沖縄での大人旅 ひと味違う贅沢楽しむホテル3選

本土復帰50周年という節目や朝の連続ドラマ人気もあって沖縄は今、訪れたい先として人気が高い。紺ぺきの海と空、心地よい風にそよぐ緑、そしてひと味違う贅沢(ぜいたく)な時間を満喫できるラグジュアリーホテルが数多いのも沖縄の醍醐味だろう。プールや絶景が楽しめる客室、沖縄文化を感じる体験やご当地グルメなど大人旅にふさわしい魅力を備えたホテルとその楽しみ方をご紹介しよう。
那覇空港から車で約60分、読谷村(よみたんそん)のサトウキビ畑を抜けると、海岸線をそのままに生かして広がるリゾート「星のや沖縄」がある。コンセプトは「グスクの居館」で、沖縄の史跡「グスク」にインスピレーションを得たグスクウォールに囲まれた極上のサンクチュアリ(聖域)だ。まずは、深海をテーマにした紺ぺきのレセプションに迎え入れられてチェックイン。ここで非日常の時間への切り替えができる。
一歩外に出ると高さ4.5メートルのグスクウォールから読谷村の伝統的織物の文様を通して光が漏れる。琉球王朝時代の礼装をモチーフにしたユニホームのスタッフに案内され、いざグスクの中へ。
緑とブーゲンビリアなどの南国の花々が彩る100室の客室は、全てオーシャンフロント。低層2階の独立性の高い造りになっており、長いウッドデッキが客室棟や施設を繋ぐ。大きなテーブルのある「土間ダイニング」が、客室を「暮らすように過ごす」拠点にしている。ここで藍色の館内着に着替えて、贅沢な村の一員になった気分で楽しむのが醍醐味である。沖縄の伝統文化に根ざしたアクティビティ(一部は有料)も豊富だ。

地元の伝統行事「ハーリー」で使われる伝統漁船、サバニに乗る機会や琉球空手や琉球舞踊などの体験はなかなかできないものだろう。敷地内で時を過ごす場所はいっぱいある。沖縄古来のぶくぶく茶の振る舞いや琉球空手の手習いなどが催される「道場」、夕刻の美しさには息をのむ「サンセットプール」、宵には泡盛のふるまいや伝統芸能が楽しめる「集いの館」など数え上げたら切りがない。
食事はダイニングで沖縄の食材をシチリア料理の技法で提供する琉球シチリアーナを楽しむもよし、客室で出来たての料理が楽しめる「ギャザリングサービス」を利用するもよし。近隣ビーチへは送迎もあり、焼き物を探すならやちむんの里も近い。どっぷりと沖縄の伝統文化に触れながら、暮らすような滞在を満喫したい。
本島北部、名護市の高台に洗練されたホテルとして世界的に有名なブランドを冠する「ザ・リッツ・カールトン沖縄」が誕生して10年。那覇空港からは、車で高速を利用すれば約75分、リムジンバスも数多く運行している。エントランスでは鮮やかな伝統衣装「琉装」をまとった女性がお出迎え。

南国のラグジュアリーなリゾートホテルらしい開放感あるロビーは、一気に気持ちが上がる。ロビーの向こうには「水をたたえた内庭(ウナー)」が広がり、首里城をモチーフにした赤れんが屋根の建物を水が囲む洗練された空間にはほれぼれする。
ビーチでゆっくりピクニックも
全97室、すべての部屋には隣接するゴルフ場、かねひで喜瀬カントリークラブの緑と名護湾の美しい海を望むテラスとビューバスを備える。客室にも建物にもゆとりがあり、そよぐ風が心地よい。時のうつろいと共に表情を変えるウナーに面したレストラン棟には、イタリアン、鉄板焼き、沖縄料理のダイニングがそろう。どのレストランも地元の食材を生かしていて、朝食のビュッフェにはゴーヤーチャンプルやソーキそばなど地元のソウルフードのほか、エッグステーションでは沖縄の平飼い卵を使っている。

