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長期で着実に資産を増やす 老後資金づくりのツボ

コア&サテライト運用の基礎知識

人生100年時代を迎え、老後の必要資金も増えている。貯蓄だけでは心もとない場合、自分で運用して資産を増やす必要がある。長期で安定して資産を増やすにはどのように運用すればいいか。イボットソン・アソシエイツ・ジャパン・チーフ・インベストメント・オフィサーの小松原宰明さんに話を聞いた。

低コストの投信積み立てを中核に据える

老後資金づくりの長期運用は、「コア&サテライトの組み合わせで運用するのがいい」とイボットソン・アソシエイツ・ジャパン・チーフ・インベストメント・オフィサーの小松原宰明さんはアドバイスする。

「コア運用」は、資金づくりの中核となる部分。国内外の株式や債券、REIT(不動産投資信託)などにバランスよく分散投資する。爆発的な利益は期待できないが、長期的な観点で年3~5%程度の利益を安定的に稼ぐことができる。

コア運用は、インデックス型投信やETF(上場投資信託)に長期積み立て投資するのが基本になる。「特に、長期運用では保有中のコストが低い商品を選ぶのがいい」(小松原さん)。また、iDeCo(個人型確定拠出年金)や、つみたてNISA(少額投資非課税制度)などの税制優遇も積極的に活用したい。一方、「サテライト運用」は、積極的にリスクを取ってプラスアルファの利益を狙う。ここでは個別株への投資が主体になる。

老後資金づくりは早く始めるほど有利に

では、具体的なコア運用のやり方を見ていこう。まず、何歳までにいくらの資金をつくるか目標を定める。そして、それを達成するのに必要な「運用利回り」と「毎月の積立額」を把握しよう。

こうした数字は、モーニングスターの「金融電卓」などを使えば計算できる。例えば、「65歳までに3000万円」を目標とした場合、今40歳で手持ち資金が500万円なら、利回り年3%・月4万4000円の積み立てで達成できる。利回りを年5%にすると、必要な積立額は月2万2000円になる。

積み立て投資では運用期間の長さが非常に重要だ。手持ち資金がゼロでも、今30歳で35年間の運用期間があるなら、毎月3万円以下の積み立てで3000万円を達成できる(年5%運用の場合)。さらに、「運用期間が長くなるほど、資産が平均的に増加し元本割れの確率が低下していくため、リスクを取った高利回り運用がしやすくなる」(小松原さん)。老後資金づくりの運用は、とにかく早く始めることが肝心というわけだ。

必要な運用利回りを把握したら、次は投資する資産の配分比率を決める。ここでは、年3%、5%、7%の利回りが期待できるポートフォリオを小松原さんに作成してもらった(下図)。いずれも、投信などの保有コストを差し引いた上で目標利回りが達成できる設計になっている。各資産の比率に合わせてインデックス型投信を積み立てるのがいいだろう。

長期運用の3つの疑問に答える

老後資金づくりで失敗しないためにはどのようなことを知っておけばいいか。初心者が気になる3つの疑問について、小松原さんに聞いた。

疑問① 今はバブル相場の様相。割高だと思っても積み立てを続けるべき?

小松原 教科書的に答えるなら、積み立てを継続します。なぜなら、今の相場がバブルかどうかは終わってみて初めて分かることだからです。

私は10年ぐらい前にGAFAの株のPER(株価収益率)などを見て、「ずいぶん割高だな」と感じましたが、そこから10年たっても株価は上がり続けています。相場がどう動くかは誰にも分からないのです。従って、「個人の予測や判断を入れずに、淡々と積み立てを継続する」というのが一つの回答になります。

ただ、心配しながら投資を続けるのは精神的によくありません。そうした人には、無理せず一部を利益確定する運用法を勧めます。

自分の老後資金づくりの計画の中で、「何歳時点でいくら」という目標額があるはずです。運用資産のうち、現時点での目標額を超えている部分は、利益確定しても問題ありません。

例えば「40歳までに1000万円」という計画があり、今40歳で1200万円まで増えたなら、200万円分は利益確定してもいいと考えます。そして、相場が急落した時に、利益確定した200万円を再投入します。こうすることで、単純に積み立てを継続するよりも高いリターンが得られます。

疑問② 投資先を一番上がりそうな米国株だけに絞るのは駄目?

小松原 ここ数年の米国株のパフォーマンスが抜群なので、投資先は米国株だけでいいのでは、と考える気持ちも分かります。ただ、長期運用では、国内外の様々な資産にバランスよく投資するのが基本になります。

米国株と値動きが異なる資産を持つことで、米国株が不調な時でもポートフォリオ全体が下落するのを防いでくれます。集中投資に比べて期待リターンは劣ったとしても、分散投資することで値動きが安定し、「リスク当たりのリターン」が改善するわけです。長期運用ではこちらを重視する方がいいでしょう。

どうしても米国株に集中投資したい場合は、運用期間がポイント。統計的には20年以上の運用期間があれば、集中投資しても元本割れリスクが小さくなります。

疑問③ ビットコインにも投資した方がいい?

小松原 老後資金づくりのコア&サテライト運用では、投資対象にならないと考えます。なぜなら、ビットコインなどの暗号資産には、経済的な合理性のあるリターンの源泉がないからです。

例えば株式の場合、「投資家がリスクを取って企業に出資し、企業はその資金で事業を行いリターンを返す」といった関係があります。ビットコインの場合は、単なるモノを買っているのと同じなので、合理的なリターンの源泉がありません。長期的な期待リターンがほぼゼロとみられる半面、値動きは大きいので、「リスク当たりのリターン」が悪い資産と判断されます。

暗号資産に先高観があるとみて保有するのは悪くありませんが、あくまで投機であり、運用とは分けて考えた方がいいでしょう。

(市田憲司)

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