医療費は「高額療養費」として払い戻される。

とは言え、一旦は医療機関の窓口で立て替え払いすることになる。あらかじめ入院することが分かっているような場合は、加入している健康保険の窓口で「限度額適用認定証」をもらっておこう。それを医療機関に提出すれば、窓口での支払いが自己負担限度額までとなる。

(ファイナンシャルプランナー・馬養雅子)

[日経マネー2022年1月号の記事を再構成]

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