自分にごほうび 今年中に行きたい都内豪華グルメ3店

今年こそは忘年会に女子会に、自分へのごほうびに、「豪華なグルメで1年をしめくくりたい」という人は少なくないだろう。今回は霜降り牛の宝箱が話題の焼き肉店や、世界初のオイル寿司(ずし)、リッチな会員制ホテルで唯一、一般客も入れる豪華ビュッフェなどをご紹介。2022年も残り1カ月、悔いのないように楽しく過ごそうではないか。
宝箱を開けると霜降り牛の塊肉がゴロっ!
まずは東京メトロ、銀座一丁目駅から至近の焼き肉レストラン「焼肉R」(東京・中央)。「五感で楽しむ美しい焼き肉」をコンセプトに掲げる同店では、都会の美しい夜景を眺めながら、えりすぐりの和牛コースを落ち着いた空間で楽しめる。全席個室なので、カップルのデートや家族、仲間との食事、記念日や接待などの特別なディナーにお薦めだ。
コースは自分で肉を焼くスタイルの「欅(けやき)コース」(9品・1万1000円、税込み、サービス料別)があるが、今回は専任の焼き師に焼いてもらう"アテンド有り"の「極(きわみ)コース」(11品・1万6000円、税込み、サービス料別)を体験。せっかくなので銀座ならではのきめ細かな接客も堪能してみよう。
まずはスパークリングワインで乾杯していると、店長が何やら宝箱のようなものをワゴンで運んできた。開けるとドライアイスの白煙がふわふわと流れ出て、ブロック肉がいくつもお目見え! 宝箱から見事な霜降り牛の塊が登場した。豪華なサプライズに思わず歓声が沸く。店長さんは部位ごとに丁寧な説明をしてくれたのだけれど、想定外の演出に心が浮き立ち、話が頭に入ってこないほど。

前菜は3品で、12月からは「百合根といくら塩ユッケのミニタルト」、「但馬"太田牛"の握り」(写真上)、「冬カブとずわい蟹のサラダ仕立て」を提供。季節により3カ月ごとに内容は変わる。
握りの太田牛は神戸ビーフ生産牧場の太田牧場が自社ブランドとして作り上げた但馬牛ブランドで、軟らかくなめらかな舌触りで味にとても深みがある。赤酢シャリに竹炭を混ぜ込んだ酢飯と味わうと、サーロインの上品なうま味が広がる。
続いて焼き物の塩は3種。「上タンと瀬戸内レモン クリスマス島の塩」「和牛肩三角」「厚切和牛トウガラシと新潟産かんずり」。どれも店の焼き師さんがフルアテンドで、すべてがベストな状態に肉を焼いてくれる。
肉厚の上タン(写真上)はまずは片面をしっかり焼き、反対側の面はまるでトングで"しゃぶしゃぶ"するかのように素早く何度も動かす。こういった独特の焼き方を見るのは初めてで、表面はカリッと焼かれているのだが、中はプリプリと軟らかで肉汁があふれ、感動的な味わいなのだ。

フランスのボルドー産の重厚な赤ワインが提供される頃には、焼き物はタレ味に移行。「ランプは腰からおしりにかけての部位で、赤身の味が濃く、和牛ながらサシは少なめでございます。ポン酢につけてお召し上がりください」とスタッフが説明。その後も和牛焼き肉が続くのだが、軟らかい赤身が主体なので女性でも疲れず、食べ飽きない。
こまめに焼き網のプレートを変え、ワインも好みに合わせてペアリングしてくれ、至れりつくれりの接客。「ハラミと寒締めほうれん草 ビーツのオイルと共に」では、長期栽培により肉厚で糖度が8度以上になる甘いホウレンソウが使われていて季節感も堪能。
最後は「銀座カリー」、そして「あまおうとピスタチオのミルフィーユ」。同店のシェフはパティシエ経験もあるそうで、肉の盛り付けが美しく、最後のデザートも趣向を凝らしたものなので"スイーツは別腹"という甘党にも特にお薦めだ。
どのコースを注文しても宝箱の演出は付くので、コースの冒頭から盛り上がること間違いなし。ぜひ年末に大切な人と試してみては?
しょうゆを使わない「オイルずし」をワインと堪能