別棟になっているスパ棟では、屋内プールやフィットネス施設と月桃(げっとう)はじめ沖縄固有の素材を用いたユニークなトリートメントを提供するスパがある。スパを利用すると、広い浴槽にヒノキのドライサウナや風化サンゴタイル岩盤浴などのある温浴施設でのヒートエクスペリエンスも無料で利用できる。
沖縄に来たらビーチにも、という人には、食事とブランケットマットなどがセットされたオリジナルのピクニックボックスを持参し、近隣のビーチに出かける「リッツニック」がおすすめ。沖縄の自然の中で、とびきり贅沢なピクニックが楽しめる。
ザ・クラブ・エクスペリエンスというパッケージでは、専用ラウンジが設けられており、朝食・軽食・アフタヌーンティー・オードブル・スイーツと1日5回ものフードプレゼンテーションに、シャンパンやカクテルなどのアルコールも含むドリンクが提供され、まさに極上のリゾートライフを心ゆくまで楽しめる。

ハワイで100年以上の歴史を持つリゾートブランド「ハレクラニ」は、"天国にふさわしい館"という名が示す通り、ここ「ハレクラニ沖縄」でも恩納村(おんなそん)の8万7000平方メートルの広大な敷地に、美しくうっとりする時間が過ごせるリゾートを作り上げている。象徴とも言える「オーキッドプール」を正面にビーチを望む「ビーチフロントウイング」と、落ち着いた雰囲気でクラブラウンジも含む「サンセットウイング」の2つの棟の客室と5室のヴィラから成り、全360室。すべてオーシャンビューで、スタンダードタイプの客室でも広さ50平方メートルのゆとりを誇る。
プールもダイニングも多彩
客室のインテリアは「Seven Shades of White(7色の白)」がコンセプト、室内に入った瞬間にその優美な白と窓の向こうの風景の美しさに、これこそハレクラニの魅力と納得してしまう。プールは、オーキッドプールをはじめ、キッズプール、16歳以上のみの大人のためのクワイエットプールなど屋外に4つ、屋内に1つあり、さらにビーチも。ちょっと静かにくつろぎたければ、混んでいるプールから他のプールやビーチに席を移すのもいい。屋内プールにはジェットバスに加え、天然温泉もある。

ダイニングは東京都内にあるミシュラン2つ星レストラン「フロリレージュ」のオーナーシェフ、川手寛康氏をコンサルティングシェフに迎えたイノベーティブ「シルー」をはじめ、日本料理、ステーキ&ワイン、オールデイダイニングと4つのシグニチャーレストランがそろう。日本料理「AOMI 青碧蒼」には、すしカウンターがあって、全国から取り寄せた旬の魚介にアカジンミーバイや美ら海(ちゅらうみ)まぐろといった沖縄自慢のネタも加わる。工夫された酒肴(しゅこう)と握りが次々に目の前に並び、そのレベルの高さに驚かされた。
ハワイと沖縄が融合した様々なメソッドを用いたトリートメントを提供する「スパハレクラニ」では、月桃を用いたメニューや、ハワイ伝統のマッサージメソッド"ロミロミ"などで心身ともに癒やされる。もちろんビーチでカヤックやスノーケル、プールでのSUPヨガ、クルージングなどアクティビティメニューを楽しむのもいい。おすすめは様々なカルチャー体験で、なかでも恩納村観光協会監修の無料で受講できる三線教室は、初心者でも参加でき、沖縄の心に触れた感じがする。
いずれも沖縄らしい自然とスケールの大きさで、他にない旅の体験ができるホテルである。新型コロナウイルスの感染予防に注意しながら、沖縄の大人旅を満喫したい。
世界有数のトラベルガイドブック「ロンリープラネット日本語版」の編集を経て、フリーランスに。東京と米国・ポートランドのデュアルライフを送りながら、旅の楽しみ方を中心に食・文化・アートなどについて執筆、編集、プロデュース多数。日本旅行作家協会会員。
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