もしものときに備える 今すぐできる「デジタル終活」
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A. カギを握るのはスマホのパスワード。紙に書いてマスキングし、保管を
トクニャン(以下、トク) お得情報好きなネコ、トクニャンだニャ。トクニャンが最近気になるのは、「もしも」のときのデジタルデータの取り扱い。故人のPCやスマホ内にあるデータなどは「デジタル遺品」と呼ぶらしいんだけど、最近はトラブルも増えているらしいんだニャ! 今回は「終活弁護士」として活躍する伊勢田篤史さんにお話をうかがうニャ!
伊勢田(以下、伊) トクニャンは今、もしもご家族の方が亡くなったら、まずは何をしますか?
トク う~ん。葬儀の準備と並行して、故人の知人に連絡かニャ。ハッ、でも今どきほとんどの人は、電話番号はスマホで管理してるよニャ?
伊 そうですよね。他にも、いざ相続となったとき。通帳のある銀行などはさておき、故人がネット証券などで資産運用をしていたらどうすればいいか。
トク ひゃ~。「家族に内緒で株やってる」って、ありそうな話だもんニャ~。そもそも、PCもスマホもパスワードが分からないと何もできないニャ。
伊 特にスマホのパスワードロックは非常に強力。何度か連続で入力を間違うと初期化されることもあります。スマホのロック解除を頼める業者もあるにはあるのですが、十万~数十万円の経費がかかったり、解除に半年以上要したりすることもあるようです。
トク そんな~。でも、親きょうだいやパートナーと「もしものときのために、スマホのパスワードを教え合っておく」っていうのは、抵抗ある人も多いんじゃないかニャ。たとえ身内でも、そこはプライバシーが…。
伊 そんなトクニャンに、今すぐできる、とっておきの方法をお教えしましょう。

「パスワード共有」が終活のファーストステップ
伊 紙にPCやスマホのパスワードを書いて、上から修正テープなどでマスキングし、「PC・スマホのパスワードが書いてあります」などと書き添えます。これを通帳や保険証券などと一緒に保管しておけばOKです。
トク 何かあった場合は、硬貨や修正テープ剥がしなどで消せばいいだけだニャ! 簡単~!
伊 そう。1分もあればできる一番簡単な方法です。家族にもお願いしやすいですよね。
トク ちなみにひとり暮らしの人はどうしておけばいいかニャ?
伊 すぐ発見してほしい場合は、冷蔵庫など目に付く場所に貼っておくといいですね。もっときちんと"終活"しておきたいときは、家族にとって必要な情報を棚卸しして、エンディングノートなどにまとめます。これは一般的な終活と同じです。
トク 「きちんと」だと時間がかかりそう。「棚卸し」は何をチェックしておけばいいかニャ?

伊 ネット証券などの資産運用関連のほか、ネットを利用した副業、電子マネーやポイント、登録しているサブスクリプションサービスの有無ですね。リストアップして、連絡先も確認しておくとベターです。
トク この中で「資産」として相続できるものってあるかニャ。
伊 ネット証券の証券口座は、他の金融資産と同様、相続の対象となります。ただし、相続処理については、他の金融機関と同様に厳格な手続きが要求されるので、注意が必要です。その他、インターネットサービスのアカウントの相続については、事業者により対応が異なりますので、利用規約を確認するとよいでしょう。なお、企業ポイントなどは相続できないケースが多いため、使うことも"終活"かもしれません。
トク ニャるほど。とりあえず、スマホのパスワードを書いて、マスキングしておくニャ~。
この人に聞きました

(取材・文/澤田聡子 イラスト/おおの麻里)
[日経ウーマン 2022年5月号の記事を再構成]
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