自分へのごほうびにふさわしい料理といえばすし。銀座のカウンター席で、しかもしょうゆを使わない、世界初のオイルずしはいかがだろうか。さまざまな香りのオイル40種と、世界各国の塩30種を縦横無尽に組み合わせ、まったく新しいおいしさを堪能できるのが「米菜°sakura 織音寿し」(ベイサイドサクラオリオンズシ、東京・中央)。山形の有名イタリアン「アル・ケッチァーノ」のオーナーシェフ奥田政行氏の直営店だ。
ランチは7700円~、ディナーは1万8150円~、コースのみを用意(税・サービス料込み、要予約)。今回はディナー1万8150円のコース(オイルずし10貫、海からの潮菜3品、巻物1品、デザート)を体験。ワインを主体としたペアリング(グラス7~8杯・1万円から)にするのが特にお薦めだ。
まずは、シャインマスカットをつまみにシャンパーニュで乾杯していると、バーナーであぶった巻物を目の前のすし職人から直接手渡されて、ちょっと驚く。磯の香りが漂うノリの中には酢飯が見える。
「当店ではご飯は3種を使い分けています。赤酢(美濃三年酢)を使ったもの、純米大吟醸酢を使ったもの、そして今、召し上がっていただいているユズの皮が入った酢飯。この巻物には中にブラックペッパーを加えています」と職人さん。さわやかなユズ風味の中に、突然やってくる刺激的なコショウの味。「すしにコショウ?」と予想外の展開で驚いていると、これがシャンパーニュと驚くほど合うではないか。
すしネタは山形・庄内産がメインで、1貫目のタイはレモンでしめたものに、刻んだイタリアンパセリやセロリを加えた握り。さっぱりした前菜のよう。彩り鮮やかな「旬野菜のバーニャカウダ」(冒頭写真)はパプリカ、ラディッシュ、サヤエンドウなど。庄内産のアミ(小エビ)の魚しょうとカリフラワーのソースがやさしい味で、野菜一つひとつの味が際立つ。
2貫目のマトウダイにはマカダミアナッツのオイル。さらにキジハタにはバジルオイル。どちらもオイルは透明なのに口に含むとナッツやバジルの濃厚な風味が広がるので、不思議な気持ちに。ワインは甲州品種の山形産ワインと共に。アオリイカにはショウガオイル。タコにはワサビオイル。ショウガもワサビも刺し身の薬味アイテムであるが、オイルがまさしく潤滑油となって、ワインともしっくりくるのだ。

6貫目の車エビにはベルガモットオイル。ベルガモットといえば紅茶のアールグレイだが、すしとなるとまったく味の想像がつかない。まずは車エビの頭部分をシンプルに塩だけで味わい、次にベルガモットオイルをぬった尾の部分を味わうという2段階なので、味の変化を楽しめる。エビの甘やかなうま味がベルガモットの香りにやさしく包まれると、思わずため息。
同じ南フランスのロゼワインで味わうのは、皮の部分がロゼ色に美しく光るイトヨリダイ。ピンクグレープフルーツのオイルでさわやかに仕上げており、ワインのかんきつ香と見事にマリアージュした。
脂ののったサワラの握りは金ゴマのオイルで、ふっくらとしたノドグロの握りは、石川県輪島産の高級な塩でシンプルに。これら香ばしいあぶりの2貫(冒頭写真)は日本酒と。4種の日本酒をアッサンブラージュ(ブレンド)したという酒は、エレガンスなフレッシュ感もある一方で、後半はどっしりとした複雑なうま味も広がる。有名なアロマスペシャリストがブレンドした限定酒なのだとか。

