人間関係のしがらみをゆるく手放すコツ
精神科医Tomyさんがズバリお答え!
不満があっても簡単に断ち切れないのが人間関係。でも、我慢すればストレスはたまるばかり…。読者のプライベートや職場での人間関係のお悩みに、精神科医Tomyさんがズバリ答えます。
Tomyさん
精神科医。1978年生まれ。某名門中高一貫校を経て某国立大学医学部卒業後、医師免許取得。研修医修了後、精神科医局に入局。Twitter『ゲイの精神科医Tomyのつ・ぶ・や・きハート』が話題を呼び、フォロワー数は33万以上。『精神科医Tomyが教える 心の荷物の手放し方』(ダイヤモンド社)など著書多数。
親や友人、同僚、ご近所さんなど、接するたびにモヤモヤする人間関係は我慢する? 断ち切るべき? この問いを精神科医のTomyさんに投げかけると「距離を置きたいと思ったら、それが答え。今後は深入りせず、ドライな付き合いに変えればいいのよ」とズバリ。
でも「今までの恩やこれからの付き合いが…」と迷いが生じて決断できない場合も。「そういった情は、本当に大切な人に対してかけるもの。信頼できる人、そして最も大事にすべき自分自身のためにエネルギーや時間を費やしたほうが有意義。自分のキャパシティーを超えた人付き合いを手放せば、おのずと悩みも減って、生きるのがラクになるわよ」。

人と比べたり比べられたり、悪口に付き合わされたり…、正直面倒だなと思うときも。(神奈川県・47歳・銀行・事務)
Tomy's Advice
仕事がきちんと進んでさえいれば、職場の人間関係に悩むのはムダ!
「職場は仕事をする場なんだから、無理して仲良くする必要はないの。悩みって、人と深く関わることで生まれるもの。だから、ドライな関係性で仕事が円滑に進むなら、そのほうが悩まなくて済んで快適よ。"最悪、転職すればいいだけ"くらいに構えておけば、職場の人間関係に悩むのはムダに思えるはずよ」

なんとなく続いている関係ですが、お互いそれほど必要としているようにも思えません。(静岡県・49歳・玩具メーカー・貿易事務)
Tomy's Advice
楽しい時間を過ごせる人が友人。一緒にいて疲れるなら友人ではないの。
「本来、友人って一緒にいて楽しく、自然の成り行きでつながる存在よ。疲れると思ったら、それは友人ではないの。気が進まないときは連絡を取らないなど、自分の意志で付き合い方を決めればOK。友人は多いほうがいいなんて幻想だから、友人が少なくたってみじめでも変でもない。数にはとらわれなくていいのよ」

上司から特定の人の悪口を1日に何度も聞かされています。(岡山県・38歳・医療・薬剤師)
Tomy's Advice
間違いだと感じたら年齢差は関係なくはっきりと考えを伝えるべきよ!
「上司から不当な目に遭わされたら、職場の責任者に伝えるべき。話すときは個人的な感情は抜きで冷静にね。部下だからって黙っていると、もっと大きな問題に発展する恐れがあるわ。また、悪口は話しやすい人にしか言わないもの。悪口には無表情で相づちを打つなど、上司にとって話しにくい部下になるといいわ」


わがままで自己中心的な考えの父親の介護に疲れました。(神奈川県・55歳・医療・医師)
Tomy's Advice
成人したら自分のことは親に相談せずに決めていいのよ!
「"未成年の頃の自分"で親と接するからもめるのよ。仕事や恋愛など自分のことは親に相談しないで決め、後から小言を言われたって聞き流す、大人の対応を。また、"自己中心的な親"と"言うことを聞く娘"の関係では介護は無理。世話をするほど文句を言われるわ。介護は極力プロに任せ、会いたいときだけ会えばよし」

義理の実家からいろいろと失礼な言動をされたことが嫌な思い出となり、たびたび思い出してしまいます。(東京都・39歳・フリーランス・通訳)
Tomy's Advice
無理して集まりに行かなくてもOK。ちょっと変わった人と思わせておけばいいの。
「嫌な集まりには行かないか、行っても個人的な話をしないこと。あなたの情報がなければ、親戚は失礼な発言ができないはず。あいさつだけして、詮索されてものらりくらりとしてればいいの。嫌な思い出は、好きなことをして気持ちを切り替えるのが一番。運動するとか喫茶店に行くとか、選択肢が複数あると便利よ」

町内会の役員決めでもめています。クレーマー気質な人もいて困っています。(大阪府・51歳・化学メーカー・ユーザーサポート)
Tomy's Advice
自分だけで解決できない問題には第三者を入れてきっぱりと対応を。
「人って、異常なことが起こっても『たいしたことない』と思い込む正常性バイアスが働くもの。でも、騒音やクレームへの対処は手遅れになると問題が複雑化し、お互いの憎悪が増して事件に発展する恐れも。この一線を越えたら警察や弁護士などの第三者に相談すると決め、いつも毅然としていればつけ込まれないわよ」

子どもの受験期に、ママ友関係がぎくしゃくしました。娘にも影響があるので、完全に縁を切るわけにもいかず…。(神奈川県・41歳・教育・経理)
Tomy's Advice
子どもの卒業までと割り切って。忙しいキャラを演じるのも手よ。
「子どもの卒業までと割り切って派閥に入らず、一匹狼でいればいざこざは回避できるわ。でも、それだと子どもへの影響が心配な場合は、連絡がつきにくい忙しいキャラを演じてみて。例えばLINEの返信は1日1回と決め、多忙で遅くなってごめんね、と謝るとか。すると、厄介な相談やお願いごとは回ってこないはずよ」
(取材・文 川端美穂)
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