電気料金が値上がり! 新電力への切り替えは得なの?
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A. 安くなることが多いが、リスクも。「石油」系や「通信」系が狙い目?
トクニャン(以下、トク) お得情報好きなネコ、トクニャンだニャ。電気代が高くなったニャ~。姉ニャンちは3人家族だから結構かかってるんじゃニャイ?
姉ニャン(以下、姉) そうニャのよ~。今年2月の電気代はなんと2万3506円! 去年の2月は1万6908円だったから前年同期比40%アップニャ!
トク じゃあ、電気・ガス会社の料金比較サイト「エネチェンジ」の中田都季子さんに、電気代をお得にする情報をいろいろ教えてもらお! 中田さ~ん、そもそもなんで電気代が高くなってるんだニャ?
中田(以下、中) まず、電気料金の請求書をチェックしてみましょう。「燃料費調整額」という項目はありませんか?
姉 1年前の料金と比べるとそこが大幅アップしてるニャ。
中 発電に必要な石炭や液化天然ガス(LNG)など化石燃料の価格変動を反映するのが、「燃料費調整額」なんです。ある時点までの3カ月間の平均燃料価格が高いほど、その2カ月後の電気料金が上がる仕組み。コロナ禍の落ち込みからの経済回復による燃料需要増に加え、ロシアのウクライナ侵攻で化石燃料の輸入価格が一段と急騰していることが背景です。しばらく、値上がりは続くでしょうね。
トク 「再エネ発電賦課金」て何なんだニャ? この項目も料金が毎年上がってるニャね。
中 これは、太陽光や風力など再生可能エネルギーの普及のために上乗せされるもの。年に1回見直しされ、22年5月には昨年の1kWh当たり3.36円から同3.45円にアップしました。こうした値上がりの結果、標準的な家庭の21年と22年の6月の電気料金を比較すると、同じ電力使用量でも6900円から8600円にアップするという試算も(*)。
姉 真夏の電気代が怖いニャ~。節電にも限界あるし(涙)。
*東京電力の試算より。標準的な電力使用量の家庭における1カ月当たりの電気料金。

切り替えで逆に料金上昇?リスクを減らす選び方は
中 もしも一度も電力会社を変えていないなら、切り替えを検討するのも1つの方法です。
姉 電力小売りの規制緩和でいろんな「新電力」が登場したけど、多すぎてどれを選んだらいいか分からニャイ。しかも最近、新電力の会社が潰れちゃった! ってニュースもよく聞くし。
中 新電力のなかには、燃料高が経営を直撃して、倒産・事業撤退に至るケースや、大手電力よりむしろ電気代が高くなってしまうケースも。自社で発電設備を持つ都市ガス会社をはじめ、エネルギーを調達しやすい「ENEOSでんき」など石油元売り系列の会社、「J:COM 電力」や「ドコモでんき」のような母体が大手通信系列の会社を選べば、倒産や電気代高騰のリスクを抑えられるでしょう。
トク 姉ニャン、ちょっと「エネチェンジ」のサイトで切り替えのシミュレーションしてみようよ。条件を入れて…出た出た。
姉 年1万円弱もお得に…!?
中 まあまあ、慌てないで(笑)。これは初年度のみの特典7000円分を含む結果なので、2年目以降の節約額は実質3000円ほどになりますね。

トク そうすると2番目に出てきた初年度に7600円節約できるプランのほうがいいニャ。これは1年目の特典が2000円だからそれを差し引いて考えると、年5600円の節約ニャ。
中 初年度のみのキャンペーンなど、特典の内容をよく比較して選んでくださいね。また、まれに解約する際の手数料が必要な会社もあるのでご注意を。ちなみに、初年度のみの特典を狙って1年ごとに電力会社を切り替える"達人"も、なかにはいらっしゃるみたいですよ。
姉 切り替えを検討するニャ!
この人に聞きました

(取材・文/澤田聡子 イラスト/おおの麻里)
[日経ウーマン 2022年8月号の記事を再構成]
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