最後は定番ネタのマグロ。トマトのタネの周りをゼリー状にしてマグロを漬け込み、最後にガーリックオイルをぬり、上から竹炭の塩を振ったもので、とろりとした舌ざわりが絶品だ。ここで初めて登場する赤ワインは、ストロベリーの香りが漂う軽やかなピノノワール。トマトの風味もまとったワインで、漬けマグロとのハーモニーが秀逸。トマトのニュアンスにより、マグロと赤ワインが見事に一体化した瞬間、思わず笑みがこぼれてしまう。
想像を超えるオイルずしの数々。その独自の世界観に圧倒され、口福の旅は感動のフィナーレを迎えた。
会員制リゾートホテルに潜入気分!映える朝食ビュッフェ

次は完全会員制ホテル「東京ベイコート倶楽部 ホテル&スパリゾート」(東京・江東)にある「イタリア料理 RISTORANTE OZIO」(リストランテ オッツィオ)。会員だけが利用できる豪華な施設だが、1階にある同店のみ一般の客も利用でき、朝食ビュッフェ「イタリアンマルシェ」(1人前4235円、税サ込、予約可能)が最近話題なのだ。
最寄り駅のゆりかもめ、東京ビッグサイト駅から徒歩約5分、あるいは、りんかい線の国際展示場駅から徒歩約10分。湾岸エリアの海風を感じながら、すがすがしい朝の散歩をしているうちに店に到着する。ビュッフェの営業時間は午前7時30分~11時(ラストオーダー10時30分)。車の場合はレストラン利用だと駐車場代が無料になる。年末に家族や友人たちとリッチで特別なビュッフェを楽しむのにお薦めだ。
店内に入ると数万個のスワロフスキーの装飾品がいたるところに飾られ、吹き抜けの天窓から降り注ぐ陽の光で美しく輝いている。外はおしゃれなテラス席で、噴水なども見え、まさに都会のリゾートホテルといった感じ。
ゴージャスな気分に浸りながら着席すると、スタッフが卵料理から説明をしてくれた。定番の目玉焼きやオムレツなど全4種あり、筆者は「エッグベネディクト」をセレクト。オーダーごとに調理してくれるという。

さっそくビュッフェカウンターに向かうと、おしゃれなワゴンが見えてテンションが上がる。塩パンやチョコパンなど、ホテルで毎朝焼き上げる自家製パンが6種並んでおり、自分で取って、トースターで軽く温める。
次はスープコーナー。取材時はミネストローネと三浦半島産野菜入りのポタージュ。カップに注いで一度テーブルに運ぼうとすると、「お席までお運びしますか?」とすかさずスタッフが声をかけてくれた。スープをこぼしたり、客席まで戻ったりしなくてもいいように気づかってくれるのだ。さすが会員制ホテルの接客サービス。
約30種類もそろえる日替わりの料理は、「三崎マグロのニソワーズ」「三浦漁港直送!海藻サラダ」「三浦野菜入りトマトパスタ」など。イタリア料理の本場・地中海と似た気候である三浦半島の食材にこだわっているという。これからの季節は三浦のダイコンやカブなども入ってくるのだとか。三浦半島産の鶏卵を使った濃厚な味わいの焼きプリンは、まるで本当の卵の殻のような白い器に入っていてとてもかわいらしかった(写真右下)。

ベーコンは福島県白河高原の清流豚を2週間熟成させて薫製に仕上げた自家製のもの。オーダーごとに料理人が目の前でカットし、温めてくれる。もっちりとした食感で、クセのないうま味で、香りが豊かで食べ飽きない。
席につくとちょうどいいタイミングで熱々の「エッグベネディクト」が運ばれてきた。半熟卵の上からかけたオランデーズソースにバーナーで焼き色をつけたものでインパクトがある(冒頭写真)。卵を割る瞬間は同伴者とスマホで撮影タイムも楽しめる。濃厚なオランデーズソースと半熟卵のとろりとまろやかな味わいがたまらないおいしさだ。
前菜、パスタ、フレンチトースト……を食べたというのに、最後にタイ米使用のパナンチキンカレーまで食べられてしまうから不思議。すべての料理を1回で制覇するのは難しく「またぜひ来たい」と思うのであった。撮影スポットが多いので、おしゃれして記念撮影も楽しみながらゆったり優雅に過ごしたい店だ。
(フードライター 古滝直実)
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