京都に新ホテル続々 瞑想など最旬スポットでの癒やし

千年の都、京都はその歴史に培われた文化が脈々と息づく。街中を歩いていても、どことなく古都の趣が漂う。そんな京都らしい伝統や落ち着きを生かし新たに開業したホテルが市内に相次いでいる。瞑想(めいそう)やウェルビーイングなどユニークな体験やプログラムを備えており、癒やしもいっぱい。そんな最新スポットをご紹介しよう。
「ザ ロイヤルパークホテル アイコニック 京都」は京都市営地下鉄の烏丸御池駅から歩いて約2分、御池通に面した白い建物がひときわ目を引く。高さ約7メートルという吹き抜けのロビーには、天井までの酒棚がそのままインテリアのようなバーと関西初出店の「パティスリー・サダハル・アオキ・パリ」がある。またダイニングとして「アロマフレスカ」(東京・銀座)のオーナーシェフ、原田慎次氏が手がけるクリエイティブなイタリアン「シンクロニア ディ シンジハラダ」が入っている。
すべての宿泊者が広々としたゲストラウンジを利用できるというのがすごい。チェックイン前後の時間帯のアフタヌーンティーには「パティスリー・サダハル・アオキ・パリ」のスイーツがトランクに入って登場。ドリンク類も京都「小川珈琲(コーヒー)」をはじめ、和紅茶などもそろっており、ゆっくりとくつろげる。

全125室ある客室は格子など和のテイストも取り入れたモダンなインテリアで、レインシャワーのあるコンパクトなスタンダードから御池通に面したコーナーバルコニー付きのアイコニックスイートまで5つのタイプの客室を備える。南西側の角部屋のコーナーバルコニーでは祇園祭の山鉾(やまほこ)や時代祭の行列巡行を満喫できる。またビューバスもあって、くつろげる。
アイコニック京都ならではの体験は「メディテーションルーム」だ。ミストに包まれた「blank」と、ほのかな明かりがゆらぐ中でお茶を楽しむ「tea」という二つの空間で、日常から離れて自分に向き合う時間がたっぷり取れる。大浴場でゆったりとした時間も過ごせる。そんな非日常的体験の後は、部屋に置かれたアロマの香りでメディテーションにひたるもよし、ゲストラウンジに戻って「シンクロニア ディ シンジハラダ」によるアペタイザープレートとドリンクなどを楽しむぜいたくな時間もよし。まさにこのホテルのコンセプトである「あたらしい、あなたに気づく。」ことができそうだ。
伝統的意匠とモダンなインテリアが演出する異空間
京町家が並ぶ街並みが魅力なのも京都ならでは。格子の入った窓に駒寄せの囲い、通り庇(ひさし)の下で雨宿りというのも風情がある。そんな歴史的意匠建造物の町家をホテルの建物に生かし、今年4月にグランドオープンした「NOHGA HOTEL KIYOMIZU KYOTO(ノーガホテル 清水 京都)」は、京阪清水五条駅から徒歩約7分。古風な街並みと調和するたたずまいとモダンなインテリアが異空間を演出するライフスタイルホテルで、コンセプトは「MEET HOT KYOTO.」。

インテリア、食、アート、音楽、メディテーションとホテル内には、まさにホットな京都に出合えるさまざまな"きっかけ"が随所にちりばめられている。ロビーには、オリジナルのMAPが置かれ、そこに載っている旬でホットなスポットがなかなか面白い。木組みが美しい天井の梁やダイニングに向かう階段は千本鳥居を思わせるデザインで、モダンな中に伝統建築の要素も巧みに取り入れている。

客室フロアの廊下は京都の路地を思わせ、街路を照らすようなルームナンバーが浮かび上がる。全207室の客室で、ミニバーの扉には引箔が施され、ペンダントライトやオリジナルのマグカップは清水焼と、京都の伝統工芸も随所に。客室での過ごし方の中にも京都との出合いがある。例えば、テレビで動画を見ながら自分で抹茶体験やコーヒードリップ体験、オリジナルアロマの調香体験などが楽しめる(各1500円)。ホテルの地下1階にはメディテーションルームも備え、30分の瞑想体験ができる(事前予約制・無料)。
おなかがすいたら、レストランでイタリアンをベースにジョスパーオーブンの炭火グリル料理と京野菜などを中心とした料理が楽しめる。ホテル1階のベーカリーカフェで焼きたてパンとひきたてのコーヒーという手もある。最上階には東山や清水寺や比叡山の山並みが一望できるルーフトップバーがあり、夜にはファイアーピットの炎が幻想的なムードを演出する。京都での新しい体験との出合いを振り返りながら、グラスを傾けてみてもいい。

バンヤンツリー・グループは、アジアを中心に世界15カ国以上でスパやホテルなどのリゾートを展開している。スチュワードシップ(ゲストに寄り添ったおもてなし)とウェルビーイングを軸に、ゲストに格別な体験を提供するのが特徴。日本初上陸のホテルとなったのが京都で「ダーワ・悠洛(ゆら) 京都」と「ギャリア・二条城 京都」の2軒が今年6月、グランドオープンした。共にリブランドでの開業だが、新たにスパやウェルビーイングルームの開設などが注目を集める。
世界初出店の新スパブランドのトリートメント
「ダーワ・悠洛 京都」のブランドコンセプトは「自分らしい旅」。鴨川のほとり三条にたたずむ全138室のブティックホテルで、地下鉄東西線の三条京阪駅からは徒歩1分とアクセスもいい。エントランスを入ると、地下から吹き抜けのロビーにのびる竹林の緑が印象的。和と洋が出合った大正ロマンが漂うインテリアに、ダーワのブランドカラーである紫が上品さを添える。バンヤンツリー・グループの新しいスパ・ブランドとなるエレメンツ・スパはここ京都が世界初出店。「自分と自然を育む場」をコンセプトにナチュラルなプロダクツにこだわり、身体も自然も健やかにするような質の高いトリートメントを提供する。

一方、「ギャリア・二条城 京都」は世界遺産である二条城の目の前だ。全25室が40平方メートル以上あるラグジュアリーホテルで、コンセプトは心身の健やかさを表す"ウェルビーイング"。日本庭園が美しいロビー、しっくいの壁に漆塗りを使った家具とぜいたくな非日常空間でくつろげる。ウェルビーイングルームは、室内で瞑想のためのヨガマットやエクササイズができる器具も置かれ、心身を整える体験ができるコンセプトルームだ。シグネチャーダイニング「真蔵(シングラー)」では地域の生産者と食材にこだわり、フレンチをベースにしたイノベーティブな料理が味わえる。
世界有数のトラベルガイドブック「ロンリープラネット日本語版」の編集を経て、フリーランスに。東京と米国・ポートランドのデュアルライフを送りながら、旅の楽しみ方を中心に食・文化・アートなどについて執筆、編集、プロデュース多数。日本旅行作家協会会員。
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